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思い出②
-部活終了後-
オレとアイツは家が近かった。
というか、近くなった。
理由はオレが先月、新しい家に引っ越してきたから。
急いでアイツの後を追う。
「万里奈ぁっ!!」
オレがそう呼ぶと万里奈は振り返った。
『あっ、あおちゃん…』
万里奈は気まずそうにこっちを向いた。
オレは走って万里奈の横へと向かう。
並んで歩きながらオレは万里奈に言った。
「さっきは…ごめんな。」
万里奈はうつむいたまま歩いている。
オレはその様子を見ると言った。
「なぁ、アイス食わねぇ?奢るからさ。」
「アイス」と言った瞬間万里奈の目は輝いた。
一度お互い家に帰り、3時に金岸駅で待ち合わせをした。
万里奈の私服はとっても可愛かった。
短めの薄色デニムにショート丈の白いレースつきのトップス、足元は少し踵の高い焦げ茶のブーツ。そして手提げのハンドバックを持っている。
見とれるってこういうことなんだな、なんて思っていると
『どうしたん?』
とちょっと甘えた声で言ってくる。
「いや、なんでもねぇ。行くか。」
オレと万里奈は歩きだした。