表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/60

プロローグ

「いってきまーす」


 と、言うと


「いってらっしゃーい。車には気をつけるのよ!」


 と、母が送り出す。いつもの朝のやり取りを交わし家を出た。


 ちょっと家を出るのが遅かったな。急ごう。


 少し足早に、通学路を進んで行く。

 自宅から高校までは徒歩十五分。遅刻まで後十五分。ギリギリだ。

 いつもなら登校門限の三十分前には出かけている。しかし、昨日はネットゲームのやり過ぎで、寝るのが遅く深夜になっていた。その結果が朝寝坊という訳だった。


 入学して一週間しか経って無いのに、また遅刻か……ちょっと不味いな。


 ゲーム・アニメ・漫画が好きで、熱中すると時間を忘れてしまう事が多い。長い春休みの間は、ハマっていたネットゲームに毎日時間を忘れてログインしまくりだった。そんな生活を続ければ、春休み半ば頃には、昼過ぎに起きて深夜までゲームをするのが当たり前になっていた。

 春休みが終わっても、一週間では昼夜逆転の生活はもとに戻らず、授業中に居眠りなんてしょっちゅうだ。


 短い時間で止めようと思ってても、ついつい時間が経っちゃうんだよな……。


 等と考えているうちに、交差点が見えてきた。

 自宅と高校の間に国道が横切っており、この交差点を渡るとすぐ高校に着く。だけど、この交差点『開かずの交差点』と呼ばれてるほど信号待ちが長く、赤信号に捕まると確実に遅刻する。歩行者信号を確認した。


 信号は……青だ!


 急いで走りだし交差点向かう。交差点に着くころには歩行者信号が点滅し始めた。息を切らしながら、速度を緩めず横断歩道を渡る。渡りきったところで信号が赤に変わった。周囲には僕以外居ない。


 なんとか間に合いそうだ。


 安堵し、その場で立ち止まって息を整える。

 刹那、左後方からキキキキーッ! と急ブレーキの音が響き渡る。何だ!? と振り返って見れば、急停止した軽自動車と、猛スピードの黒い乗用車が減速もせずこっちに向かってくる。段々近づく車を認識しても、焦って体が上手く動かない。


 ぶつかる!!


 逃げようと一歩踏み出すと、脹脛ふくらはぎに衝撃が走る。足元が跳ね上げられ、体がフロントガラスにぶつかった。フロントガラスは粉々だ。反射的に頭を守ったが、衝撃で息ができない。そのまま車体後方に飛ばされた。痛みで意識が朦朧となり、アスファルトが眼前まで迫る。

 グシャ!! 落下の衝撃が全身を襲う。全身の激痛と体から流れ出す血液を感じながら、僕は意識を失った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