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運 -さだめ-   作者: 碧生
8/8

4年後〜高一〜

万里奈と付き合い始めて早四年。

オレと万里奈は私立恒心館高校を揃って受験し、万里奈は首席、オレはギリギリで合格した。


高校に入るときに万里奈はバスケを辞め、吹奏楽部に入部した。

オレは続けている。


ある日、万里奈もオレも部活が休みだったし両親もいなかったので久しぶりにオレの家でおうちデートをした。


二人でオレの部屋でテレビを見ていると

『あおちゃん……』

いつもと声のトーンが違う。

「ん?どうした?」

『あたし……ゴメン、なんでもない。』

「言えよ。」

『嫌いにならない?』

「…なるかよ。オレがオマエを嫌いになるのは万里奈がオレより先に死んだときか、オレの頭がおかしくなったときだ。」

『ホントに?』

「うん。大丈夫だよ。」

『……やっぱりいいや。』

「…オレがオマエを抱きしめてたら言える?」

『わかんない…でも…やってみて言う勇気が出たら言う。』

「じゃぁやるよ。」

オレは万里奈を強めに抱きしめた。

『……あおちゃん…あたしね…告白されたの。』

「……誰から?」

『河西先輩から…』

河西先輩とは学校一番のワルだ。

「…いつ?」

『昨日の放課後。』

昨日はバスケ部のミーティングがあり、一緒に帰れなかった。

「それで?」

『あたし…ごめんなさいって言ったの。』

「うん。」

『そしたら……急に…』

「急に?」

『急に……キスされたの……』

オレは衝撃をうけた。

万里奈は泣いていた。

思わず万里奈を抱きしめていた力が緩んだ。

『ほら…嫌いになったでしょ!?』

万里奈は半分泣き叫ぶように言った。

『あおちゃん…ごめんね…あたし逃げれなかった。舌が入ってきても逃げなかった…足が動かなかったんだ……。』

「………。」

『もうあたしのこと…』

「嫌いになんか…ならない。」

『えっ…なんで?あたし逃げなかったんだよ?!ディープキスされても…』

「オマエはさ、何が言いたいわけ?」

万里奈が泣き叫んでからオレは万里奈を抱きしめるのをやめ、向かいあっていた。

「オマエさ、河西先輩から逃げなくてディープキスされたからオレともう別れようって思ってるわけ?」

『……』

「オレはそんなの認めない。」

『あたし…』

「まだなんかある?そんなにオレと別れたいんか!!」

オレはデカイ声で言った。

『……別れたくなんかない…!ずっとずっと一緒にいたいよ…』

「じゃあそうすればいいじゃん。」

オレがそう言うと万里奈は顔を上げた。

『いいの…?』

「バーカ。オレ言ったじゃん。オマエの歩いてきた道がどんな道か知らないけどこれから知っていきたいって。だからこれもオマエが歩いた道だろ。オマエはそれをオレに教えてくれた。それでいいじゃん。」

『あおちゃん……』

「万里奈…オレはずっと万里奈のそばにいるから。」

『うん…』


そのままオレと万里奈は唇を重ねた。万里奈がされたよりももっと激しく…

オレは万里奈を愛した。

万里奈も愛を返してくれた。


2ヶ月後〜

『あおちゃん今日会える?』

万里奈から電話で言われた。いつもならメールなのに…

「おぅ。じゃあ公園で。」


「万里奈!」

ベンチに座っている万里奈を見つけた。

電話してきたときもだったが元気がない。

「どうしたんか…?また誰かに…」

『違うよ…』

「じゃあなん…」

『あおちゃんとあたしの…赤ちゃんが出来たかもしれない。』

オレの話を遮って万里奈は言った。

「………えっ?」

『生理が…来なかったから…まさかと思って…検査薬買って試したら…』

万里奈は体温計のようなものをオレに差し出す。

そこにはくっきりとした一本の線があった。

『陽性だった…』

混乱した。何もわからなくなった。

「…陽性って何…?」

『出来てるかもしれないってこと。』

「マジで…?」

『うん…。』

間を開けずに万里奈が言った。

『あたしは…産みたいよ。だって…あおちゃんとあたしの赤ちゃんだもん。中絶なんて…出来ないよ…』

「…どんなに反対されても?」

『うん…』

「オレも産んでほしい。でも万里奈が死んだりするのは嫌だ。だけど…それでも万里奈が産みたいなら…オレは学校やめて…働いて…万里奈と赤ちゃんが元気で入れるようにするよ。反対されたら…二人で逃げて…どこか知らない町で…暮らそう!」

『本当に…産んでいいの?』

「うん。つーか…産んでください。」

『ありがと…』


オレらはまず、オレの両親に話した。「親父、お袋。話しがあんだけど。」

《どうした碧生。改まって。》

〔そうよ。あら、万里奈ちゃんも。〕

『こんにちは…』

オレは単刀直入に言った。

「万里奈に…赤ちゃんが出来た。オレと万里奈の子供が。」

《何お前ふざけてんだ。今日はエイプリルフールじゃないぞ。》

〔お父さん…碧生、本当なの?〕

「ああ、本当だ。親父達と話が終わったら二人で病院に行ってくる。そして…証拠はこれだ。」

オレは検査薬をお袋に渡した。

親父とお袋は検査薬とオレと万里奈の顔を交互に見た。

《ホントなんだな。》

〔そうね…〕

《万里奈ちゃん。君の気持ちを知りたい。産みたいか?》

『はい。』

はっきりと万里奈は言った。

《自分の命を脅かしてもかい?》

『産みたいです。』

《これからの自分の人生を犠牲にしても?》

『私は…私と碧生君のもとへ来てくれたこの子を…私のなかにいるこの子を…自分を犠牲にしてでも産みたいです。』

黙っていたお袋がオレに聞いた。

〔碧生は…万里奈ちゃんと赤ちゃんを守っていく覚悟はあるんだね。〕

「オレが守る。絶対に。赤ちゃんも万里奈も…幸せにする。」

《わかった。》

親父は咳ばらいをして言った。

《お前が決めたならそう生きろ。俺達家族は全力でサポートする。》

〔万里奈ちゃん。この子、真っすぐすぎるとこがあるから…お願いね。あと体を大事にね。〕

《そうだ。未来の社長かもしれないからな!》

「親父…お袋…ありがとう。」

『ありがとうございます。』


オレと万里奈は病院へと向かった。

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