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3-3

一週間ペースを忘れそうになる私。今度はステファンの性格が迷子になりかける。誤字報告助かっています。ありがとうございます。

2日経ち、ステファンは予定通りアナベルの家に遊びに来ました。いつものように二人は向かい合い、紅茶を飲みます。


「アナベル、元気だった?」


「いつも通りだけど?」


「ならいいんだけど。」


なんてことない挨拶を交わすと、アナベルは本題を切り出しました。


「そうだ!ステファンに見せたいものがあったんだ。」


「なに?」


「この前ね、シュゼットが私の昔の鞄を見つけてくれたの。」


「それって知育玩具の鞄のこと?」


「そう、床下から出てきたの。」


「は?どうゆうこと?」


ステファンは目を見開きました。


「まぁ、そこはおいといて、問題は中身よ。」


「いや、床下ってことも重要だと思うけどね?」


「いいから、いいから。で、これがその鞄なんだけど。」


近くに立っていたメアリーが鞄をアナベルに渡します。


「ステファン、開けてみて。」


「中に変なもの入っていないよね?」


「安心して、バネを入れて、ビックリ箱に改造したり、臭いと巷で有名なニシンの塩漬けも入ってないわ。」


「んー。明日の公務に差し支えるから臭いものはやめてね?」


「ニンニクも入ってないわよ。」


「僕は吸血鬼じゃないからね。」


「いいから、変なものいれてないから、さっさと開けて。」


「わかりましたよっと。」


大人しく、ステファンは箱を開けることにしました。そっと中を見ると、


「ドライフラワーのようなもの?」


「正確にはドライフラワーのようになった花輪よ。」


前にアナベルがシュゼットと見た花輪がそのまま入っていました。


「で?これがなんなの?」


「あー。すぐには思い出せないかー。」


「えっ、なんかの思い出の品なの?これが?」


「そうよ、公爵令嬢の宝物が乾いた草なの。」


ごもっとも、普通の貴族令嬢は輝く宝石やら美しいドレスやらを大切にするもの、花を愛でることはあっても、それは生花で、アナベルのように乾ききった花なんてあまり愛でません。それに、アナベルの花輪はドライフラワーとして作っていないので、見た目もドライフラワーより劣ります。さらに、花輪の花は貴族が好む薔薇等と違って地味なシロツメクサ。いくら可愛いくても、メインではあまり使いません。


「いや、そういう言い方しなくてもいいと思うけど。あれ、もしかしてその思い出に僕も関わっているといういうこと?」


「その通りよ。まぁ、別に思い出せなくても構わないのだけど。」


「それもそれでなんか悔しいから嫌だ。」


「じゃあ思い出してね。」


「ヒントください。」


「早すぎない?」


「早く思い出したい。」


「記憶の隅にでも残っているか怪しいのに?」


「そんな忘れやすい思い出なの?」


「うーん、まぁ、小さい頃の話だから。えっと、ヒントよね。まず、それはシロツメクサです。」


「それくらいならわかるよ?」


「そして、花と言えば。」


「なんですか?」


「花言葉でしょう。ステファンも王子なら、それくらいは気にしましょう。」


「うわっ、そういうのニガテ。」


「知っているわ。シロツメクサの花言葉は約束。さぁ、これがヒント。」


「ヒントになっているの?それは。もっと、場所とか、何を話したかとか、ないの?」


「ダメ、言わないわ。まぁ、寝ている間に降ってくるかもしれないから、今日はこれくらいにしましょう。思い出したら話してね?」


「わかった。そうするよ。」




ステファンは今日は紅茶一杯で帰りました。城に帰ったら、思い出すために色々調べてみるつもりのようです。


そうやって帰って行くステファンの馬車を見て、アナベルは少しドキドキしていました。


さぁ、今日も月は上ってきます。

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