奏島 美鶴の過去 前編
今回は短いです。感想とか欲しいです!
私こと奏島 美鶴は1人だ。
家は父子家庭で、なおかつ父は家に帰ってこない。私の知らない女性何人かの家を寝泊まりしているらしい。
そんな父だから、私は小さいころ、母が出ていったその日から祖父母と暮らしていた。3年前に祖父母が亡くなるまでは。
私はほとんど1人になった。
幸い祖母が家事を教えてくれていたおかげで、生活に支障をきたすことはなかった。父も毎月、生活費を振り込んでくれていた。
それでも、帰っても誰もいない家は辛い。悲しい。.....寂しい。
私は1人だ。
私は孤独故に人気者の仮面を求める。その歯車に憧れる、冷たい家の辛さから逃げる。
私は居場所が欲しい。暖かい場所が。
それは1年の3学期のこと、私は今学期3回目の告白を受けていた。
学校にいくことに固執していた私は、体調が悪いなか学校に来ていた。
そして例の如く校舎裏に呼び出されていた。
「先輩ですか?私を呼び出したのは。」
「おう、そうだ。奏島さん、単刀直入に言うぜ、俺と付き合ってくれ。」
全然タイプじゃない上に面倒な感じがする。こういう人って断っても簡単にあきらめないんだよね。
「私、今は誰とも付き合う気無いので、すいません。」
こう言ったはいいが、全然あきらめてくれない。しつこいのが体調の悪さと相まって倒れそう。
でも、この人の前で倒れたら後がまずい気がする。どうしようか。
そんなときだった。
「失礼するよ。奏島さんかな?クラスの配布物が有るから職員室まで来てもらいたいんだけど、良いかな。」
彼は突然、音もたてずに私達の目の前に現れた。
「奏島さん、良いかな?」
「あ、うん。」
私は彼の後を着いていこうとした。
「おい、今大事な話の途中だ、邪魔すんな。」
「先輩は呆気なく玉砕してたではないですか?今さら何を話すんです?」
本当その通りだ。さっさとこの場から逃げたい。
「先輩がどうしても引き留めると言うのなら、先輩の小学生のときの卒業文集を朗読しますけど。良いですか?」
すると、みるみる先輩の顔が青ざめて、逃げる様に走り去った。
「逃げてしまったか、つまらないな。あぁ用事というのは嘘だ、気にしなくていい。」
彼は人当たりの良い笑顔をしたまま、私に背を向けて歩き去ろうとしていた。
私はそこで緊張の糸が切れてしまい、その場に倒れ、気を失った。
私は私で在りたいが故に私ではない。
『私』の仮面を着けているにすぎないのだと感じている。
思ったよりリアルが忙しい。