思い出①
オレらが出会ったのは中1の頃。
アイツは小学校からバスケをしていた。
部活はもちろん女バス。
オレらの代のバスケ部は男子6人、女バスは4人だった。
アイツはずば抜けて上手かった。他の3人よりもずっと。
オレは中学に入ってからアイツのことを知った。クラスは違ったが平日は部活で見かけていたからだ。
ある日、先輩達は修学旅行に行き、一年だけで練習の日があった。
オレら男バスは、先生もいないこともあり、まあふざけてやっていた。
『男バスふざけたらいけんよー』
そういったのはアイツだった。
今まではあまり気にしていなかったが、先輩達もいないので健祐が
「なぁ女バス。対決しようぜ。」
といった。
4対4(その頃には2人辞めて4人になっていた。)で戦っていた。
恥ずかしくて相手を見れないでいると、
『あれぇ?あおちゃんどうしたん?』
アイツが言った。(女子からオレはあおちゃんと呼ばれていた。)
顔を上げると…
アイツがオレを覗き込んでいた。
光が見えた。
一瞬でわかった。
あぁ、オレはコイツが好きになるな、と。
「どーもねぇよ。」
次はしっかりと顔を見て言った。
本当は顔が熱かった。
オレ、顔が赤いだろうな。と自分で思った。
「あっ碧生、顔が赤けぇっ!好きなのかぁ?!」
佑樹がはやしたてた。
続いて健祐や女バスの由貴がはやしたてる。
「うっせぇよ!!」
オレは苦し紛れに言った。
アイツは何も言わなかった。