君を知りたい
少し経ってようやく翡翠さん呼びに慣れてきた。
女の子の名前を呼ぶことが今までなかったからちょっと小っ恥ずかしい。
目で追ってたら急に呼ばれることもあるから心臓にも悪い。
綺麗な茶色混じりの黒髪、澄んだ瞳、真っ白な肌。近くで見るとその美しさにさらに圧倒される。
彼女と関わり始めてから、
彼女を見た途端何故か鼓動が早くなる。
いじられて頬を赤らめる彼女はとても愛おしい。
俺だって美咲さんと同じようにほっぺぷにぷにしたい…
っは…!?
最近いつもこうだ…彼女を見ると色んなことがしたくなる。俺って変態だったのか…?
「陸、ちょっと相談乗ってくれ…」
陸は何やら面白いことが起きたな?というような視線でこちらを見つめてきた。
「良いよ〜透だったらなんでも相談乗るよ。」
「最近、翡翠さんに話しかけられると鼓動が早くなったり、触れたいって思うようになって、もちろんいやらしい気持ちとかはないし、触れるだけじゃなくてもっと色んなことを知りたいって思って。俺、変になったのかな…?」陸は吹き出すのをこらえるような声で、
「今どきそんなにベタなやつ、なかなかいないよ。」そういうと、急に真面目な顔して「透。翡翠のこと、好き?」
突然のことに驚く。「そ、そんな好きとかじゃなく…」
あれ?好きなのか?でも嫌いじゃないよな、優しいし可愛いから。たまに見つめちゃうこともあるし、僕にとって大切な存在だ。…あれ?「陸、恋ってどういうもの?」「恋?誰かを大切にしたいとか、そういう気持ちは間違いなく恋じゃないかな?」ってことは…
俺、翡翠さんのこと好きなのか…
急に新しいことを知ったような、感情に名前が付いてホッとしたような…?妙にむず痒い感じもする。
陸の方を見ると、あの日と同じようにニヤけてコッチを見ていた。急に恥ずかしくなってきた。
「なんだよ〜…」そう言うと、「透のその顔、写真撮って良い?」そんなふうに言ってきた。
「だ、ダメに決まってるでしょ!!俺怒るよ!?」
「ちぇっ…」不貞腐れた子供のような声で陸が言う。こんな陸は初めてだ。
「ともかく、俺は翡翠さんが好きだ、それだけ…」
改めて口に出すと余計に恥ずかしい。
また陸にからかわれると思ったけど、陸は「うん。」そう言って何故か幸せそうな顔をしていた。
「あっ、透。そういえばなんだけど、初詣さ、航と僕と、透で行かない?」思い出したかのように陸が言う。
「勿論!!行く行く。」断る理由もない。むしろ嬉しい。
そんなこんなで冬休みの予定なんかを話していると、
「陸、透くん、おはよう。何話してるの?」噂をすれば影と言うが、タイミング良く翡翠さんが話しかけてきた。
「おはよう。今?明日から冬休みだからそれについて、」陸が言う。
翡翠さんは冬休み何処か行くのかな?「翡翠さん...おはよう。翡翠さんって冬休み何処か行くーー」「あの.....透くん!!」急に名前を呼ばれたのでビックリした。「さん付けしなくて翡翠でいいよ...?なんて。」
え…?どうゆう事だ?翡翠さんって俺のこと好きなの!?
いやただの勘違いだ、翡翠さんはみんなに優しいし、陸や航もそう呼んでるんだから別に他意はないはず…
「じゃあ...翡翠、って呼ぶね。」そう絞り出して応える。「うん。じゃあそれだけだから。またね、透くん。」そう言ってそそくさと帰っていった。
「陸、僕変じゃなかったよね…?」
呆気にとられていた陸に聞くと、「だ、大丈夫大丈夫。それより、翡翠に嫌われてないこと喜べばいいじゃん。今までそんなに話したこともなかったでしょ?」冷静さを取り戻してそう言う。
確かにそうだ。今はそのことを喜んでおこう。
次は初詣回の予定です。




