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おじいさんとおばあさんが凄腕エージェントだったら

作者: 柚之木

今はもう忘れられた時代のお話です。

あるところに闇の組織に属するおじいさんとおばあさんが住んでいました。

闇の組織は『鬼ヶ島』という要塞に本部があり、ボスは『鬼』と呼ばれていました。

おじいさんとおばあさんは組織でも凄腕のエージェントでしたが、年をとったことにより、組織からかろんじられて末端に配属されていました。

そんな組織の待遇に納得のいかないおじいさんとおばあさんは、いつか見返してやろうと日々の訓練をかかしませんでした。


今日も早朝から、おじいさんは山へ射撃の訓練へ、おばあさんは川へ格闘の訓練へ行きました。

おじいさんが、一通りの射撃訓練(アサルトライフル|サブマシンガン|スナイパーライフル|ボルトアクションライフル|ショットガン|ライトマシンガン|ハンドガン(オートマチック,リボルバー)等等)を終えて家に戻り、朝食の支度をしていると、おばあさんが五、六歳ほどの男の子を連れて帰ってきました。

「ばあさんや、その男の子はどうしたのじゃ?」

「じいさんや、驚かないで聞いておくれ、なんとこの子は桃の中からでてきたのですよ。」


おばあさんの話はこうでした。

日課の格闘訓練(空手|酔拳|カラリパヤット|ムエタイ|テコンドー|パンクラチオン|コンバットサンボ等等)を終えて、昨日見たアニメのように、拳圧で川を割ろうと精神を集中しようとした時に、川の上流から大きな桃がどんぶらこどんぶらこと流れてきたそうてす。

おばあさんはそれを見て『これはいい的が来た』と、思ったそうです。

おばあさんは、目を閉じて精神を集中させて、イメージを固めました。

(川を割る、モーゼのように、あの桃に向かって一直線に…)


カッ!!と、おばあさんが目を開くと同時に、桃に向かって右の拳を目にも止まらぬ早さで突き出しました。


ちゅんちゅん、ぴちちちちち…


鳥の声だけが川辺に響き渡り、おばあさんは拳を突き出した体制で止まっていました。

(やはり、アニメのようにはいきませんのう。)

おばあさんは残念そうに右の拳を下ろし、帰ろうとしたその時。

的にしていた桃がパカリと割れて、中から男の子が出てきて、川に沈んで行きました。


流石のおばあさんも、これで死なれては寝覚めが悪いので、仕方なく得意のバタフライで助けに行ったそうです。


そして、今確認して解ったことですが、男の子は川に落ちたショックからか、記憶を失っていました。

おじいさんと、おばあさんは大層喜びました。

((これで組織に一泡ふかせてやれる!!))…と。


おじいさんと、おばあさんはかつて名乗っていたコードネーム『桃』から取って、男の子に『桃太郎』という名前をつけて、それはそれは厳しい特訓を始めました、記憶喪失を利用しての組織への憎しみを植えつける教育も怠りませんでした。


