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最近、アナベルの性格が脳内で迷子です。
今日もアナベルはお茶会です。ただし、今度はクラルティ公爵家主催です。カトレア嬢もきています。
「ごきげんよう。カトレア様。」
「ごきげんよう。アナベル様。ご招待ありがとうございますわ。」
「私こそ、カトレア様に来ていただいて嬉しいですわ。」
「あら、そう言っていただけるなら、来たかいがありますわね。」
二人はうふふと微笑みあいながら、侍女が用意した席に座りました。
「今日のお客様は私のお母様の知り合いがほとんどなの。」
「じゃあ、私はアナベル様のお話し相手かしら。」
「そうかも知れませんわね。」
アナベルの母親が主催したため、アナベルが普段話しているような人はカトレア嬢しかいませんでした。挨拶するべき人には挨拶をしたので、アナベルはカトレア嬢を誘って引っ込もうとしていたのです。
「まぁ、構いませんわ。ご挨拶申し上げなければならない方にはすでにご挨拶したから引っ込んでいても構いませんわ。それに、あちらで皆様とお話しするよりも、こちらでアナベル様とおしゃべりをしていた方が楽しそうですもの。」
カトレア嬢も人混みの中にいるのは面倒らしく、一緒に引っ込むのに乗り気なようです。
「そうだ、カトレア様、この間のお茶会はありがとうございました。お話ししていただいたこと、とても参考になりましたわ。」
「あら、私はそんなに大したことしていないわ。」
「いえ、自分の気持ちを知るきっかけになったのです。」
「そう、では有り難くその感謝を受け取っておくわ。」
「私、カトレア様とお話しするのが結構好きですのよ。本当はもっと我が家にお招きしたいくらい。」
「あら、アナベル様のお誘いとあらばいつでもお伺いしますのに。…でも、何度もお会いすることは難しそうですわね。」
「ええ、うちの父とバレーヌ公爵は犬猿の仲ですからね。あまり良い顔はしないでしょう。まったく、とんだとばっちりですわ。」
「別に家同士はそんなに対立していないのだから個人間でおさめて欲しいですわ。」
「同感ですわ。」
「お互いに大変ね。」
アナベルとカトレア様は他にもおしゃべりを楽しみました。
今流行りのお菓子のこと、お茶のこと、服のこと、等々。話す話題は多過ぎて、気がつけばそろそろお開きという時間。さすがに引っ込みすぎなので、二人は席を立つことにしました。
ふと、カトレア嬢が何かを思い出したような顔をしました。そしてそのまま微笑みながらアナベルに話しかけました。
「ねぇ、面白いこと教えて差し上げるわ。」
「えっ?」
カトレア嬢はそのままアナベルの耳元に顔を近づけると、そっと何かを囁きました。
それを聞いて、アナベルは少し驚いたようでしたが、すぐにニッコリ笑うと、
「それはなんとも素敵なことですわね。」
言葉を返しました。
「ええ、ありがたいことですわ。」
そのまま二人はうふふと笑いあいながら席をあとにしました。
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