表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/60

42話 地下街跡探索

 地下街は薄暗く、明かり無しでは周囲がはっきり見えない。借りてきた魔石灯で何とか支障なく戦えそうだ。階段を下りた先に少し広い場所があり、八尋とどう探索するか話し合う。


「何か気配はある?」

「今のところないね。もっと奥に行かないとダメじゃないかな」

「そうだよね」


 地下街跡だけあって細かく区画分けされている。元々は店舗があったんだろうけど、全部見ていくのは手間が掛かりそうだ。ただ、依頼の内容が《巨大溝鼠》退治なので、虱潰しに探さないといけない。


『これは時間掛かりそうね。鼠相手なら私は必要無さそうだし任せるわ』

『りょーかい。見物でもしてて良いよ』


 元々、美奈が出来る事は少ないし、危なくなったら逃げる予定だから、見物でもしててもらおう。


「背後から襲われたら嫌だから、じっくり行きましょう」

「安全に行くならそうだろうね」

「じゃあ、先頭は任せるわ」

「うん。でも、《巨大溝鼠》がいたら交代するよ」

「りょーかい」


 通路が広いので入れ替わるのは簡単だ。但し、群れで来られた場合囲まれる可能性がある。囲まれたら八尋に頑張ってもらわないと厳しいだろう。今回の依頼、二人だと厳しいような気がしてきた。


「二人だと厳しいかしら」

「人数居たほうが楽だけどね。この依頼が終わったら探してみる?」

「終わったらね。良い人が居れば誘いましょうか」


 美奈にパーティメンバーを増やす許可を求めると、あっさり『良いんじゃない』と言われた。言質も取ったし鼠退治が終わったら探してみよう。


 地下街跡は中心部に向かう二本の広い通路があり、入り口に近い方から探索を始めた。通路の両側が全て元店舗のようで、一箇所ずつ中を確認していく。何カ所目かの探索で十字路に到着した。


「右は上りの階段っぽいわね」

「じゃあ、左に曲がってもう一つの通路の方を探索しようか」

「ぐるりと一周回る事になるのね」

「まあ、それはしょうがないよ」


 同じようなことを二回ほど繰り返し、徐々に奥へ進んでいくと通路の様子が変わった。二本の広い通路が行き止まり、代わりに右の方に更に広い大通路と呼べるものが見える。


「《巨大溝鼠》も見当たらないし、大通路に行ってみましょう」

「りょーかい」


 大通路へ入ると上りと二つの下りの階段を発見した。上り階段は調べる必要がないし、一つずつ下り階段を調べる事にする。


「どっちが良いと思う?」

「ちょっと調べてみるから待ってて」


 八尋は下りの階段まで行って、聞き耳を立てたり様子を窺っている。八尋が調べ終わるまで辺りを警戒しておく。調べ終わった八尋が戻ってきた。


「どっち共居る・・よ」

「いよいよね」


 刀を構え先に階段を下りる。通路よりも階段のほうが狭いので、囲まれる心配が無く戦い易い。八尋には後ろを警戒してもらう。

 警戒しつつゆっくり階段を下りていくと、物音が聞こえてきた。八尋が物音のする方を魔石灯で照らす。複数の巨大な鼠がそこに居た。照らされた瞳が不気味に光る。


『嫌! 気持ち悪い!』

『ちょっとそこ、五月蝿いよ』


 《巨大溝鼠》は確かに気持ちが悪かったが、先に叫ばれたことで冷静になれた。しかし、鼠に驚くとは美奈も女の娘だったんだな。


『身体がこんなんじゃなかったら、絶対ぶった斬るのに!』


 うん、やっぱり美奈だった。さっき思ったことは撤回しよう。


 そんなやりとりの隙を突いて、《巨大溝鼠》が襲いかかってくる。


「「キィキィー!!」」


 《巨大溝鼠》の巨大な前歯が迫る。回避が間に合わないと判断し、すかさずスキルを放つ。


「《薙払》!!」


 刀が横一閃に煌めくと、前方に迫っていた三匹を瞬く間に斬り倒す。残るは一匹。飛びかかってきたところを落ち着いて突き殺した。


 刀を《巨大溝鼠》から抜いていると、八尋が話しかけてきた。


「さっきのはスキルなの?」

「そうよ。前方数Mの範囲攻撃なの」


 さて、お楽しみの剥取の時間だ。【素材剥取人形】を取り出し《巨大溝鼠》を食べさせる。自動人形だから命令するだけで済むので楽だ。口が大きく変形し《巨大溝鼠》をバクッと丸呑みにした。全部食べ終え、しばらくすると素材だけを吐き出した。吐き出した素材は魔石の欠片と、皮と前歯の三つだ。


