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貴方が全て面倒を見るの

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

我儘の極みの様な子の話。

物凄く傍若無人。誰かと一緒が大嫌い。趣味は一人で楽しむもの。其れでも自らの対価の為に相応な我慢をする。そんな彼女が家に着くなり玄関に倒れ伏した。もう一歩も動きたくない様で、暫くの間。ずっとそのまま。其れはある意味、死体の様だった。

「また風邪引くぞ」

此方がそう言うと、啜り泣きが聞こえて来た。『うっ……うっ』と泣く様は、何時もの彼女では無いようだった。

「全然、全然、全然全然全然全然全然!! 楽しくない!! 風邪治り掛けで行かなきゃ良かった。お昼食べられなかった。何時も荷物番ばっかり。待ってばっかり。並んでばっかり。身体中痛くて仕方ない。最悪、最悪、最悪最悪最悪!! うっ……うっ……」

誰よりも傍若無人。団体行動大嫌い。趣味は一人で楽しむもの。其れでも自らの対価と支払っているのは、周りの信頼であり、自らの居場所であった。

けれどもその対価というのは、果たしてその自尊心を支払ってでも、守らねばならないものであろうか。

「痛い……痛い……痛い……。最悪。大嫌い。何もかも大嫌い。でも断らない、断れない自分が何より嫌い。死ねばいい……」

「……」

誰だって少しぐらい、誰と共にいる事で生じる不快感、嫌悪感、孤独感があるだろう。その容量が限界を溢れ、暴走の一途を辿っていた。そうしてこうなると、彼女は何時も以上に傍若無人に鳴って我儘をごねる。

「面倒見て……貴方が全部……。部屋まで運んで。コートを脱がして。荷物を片して。脚を撫でて。キスをして。全部、全部全部全部。貴方が面倒を見るの」

彼女は蹲った状態から、渋々顔を上げる。いつものすまし顔は、何でもない顔は、涙でぐちゃぐちゃになっていた。その表情を対価に面倒を見る事にした。物凄く傍若無人で、誰か一緒が大嫌い、趣味は一人で楽しむものであるそんな彼女の。

「お前は本当に、誰かと一緒が大嫌いだな」

俺はそう言って、この我儘極まりない女の体を抱き上げる。疲れ果てた全身を労る様に。慰める様に。

「貴方だから許すの。貴方だから我儘言うの。貴方じゃないといけないの」

誰かとぶっ続けで一緒にいる事が出来ないんです。

もしもそうなる事があれば、あれこれと理由を付けて、一人の時間を作ります。


だから今日は疲れてしまいました。


どうして皆、互いが互いに気を遣い続けても、団体行動を行い続けても、笑顔で居られるんだろう。話し続けられるだろう。隠し通せるんだろう。

一人だから、何とかなる事も多いのに。


そこで考えたのが、波長の合う人ならばそんな事はないのかなと。

疲れたら休んで、お腹すいたらご飯食べて、必ずしも一日中、全てを犠牲にして行動しない人。

鍵と鍵穴の関係の様に、凹凸以外は全て合致する人。


そんな人が彼女にとっての彼なんです。


疲れたなぁ……本当に。

ずっと一緒に居たいって、本気でそう思っているのかな。

ただ自分にとって都合の悪い相手だったから、そう言わないんじゃないのかな。

私の存在価値って、ただ都合の良い関係意外に何があるんだろう。


どうするのが、どれをどのくらいの塩梅で、どのタイミングで行えば、私も相手も疲れないんだろう。

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