6話 ひと時の楽しみ(後編)
1. 文章・作品を書くのは得意ではないです。
2. 語彙力はないので簡単な言葉が多いです。
それを踏まえた上で作品を楽しんでください。
※この作品は実在をもとにしたフィクションです。
実在の人物や団体などとは関係ありません。
登場人物
・音野 利木 生徒会会長補佐
目を覚ますと、名もない世界にいた。ここに来た記憶はない。そこから、雫と出会うことになった。雫曰く、この世界に来た人は過去の記憶がないということだ。そこから生徒会へ入ることになり、この世界の謎を探すことになった。
・雨空 雫 生徒会長
この世界を一番最初にたどり着いた人物。生徒会のリーダーとして、仲間をまとめている存在。この世界に来た当時から謎を探しているみたいだ。
・岩浅 優奈 生徒会副会長
頼りがいがある、お姉さんのような存在。雫と似た性格だけど、サポートをする存在。よく男連中が暴れることがあるため、怒ると怖い。止めに入ることがしばしば。
・水野 凛 生徒会書記サポート
一歩引いた位置にいることが多く、『はる』とは、とても仲がいい。『はる』の可愛さに嫉妬してしまうこともあるけど、可愛いものに目がない。はるを守るようにいつも一緒にいる。
・澤味 はる(さわみ はる) 生徒会書記
見た目は、かわいい女子生徒。だけど、実は体は男で、心は女。いわゆる性別違和だ。そんな『はる』の事情は仲間は知っているが、女子生徒として接している。
・東条 七 生徒会風紀委員
生徒会仲間の中では頭は良く、周りのことが良くみえて冷静な判断ができる。それがマイナスになることもあり、頑固になることもある。人よりゾーンに入りやすく、たまに周りが見えないことも。
・山岡 海 生徒会無職
少し口調は強めだが、仲間思いで男子たちとバカをして遊ぶことも見受けられる。根は優しく、体を張る場面も。口調が強いのは、弱い自分を隠すためにあるのだとか。
・吉野 久吉 生徒会バカ担当
見た目は優等生に見えて、中身はかなりのバカ。いつも、遊んでいると必ず最初にドジをしてしまう。そんな吉久だが、バカをしても皆が笑ってくれるのが、心から嬉しいと思ってる。
・夜空 陣 生徒会会計
男子と共にバカ騒ぎを起こすが、その中でも冷静で真面目な性格。面白い、楽しいという理由で一緒になって遊んでいる。本来はここにいる立場ではないが、楽しいという思いがあり一緒にいることも。
僕と陣は洗い終わったもの調理室へ運びながら会話を交わした。
「今日は楽しかったな。いつか終わりが来ると思うと、寂しい気持ちになるな」
「利木くんの割にはなんだか弱気だね。まあ、その気持ちわからなくもないかな。僕も楽しいのが好きだし、寂しいのはなんだか嫌なんだよね。多分、知らない過去の記憶が関係してくるんだろうね」
「やっぱり、知らない過去の記憶なんだろうって感じることはあるの?」
僕も何回か感じることはある。だけど、実際に関係してくるとは限らない。
それは憶測でしかない。
「わからないけど、僕の場合は『楽しい』が、関係していると感じることはあるね。機会があればわかることだけど」
感じ取ることが出来るのは僕だけじゃないんだ。
そうしたら、僕は何を感じ取ることがあるんだろう。
「気にすることもあるけど、今は考えないようにしてるかな。とにかく、楽しいことがしたいよ」
「なんか陣らしいね。僕がここに来てそんなに経たないから、知ったような言った口ではないかもだけど」
「そんなことないよ。いつも一緒にいるんだから、見抜くことくらいはできると思うよ。利木くんにはね」
見抜くか…
見抜くというより、観察眼なのかな?
