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思い出③
『あ〜あのアイス、とってもおいしかったっ!あおちゃん、ありがと。…また…連れてってくれる??』
万里奈はオレを見上げながら甘えた声で言った。
「ああ…いくらでも連れていってやるよ。しかし、オレの小遣いがあるときならな!」
『うん!わかった!!』
万里奈は無邪気に笑った。
ふと腕時計を見ると、まだ4時だった。
「城まで行ってみねぇ?」『えっ!?宮家城まで行くの?』
万里奈が驚くのも無理ない。ここから宮家城までは片道2㌔ある。
何故オレは宮家城に行こう、と言ったかというと…
まず一つ目は、景色がチョー綺麗な穴場スポットに万里奈と行きたかったから。
二つ目は、歩きながら二人で部活の事や、学校の事を話したかったから。
2㌔もあれば話したいこともすべて話せるだろう。…いや、2㌔ではない。往復で4㌔だ。
「ゴメン……やっぱ無理だ…」
『行きたい!!』
考え込んでいるようなそぶりを見せた万里奈に謝っている途中で万里奈は顔を上げて言った。
『お城、行こっ!』
「おっ…おう。行くかっ!」
オレと万里奈は歩きだした。