「剥取に時間が掛からないのが良いね」


 八尋が感心していた。まあ、剥取は八尋がやっていたからな。素材を拾い道具箱アイテムボックスに入れた。癒やしとして【素材剥取人形】はこのまま出しておく。


「さあ、次行きましょう」


 続けてもう一つの下り階段で《巨大溝鼠》を狩っていく。この階段を下りた先は空間が広く七匹も居たが、八尋の援護もあって何とか倒すことが出来た。


「ふぅ、危なかったわ」

「まあ、数も多かったし」

「《巨大溝鼠》って地下二階にしか居ないみたいだから、下り階段を探した方が早いわね」

「確かにね。じゃあ、下り階段を探そうか」


 今のところ地下一階には居ないようなので、下りの階段を探して行く。隈無く探した結果、計四カ所の下り階段を発見し、その都度《巨大溝鼠》を倒していった。その結果、全部合わせて三十体もの《巨大溝鼠》を討伐し、軽くノルマを達成する。


『結構、倒したわね』

『始めはどうなるかと思ったけどね』


 今、目の前には五ヶ所目の下り階段がある。ぐるっと一回りして二本の広い通路のところまで戻ってきていた。


「どうする? 行ってみる?」


 八尋が聞いてきた。ノルマは達成しているから確認ということだろう。


「ここまで来たんだし、せっかくだから行きましょう」


 階段を下りると、今までの地下二階より広い。それに、今までは直ぐに見つかった《巨大溝鼠》が見当たらない。少し探索してみると下りの階段が見つかった。


「あら? 更に下る階段があったのね」

「物凄く嫌な予感がするんだけど」

「ここまで来たら気になるし行ってみましょう」


 八尋は渋々地下に下りることを了承した。『気を付けるのよ』美奈の注意を受け階段を下りていく。すると、階段の終わりに扉が見え、その前に《巨大溝鼠》とは違う赤っぽい鼠が居た。


「何あれ?」


 小声で八尋に聞いてみる。


「分からない。本か何かで見たような気がするんだけど……」


 八尋が珍しく首を傾げている。

 赤鼠はこちらに気付いているので、いつ飛びかかって来てもおかしくはない。こうなると、距離が離れているうちに先制した方が良い。


「魔法を使ってみるわ」


 実戦で試したかったので八尋に提案した。


「分かった。でも、気を付けて」


 八尋に頷いて魔法を発動させる。


「《火弾ファイアボルト》!!」


 火の弾が赤鼠目掛け一直線に放たれる。火の弾が直撃し赤鼠が燃え上がった。


「やったわ!」


 燃え上がったのを見て倒したと確信した。刹那、赤鼠が後ろ脚で立ち上がり、口から火の球を放つ。ゴオォと周囲を焼き尽くさんとする火の球は、瞬く間に眼前に迫る。とっさに八尋を突き飛ばした瞬間、火の球が身体に直撃した。耳をつんざく爆発音と、皮膚を焼く熱気で意識が飛んだ。


 【十六夜 美奈】


 種族:人間

 レベル:1

 マナ:11500/17500 → 500/17500


 筋力:18   知力:11

 体力:15   精神:12

 敏捷:16   魔力:14

 器用:13   幸運:17


 職技能:レベル

 戦士:3 → 5

 魔法士:1 NEW


 能動スキル:レベル

 連撃:2 NEW

 強撃:2 NEW

 薙払:2 NEW

 捨身:1 NEW

 飛撃:3 NEW

 挑発:3 NEW


 受動スキル:レベル

 頑強:2 NEW


 魔法:レベル

 火属性魔法:1 NEW

 付与魔法:1 NEW

 補助魔法:1 NEW





 【三輪 八尋】


 種族:小人族   種族特性:鋭敏知覚

 レベル:1

 マナ:2500/17500


 筋力: 7   知力:15

 体力:13   精神:14

 敏捷:20   魔力:11

 器用:18   幸運:9


 職技能:レベル

 盗賊:5


 能動スキル:レベル

 罠設置:1

 罠解除:1

 探索:2

 追跡:1

 隠密:1

 隠蔽:1

 解錠:1

 道具鑑定:2


 受動スキル:レベル

 危険感知:2

 罠感知:2

 先制:1


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