話をしていたら、いつの間にか調理室に着いた。
「着いたね。サクッと使ったものを片づけようか。僕はこっちをするから、利木くんはそっちをお願いするね」
僕たちは役割分担をして片づけを行った。
終わった僕たちは再度合流して、帰ることにした。
「さて、片付けも終わったことだし、みんなのところに戻ろうか利木くん」
「そうだね、優奈が温かい飲み物を用意しているかもしれないし、急いで戻ろうか」
そういって僕たちは、急いでみんなのいるところへ戻ることにした。
皆がいる屋上に戻った僕たちは、みんながテーブルに座って待っていた。
僕たちの帰りを待つかのように。
そこには海もいた。
シャワーの許可を取りにいった海も、テーブルに座っていた。
「みんな集まって何してるの?」
僕はみんなに言った。
「今後の方針について、もう一度考え直そうって凛が言い始めたんだよ」
そう言ったのは、はるだった。
テントの中で凛とはるの中で、話が行われていたのだろうか。
メンタル面で一番心配なのは凛だ。
だから、方針も一度ストップをかけたのも、凛のことを思ってのことだ。
優奈が再度、みんなに温かい飲み物を持ってきて話が始まった。
「凛がもう一度、ミッションに参加したいと言ってきたわ。それについて、話をしたいと思ってるわ」
生徒会長であり、リーダーでもある雫が仕切り始めた。
「その理由を凛、聞かせてもらってもいいかしら?」
雫は凛になぜ再開をしたいと思ったのか聞いた。
「理由は特にないわ。ただ、この仲間の中で精神的な部分で一番弱いのは私だとわかってるわ。足を引っ張っていることも自覚してる。今回、みんなと一緒に楽しんでわかったことが二つあったわ」
凛を変えた理由が二つも、このバーベキューに出来たのか。
「まず一つは七の出来事。前回のミッション達成で送られたメッセージで私は気が動転してしまった。その間、七は過去の記憶と立ち向かった。負けずに。そこには、仲間が寄り添ってくれたから。だから、私も変えなきゃって思わされた。もう一つは、今回のバーベキューで仲間を頼っても良いんだって思った。何があっても、助けてくれるんだって。だから、前に進もうと思った」
凛の言葉には強い意志を感じた。
自分を変えたいという意志。
「凛の気持ち、わかったわ。凛なりに考えた結果がこの答えということね。だけど凛、凛だけではこの先に進むことは出来ないわ。それは、わかってるよね?」
「わかってるわ。全員一致が条件てことに」
「そうよ。だから、みんなの意見を聞いて、全員一致でこの先どうするか決めるわ」
生徒会のルールでもある『全員一致』
それをクリアしない限り、何も始まらないのだ。
それについてみんなはどう思っているのだろうか。
「私は凛ちゃんとテントで話をしたから賛成に一票」
はるは賛成した。
続けて、陣と海が賛成した。
周りを見渡した久吉が続けて賛成した。
後は、僕と優奈、雫だけだ。
雫は、何も言わずとも賛成するだろう。
何故なら、みんなのことを尊重していることだ。
後は優奈だが、少し難しそうな顔をしていた。
「私は…賛成ではあるけど心配ではあるかな。七ちゃんみたいになっちゃうと心配で仕方がないわ。それでも、前に進んで行きたいというなら止めはしないわ」
優奈はそう話した。
優奈は誰であっても心配する。
だから、今回も凛のことを思っての事だろう。
「優奈は賛成でいいんだね?」
「賛成でいいわ。後は、利木くんだけだよ」
「僕は賛成だよ。凛の強い意志が伝わったからね」
「それじゃあ、全員一致で今後、ミッションは再開という形になりました」
これで全員一致の条件が達成された。
後は、誰が選ばれるか。どんなミッションが出されるか。
そして、誰がどんな過去をみせられるかだ。
賛成した海は、その後黙って座っていたが突然、雫に質問をした。
「雫、一つ疑問なんだけど前のミッション達成の時に『君たちのタイミングで送ればいい』みたいなことを言っていたが、こちらから要求すればその人が選ばれたりできるの?」
海が言っていることを考えると、確かに何か条件みたいなものはなかった。
返事を返すことはできることはわかったのだ。
ただ、海が言ったことは考えもしなかった。
「やったことがないからわからないわ。でも、その考えはなかったわ。一度やってみるのも手なのかもしれない」
そういって、雫はスマートフォンを取り出しメッセージを送ってみた。
予想外のことが起きた。
それは、返事がすぐに返ってきたのだ。
「やってみるもんだね。こういうのは」
そう雫は呟いた。
『どういうこと?』と言わんばかりに、みな雫の方を見た。
「返事が返ってきたのよ。まさかのね」
「でも私たちにはメッセージは送られてきてないわよ」
優奈が言った。
優奈が言った後、みんな自分のスマートフォンを見たが何も送られてきてなかった。
