55話 土人形(クレイゴーレム)
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申し訳ありません。
「ドッカ~ン!!」
薙ぎ払われた戦鎚の一撃が、《木人形》を通路の壁まで吹き飛ばす。叩き付けられた衝撃で、《木人形》は動きを停止する。
最後の《木人形》が倒されたのを見て一息ついた。
「フゥ~。今ので最後ね」
「おー、美奈は疲れたのかー?」
「ちょっとね」
四階層までかなりの魔物を倒してきたが、三っちゃんに疲れはみえない。やはり、山の民だからだろう。体力では敵わないな。
「やっぱり《迷宮》は魔物が多いんだね」
「そうですね。でも、私達は見てるだけで良いんでしょうか?」
「う~ん? どうだろうね」
八尋と秋がそんな会話をしていた。今のところ、三っちゃんと二人で十分だったが、そろそろ加勢が欲しい。
「次の五階層から、出て来る魔物が変わるのだ。そろそろ、見物は終わりかもなのだ」
五階層に上がる階段を目の前にし、三っちゃんはそう言った。四階層までは、
《粘液性物》と、肉、骨、木の各人形達だったが、五階層から魔物が強くなるらしい。
「五階層から何が出てくるの?」
「《悪魔彫像》と土、石、砂の人形達なのだ」
人形の材質からして強そうだな。二人には頑張ってもらうとしよう。
「じゃあ、五階層から八尋に頑張ってもらうとして、秋は援護できそうならお願いね」
「りょーかい。杭打銃の出番かもね」
「分かりました。五階層から厳しそうなので、助っ人を造りますね」
「助っ人?」
「《木人形》の素材を貰いますよ」
秋は〈樫の木〉を手に取り、呪文を唱える。
「《人形創造》!」
〈樫の木〉は、みるみる大きくなり人型を形取った。目の前には《木人形》、おそらく創造魔法だろう。
「創造魔法を覚えたんだ」
「はい。人手が欲しい時に便利だと思って」
「なるほどね」
人形には簡単な命令が出来る。荷物運びにも便利だろうし、秋にはぴったりな魔法かもしれない。
『へぇ~、便利そうじゃない。覚えてみたら?』
『《木人形》が便利そうなら、覚えても良いかもね』
確か人形は、材質によって性能が違ってた。それと、良い材質の人形ほど、技能が高く無いと造れなかったはずだ。覚えるのは、人形がどの程度使えるか、みてからにしよう。
「じゃあ、《木人形》には秋の護衛をしてもらいましょう。暇になった八尋は存分に働いてね」
各人の役割を決め、五階層への階段を上がる。五階層は、今までの階層と違い、自然の洞窟のような様相だ。人形達の材質を考えると、洞窟の方が良いのかもしれない。
さて、時間も限られてるし、魔物が出てこないうちに先を急ごう。探索自体は地図を見て進むので楽だが、魔物と遭遇すると時間を食う。
地図の半分程来たところで、土で出来た人形達と遭遇した。急ぐ時ほど遭遇するのは、なんでだろうな。
「《土人形》なのだ!」
今までの人形より一回り大きい《土人形》が、こちらに気付き迫って来た。三体の《土人形》が来るまで、まだ時間がある。
『木刀で良いでしょ?』
『刃こぼれしてもあれだし、良いんじゃない』
木刀を構え、三人分の《火属性付与》を掛ける。この戦闘は八尋にも戦ってもらおう。
戦闘準備を整え、《土人形》を迎え討つ。
「こっちへ来いなのだ!」
《挑発》を使った三っちゃんへ、二体が向かう。三っちゃんなら、八尋の援護があれば、どうにかなるだろう。僕は、残りの一体を相手取った。
振り下ろされた巨大な右拳が、顔面に迫る。後方に軽く跳んで躱すと、拳が地面にめり込む。体勢が崩れた《土人形》の右腕に、付与で威力を増した木刀を一閃。右腕の肘から先を分断する。支えを失い倒れこんだ《土人形》の、胸の核を破壊し止めを刺した。
戦いを終わらせ、三っちゃんの方を確認すると、すでに一体が倒されている。残る一体も時間の問題だろう。
三っちゃんが振り下ろした戦鎚を、《土人形》は腕で防御する。しかし、戦鎚の勢いは止まらず腕ごと破壊。隙だらけの《土人形》の胸に、止めの一撃が打ち込まれた。
「三っちゃん、お疲れ様」
「美奈もお疲れなのだ。でも、このくらいはまだ余裕なのだ」
まあ、大きい分動きも遅かったし、そうかもしれない。八尋も少しは援護してたみたいだけど、《木人形》の出番もなかったしな。
「初心者用だから、まだ余裕といったところね」
「うん。でも、《砂人形》は、ちょっと厄介だから気を付けるのだ」
「え! そうなの?」
「核以外を壊しても、元に戻っちゃうのだ」
「う~ん? それは厄介ね」
砂だからか、核以外は破壊出来ないらしい。核を一撃で破壊できればいいけど、何か他に手が無いだろうか。
「核を壊す意外に何か手が無いの?」
「そういえば、水で濡らすと、元に戻らないらしいのだ」
「水? そっか、水属性魔法があれば良いのね」
僕のは火属性魔法だからダメだな。他に手は無さそうだし、核を破壊していくしか無いな。
「あの、私、水属性魔法覚えました」
「え!?」
「おお! それなら、《砂人形》も余裕なのだ。秋ちゃん、流石なのだ」
秋が覚えた属性魔法は、水だったらしい。理由は、「飲水に困らないように」、という事らしい。
「じゃあ、秋は《砂人形》が出たら、魔法で攻撃してね」
「はい。分かりました」
一番厄介そうな《砂人形》対策も万全になったし、楽に十階層まで到達出来そうだ。
僕達は、六階層の階段へと急いだ。
【天海 秋津】
種族:人間
レベル:2
マナ:4250/25250
筋力:11 知力:16
体力:13 精神:15
敏捷:14 魔力:16
器用:14 幸運:18
職技能:レベル
盗賊:1
魔法士:2
商人:7
能動スキル:レベル
解錠:1
道具鑑定:3
武器鑑定:3
防具鑑定:3
交渉術:3
話術:3
受動スキル:レベル
危険感知:2
高速演算:3
道具知識:1
武器知識:1
防具知識:1
魔法:レベル
水属性魔法:1
創造魔法:2
感知魔法:2
使い魔契約:1