おじいさんとおばあさんの持てる技術を教え込まれ。

ある時は、おじいさんに射撃訓練の的にされ反射神経を鍛え。

またある時は、おばあさんの拳を正面から受けさせられてスタミナと防御力を鍛えました。

もちろん、エージェントとして必要な知識を教える事も忘れませんでした。

組織から軽んじられていたおかげで、桃太郎の事が組織にバレる事はありませんでした。


そして10年の月日が流れました…


桃太郎は精悍で豪胆、屈強な青年へと成長していました。

おじいさんとおばあさんが、もう教える事はないと思っていたあるひのこと、桃太郎が二人の前でこういいました。

「おじいさん、おばあさん、時は満ちました。『鬼』を退治しにいってきます。」

おじいさんとおばあさんも、ついにこの時が来たかと、感極まりました。


桃太郎は『鬼』退治にあたって、仲間を集める事にしました。

おばあさんが用意してくれたキビ団子(山吹色の御菓子)と、おじいさんの持つ独自のルートを使い水面下で呼びかけました。


桃太郎の呼び掛けに応じたのは、『犬』『猿』『雉』のコードネームを持つ若者でした、いずれも組織に反感を持っていました。


三人は、基本的な戦闘力は桃太郎より劣りました。

しかし、『犬』は爆発物を扱わせれば右に出るものはおらず、『猿』は潜入と情報戦に特化しており。『雉』はヘリコプターでの空中戦を得意としておりました。


桃太郎の立てた作戦はこうです。

まず、『猿』に『鬼ヶ島』に潜入してもらい、偽の情報を流してもらいます。

そして、隙をついて陽動作戦を行います。

正面から桃太郎が攻撃を行い、敵が慌てて正面に迎撃に出てきた所を狙って、鬼ヶ島の裏口を『犬』が爆破します。

航空戦力が出てきた時のためと遊撃として、『雉』をヘリコプターで上空で待機させておきます。

鬼ヶ島の攻勢が弱まった所に、三方向より突入。内部に浸入している『猿』の手引きで一気にボスの部屋を目指す手筈となりました。


そして、決行の日となりました。

月明かりの無い新月の夜、夜襲の情報を掴んだ鬼ヶ島は厳戒体制をしいていました。

しかし、待てど暮らせど襲撃者はあらわれません。

夜が明けるころには鬼ヶ島の構成員の誰もが「襲撃は偽情報」だと思いました。夜通し夜襲を警戒していたので、どの構成員にも疲れが見えます。


その時です、鬼ヶ島の正面入口がよく見える高台から桃太郎がロケットランチャーを発射しました。

しゅごー!!ずどーん!!しゅごー!!ずどーん!!しゅごー!!ずどーん!!ずどーん!!・・・

桃太郎は反動の強いロケットランチャーを片手で軽々と扱いました、左手で撃ち右手で撃ち、時には両手で撃ち、襲撃者が複数いるように見せかけました。


用意していたロケットランチャーを全て撃ち終るころ、内部にいたであろう鬼ヶ島の構成員達が大慌てで正面入口に集まりました。

それを見た桃太郎は、茂みに隠していた多連装ロケット砲を起動させ、愛用のサブマシンガンを抱えて高台を滑り降りて鬼ヶ島の正面入口に向いました。


ひゅひゅひゅひゅひゅ・・・・ひゅん!!ずどん!!ばがん!!どごん!!ばごん!!・・・

多連装ロケット砲の着弾音を聞いた『犬』が見張りが手薄になった時に仕掛けておいたプラスチック爆弾で裏口を爆破しました。

ずごどばーん!!がらがらがら…

芸術的な爆破テクニックで裏口に残っていた構成員は全て瓦礫に埋もれ、爆風は全て鬼ヶ島内部に流れ込んでいきました。

なおかつ、突入口を崩さず残す手際の良さでした。


正面と裏口から攻められ、これはたまらんと、ボスの『鬼』が航空戦力を出撃させるように指示を出しました。

鬼ヶ島の上部が開き、十数台のヘリコプターが飛び立とうとします。

しかし、すでにそこの制空権は『雉』のものでした、はるか上空からチェーンガンを打ちながら急降下してきました。

きゅいーん、ばらたたたたた・・・・!!


組織のヘリコプターが全て、なすすべもなく落ちていきました。

『雉』はとどめとばかりに、開きっぱなしの鬼ヶ島上部から、ハイドラ70ロケット弾をしこたま打ち込みました。

ぐががーん!!どどっごーん!!ずどごっしゃーん!!・・・


大恐慌に陥る鬼ヶ島に潜入した三人は『猿』と合流し、『猿』が調べ上げた最短ルートでボスの部屋に向いました。

途中、襲ってくる構成員には容赦なく桃太郎のサブマシンガンが火を噴きました。

ボスである『鬼』がいる部屋のドアを蹴破り桃太郎が声を張り上げました。

「降伏か死か?!」


しかし、返事はありませんでした。

敗北を悟った『鬼』は自決していたのです。

「敵ながらあっぱれな最期!!」

桃太郎は今は亡き『鬼』に尊敬の念を込めて黙祷しました。


組織が溜め込んでいた金銀財宝を持ち帰った桃太郎と仲間達を見たおじいさんとおばあさんは、組織に一泡どころか壊滅させてしまったことに腰を抜かしてしまいましたとさ。


とっぴんぱらりのぷう。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 作者様は天才ですか?笑 終始笑わせてもらいました笑笑
2017/12/04 20:33 退会済み
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