「それって、リーダーでもあり、送った本人でもある雫だけってことになるね」
七が冷静に分析をした。
雫は送られてきたメッセージを読み上げた。
「『その希望を望んでいるというなら、その望みを叶えてあげよう。猶予は今から一時間。返事を待っている』そう書いているわ」
まさか要求を呑むなんて思いもしなかった。
返事か返ってこないと思っていたが、まさかの展開でびっくりした。
それは、僕だけじゃない。みんなも、驚いてる様子だった。
「まさか送られてくるとはな。俺も正直驚いたよ」
本人も驚くだろう。
まさかの展開なのだから。
「それで誰がやるんだ?まだ決めてないけど」
海が誰をしたいのか雫が言う前に言った。
「私がやるわ」
言い出したのは凛だった。
一番メンタルが弱い凛が率先して「やる!」と言った。
「凛ちゃん!本当に言ってるの!?」
はるが凛に止めようをしていた。
驚きもあったけど、凛と一緒にいるからこそ、凛の弱さも知っているんだろうと思う。
だから、色んな感情が凛に対して向けられた。
「凛ちゃん、今じゃなきゃだめなの?」
「はる、言い出したのは私だよ。それに、今じゃなきゃ今の私、過去の私と向き合えないと思ったのよ」
凛の中では、もう覚悟が決まっているようだ。
「ミッションを再開したい」そう言いだしたのも凛だ。
凛は自分と向き合う時間が生まれたのだろう。今回のバーベキューで。
「凛ちゃんがそういうなら、私は止めないよ。だけど、心配なんだよ…」
「はる、今の私なら大丈夫だから。みんなが私で良いなら私にやらせてほしい!」
「凛ちゃんが言うなら私は止める必要はないわね。何かあったとき、私にも頼って良いからね」
優奈が心配しながらも、後のことも考えてくれた。
お姉さん的な存在ぶりだ。
久吉が優奈にお世話かけてるのも納得だ。
「問題ない。俺は俺のことをするだけだ」
要は「何かあったら助けてあげる」遠回しに海は言った。
他の人たちもサポートしてあげると凛に言った。
みんな賛成したようだ。
「全員一致で賛成。そして、今回は凛、あなたが過去を知ることが出来る機会を与えられた。最後にもう一度聞くわ。本当に、凛がするんだね?」
「うん、私で大丈夫!今だからこそ。今しか向き合うことが出来ないと思ったから。お願い、雫」
「わかったわ。メッセージを送るわね」
そういって雫は匿名に対しメッセージを送った。
そして、返事はすぐに返ってきた。
「返事返ってきたわ。読み上げるわね。『指名は凛。ミッション内容は明日、メッセージにて送る。失敗した場合、いつもは何もなかったが、今回失敗した場合はランダムで過去の記憶を蘇らせる。内容は以上』と書いているわ」
「失敗したらランダム?初めての出来事だね。少し驚いたよ」
陣がそういった。
「そうね、今までのパターンだと特に何もなかったのに、急に内容が変わったわね。予想はしてなかったわ」
雫でもこの内容は予想外の事だったようだ。
七は自分の考えを話し始めた。
「多分、こちら側から要求したからだと私は考えます。そのペナルティとして最後の『ランダム』が適応されたのだと思います』
こちらからの一方的な要求にはそれなりの代償が必要というわけか。
七の考えだと。
それなら納得のいく説明ではある。
ランダムとなると僕になる可能性も考えられるのか。
「七がそういうなら、少なくとも納得のいく説明ではあるわね。だけど、ランダムとなるとより慎重にならないといけないわね」
凛を対象に絞ったからには、達成することが目標になってくる。
そのためには、どのミッションであったとしても必ず成功させる必要がある。
よりによって、ミッション内容が明日の朝に送られてくるとなると対策が難しい。
即席でなんとかしなければならないのか。
「とりあえず今日はみんな、シャワーを浴びて寝ましょう。対策は明日、メッセージが送られたときに、限られた時間で作戦を考えるとしましょうか。それで海、シャワーの許可は取れたの?」
「ああ、許可は取れたよ。順番は雫に任せるよ。ほら、鍵」
シャワー室の鍵を持ってる海が雫に投げた。
雫は器用にキャッチした。
「順番はまず、女子から入らせてもらうわ。一番最初は、はるが入った後、凛、優奈、七、私が入るわ。男子たちは、男子で順番を決めて入ってちょうだい」
そういって、女子たちはシャワー室へ向かった。
残った僕たちは、テントの割り当てを決めた。
テントの組み合わせはくじ引きで決めた。
くじ引きの結果、久吉と陣がペアで。残りは僕と海のペアでテントの割り当てが決まった。
「よかったー。久吉と一緒じゃなくて」
そう言いだしたのは海だった。
なぜそんなに喜んでいるんだろう。
「久吉と一緒だと寝相悪いんだよな、あいつ。だから、一緒の時、ぐっすり寝れないんだよ」
