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46話 三っちゃん

 現在、三人で組合の掲示板と睨めっこをしている。和多志さんの依頼を受けたものの、少し場所が遠いのに加え、かなり魔物が出るということで適当な討伐依頼を探していた。


「この辺、受けとくと良いのだ」


 三っちゃんが指差した依頼書を見ると、《食人鬼オーガ》、《鬼熊》、《狒々ひひ》と強そうな魔物の名前が書いてあった。しかもランク2なので、今受けられる依頼の最高難度だ。強いのは名前だけじゃなかった。


 組合依頼はランクがあって、誰でも受けられるランク1から難易度に応じてランクが上がっていく。


「強そうな気がするんだけど」

「群れで出ないから、へっちゃらなのだ」

「そうなんだ」


 三っちゃんが言うなら大丈夫なんだろう。見た目は可愛いロリっ娘だけど、実力は僕達より上ということだった。装備も金属製の胸甲(ブレストプレート)、手甲(ガントレット)、脚甲(グリーブ)、スカートっぽい草摺(タセット)で固めている。色の所為か、何故かファンシーな雰囲気を醸し出していたけど。

 そういえば、呼び名が三っちゃんになっているのは、本人が「三っちゃんか、お姉ちゃんか選ぶと良いのだ」と言ったことへの結果となっている。流石に、お姉ちゃんと呼ぶのには抵抗があった。


「ついでだし、この辺の依頼も受けておきましょうか」

「良いよ」

「受けるのだ」


 三っちゃんお勧めの依頼と、いくつかの討伐依頼を受け組合を出ていこうとすると、呼び止められた。


「おはよう。あら、今日は珍しい組合せなのね」


 魅香さんだ。受付で見かけなかったので休みかと思っていた。


「おはようございます。休みかと思ってました」

「他にも仕事があるから、いつも受付に居るわけじゃないのよ。ところで、三津乃ちゃんも一緒ということは『百鬼の森』に行くのかしら?」


 『百鬼の森』とは、鬼と言われる人型の魔物や大型の獣類、その昔墓地だったことから不死者アンデットの類も多く生息しているという危険な場所だ。


「ええ、ちょっと依頼で」

「石を拾いに行くのだ」

「やっぱりね。三津乃ちゃん居るし大丈夫だと思うけど、気を付けて行ってらっしゃい」

「はい、気を付けます」


 防具も和多志さんから借りてきてるし、装備は万全だ。魔物の討伐が目的じゃないから、危険なら逃げれば良いだけだ。

 何かを思い出したのか、三っちゃんがポンと手を叩いた。


「おー、忘れていたのだ。馬車を貸して欲しいのだ」

「良いわよ、私の方から担当に伝えておくわ。じゃあ私は行くから、またね」


 仕事が忙しいのか魅香さんは、そそくさと立ち去っていった。


「魅香さん、今日は忙しいみたいね」

「そうみたいだね」

「偉い人だからしょうが無いのだ」


 どういう意味かと思い、三っちゃんに尋ねようとしたが、


「そんなことより、早く出発するのだ」


 と言ってさっさと組合の外に出て行ってしまった。慌てて三っちゃんの後を追いかけ外に出ると、三っちゃんはお弁当を買っていた。

 組合の外には移動販売の弁当屋が朝から昼ぐらいまでいる。昼食は大概外で食べることになるし、冒険者からの需要はあるだろう。


「お腹が減っては戦えないのだ。お弁当を買っておくと良いのだ」


 促され弁当を購入していたら、いつの間にか三っちゃんが居なくなっている。慌てて探すと馬車駐車場に居るのを見つけた。


「馬車を借りたから早く乗るのだ」


 幌も何も無いただ座るだけの小型馬車に、馬型の【召使人形】が繋がれている。移動するだけだから、これでもいいか、と思いながら馬車に乗り込んだ。


「よーし、出発進行なのだー」


 馬車は西へ向かって進みだした。百鬼の森まで昼くらいには着くそうだ。馬車でそのくらいなら歩きだと確実に日が暮れる。


「結構遠いのね」

「ちゃちゃと終わらせれば、夕方には帰って来れるのだ」

「取ってくるのは〈王隕鉄〉で良いの?」


 移動しながら依頼の確認をする。


「そうなのだ。昔はその辺にゴロゴロ落ちてたみたいなのだ」

「へぇーそうなんだ」

「今は人が近付かない場所にしか無いから量が少ないのだ。それで、父ちゃんは良い装備が作れなくて困っているのだ」

「あーだから依頼してるのね」

「そうなのだ。流石に一人で森の奥までは無理なのだ」


 二人で行けばいけそう、と思ったが、店もあるし無理か。

 話からすると、森の奥まで行くことになる。結構大変そうだ。でも、三っちゃんなら誰かパーティ組んでくれそうだけど、何かあるのだろうか?

 気になることはあるものの、今は依頼のことだけ考えよう。


『今回は大変そうね。大丈夫?』

『三人だから大丈夫でしょ』

『それなら良いけど。それから、刀楽しみにしてるからね』

『はいはい』


 天鉄刀を買うのは決定事項のようだ。まあ、しょうがない。

 美奈との会話を終え、三っちゃんに話を聞く。


「森の奥まで行くのは良いとして、〈王隕鉄〉は直ぐ見つかるの?」

「あるかどうかは、行ってみないと分からないのだ。〈王隕鉄〉は魔石ほどじゃないけど、魔力を帯びてるから見たら直ぐ分かるのだ」

「そっか。じゃあ、魔物に気を付けるだけで良いのね」

「うん。いっぱい出てくると囲まれて大変だから、それだけ気を付ければ平気なのだ。強そうなのはあたしに任せるのだ」

「分かったわ。雑魚の掃除は任せて。八尋も良い?」

「りょーかい。索敵は任せといて」


 役割は決まったので、後は現地に着くだけだ。

 馬車は西の門を抜け街道に出る。西側の街道には魔物が多すぎて街は無く、整備もあまりされていない。

 馬車は百鬼の森を目指して、荒れた街道を進んでいた。


 【大山 三津乃】


 種族:山の民   種族特性:暗視

 レベル:3

 マナ:1000/36500


 筋力:25   知力:10

 体力:21   精神:16

 敏捷:12   魔力:13

 器用:20   幸運:11


 職技能:レベル

 戦士:7

 鍛冶師:5


 能動スキル:レベル

 強撃:3

 薙払:3

 捨身:2

 飛撃:1

 挑発:3

 防御:3


 武器鍛冶:3

 防具鍛冶:3

 武器鑑定:3

 防具鑑定:3

 鉱物鑑定:3


 受動スキル:レベル

 頑強:3

 剛力:3


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