「僕はいつも隅っこで寝ているから気づかなかったよ。海がそんなに言うんだから相当なんだろうな」
「お前一回、久吉と一緒に寝たらわかるよ。まあ…今回は俺と一緒だったからな」
久吉ってそんなに寝相悪いんだ。初めて聞いた。
今回は陣が犠牲になったのか。
「陣、頑張れ!」
「利木くん急にどうしたの?」
「いや…まあね」
ここはなんとか誤魔化しておかないとね。
「なんだか、この四人だけってなんだか久しぶりのような気がするな」
いつぶりくらいだろう。
僕がこの世界に来てそんなに経ってないはずだけど、それでも長い間一緒にいた気分だ。
「初めてミッションをした時以来じゃないかな?あの時は、利木くん初のミッション参加だったよね」
そういえば、初ミッションがこのメンバーでやったのだったな…
なんか、かなり前のように思えてくるけど、僕がここに来てそんなに経ってないけど不思議だ。
「あのミッションで久吉がやらかしたんだぞ。焼きそばパン買ってきやがって」
「あの時は途中まで覚えていたんだけど、同じ焼きそばパンが目の前になって、そっちに目がくらんだんだよ」
「結局、僕と海で何とかして取りに行けて、陣は陣で手に入れることが出来たしな」
「申し訳ないです…」
「謝らなくてもいいんだよ。球技大会では活躍してくれたんだから」
あの時は信じることが出来なかった僕。でも最後は久吉が決めてくれた。
「久吉はやる時はやる奴だからな。正直、俺も利木の立場だったら同じ心境だっただろうな」
「僕は、信じてたけどね。久吉くんがやってくれるってこと」
「チームで補った結果が二つのミッションを達成することが出来たんだよな」
最後はみんなの力で達成することが出来た。
「今回もみんなでミッションを達成しよう!」
「そうだね。利木くんの言う通り頑張ろう!足引っ張ってしまうかもだけど」
「その時は、みんなでフォローすればいいだけの話よ」
海がなんか珍しい。
雫が最初、根は優しいて言ってたし、それが本心なのかもな。
久しぶりに長い時間、この四人だけで話をした。
話をしていると女子たちが帰ってきた。
「長くてごめんね、シャワー空いたから男子たちも入ってきていいよ。これ、鍵ね」
優奈が鍵を持っていたのを、僕に渡してきた。
シャワー室の鍵を手に持って、着替えを持ち僕たちはシャワー室へ向かった。
シャワー室へ着いた僕たちは、順番にシャワーを浴びることにした。
一方でシャワーから戻ってきた女子たちは、優奈が入れてくれた温かい飲み物を手に、夜の星空を眺めていた。
「楽しい時間も今日で一旦終わりなのね」
温かい飲み物を飲みながら、凛は言った。
続けて凛は話した。
「この世界に来て、この仲間たちと一緒に過ごしてきた。いつも思った。『私は弱い人間だ』ってことに。何か起きれば気が動転する。そのために、仲間に迷惑をかけてるってことにね」
「それは仕方ないじゃん!誰だって凛みたいになるよ!表情に出ないだけだと思うけど…」
はるは凛の言ったことを否定した。
みんな凛と同じだってことに。
「私も真実を知ったとき、パニックになったよ。感情の出方なんて人それぞれなんだよね。だから、そこまで思い詰める必要なんてないわ。凛ちゃん」
優奈は優しく凛に話した。
優奈も本当は怖いはず。だけど今、弱音をみせれば凛の勇気が無駄なように思った。
だから、いつものように振るわないといけないと感じながら凛に声をかけた。
雫は何も話さなかった。
いつも通りと言えばそうなのかもしれないけど。
「とにかく、明日は成功させたい。今の私なら、すべてを受け入れることが出来る」
「凛ちゃんがそこまで言うなら、私は見守るよ。一緒に居ててわかるもん。やるというからには、必ずやり遂げる凛ちゃんだからね。明日頑張ろうね」
「はる、ありがとう。どんな現実であっても受け入れるよ。この世界の謎に一歩近づけれるかもしれないからね」
そういった凛は手に持っていた飲み物を飲んだ。
「明日はどうなってしまうんだろうね。一気に世界が変わってしまったりするのかな?」
凛がボソッと言った。
黙っていた雫が話した。
「そんなのわからないわ。話を聞いて凛がここまで強くなったことに少し驚いたわ。自ら率先して志願するとは思ってもみなかったからね。一つ言えるのは、少しずつ世界は変わり始めてる」
七の件から世界は変わろうとしていた。
匿名からのメッセージも変わった。
世界は変わりつつあった。
「そろそろ男子たちが帰ってくる時間ね。みんな寝る準備をして明日に備えましょう」
雫がそういった後、みんなは各自寝る準備を始めた。
準備しているときに、男子たちは帰ってきた。
「ただいま、みんなは?」
僕は雫に尋ねた。
「明日の為に、みんな寝る準備の為にテントの中にいるわ」
「そうなんだ。後、鍵返してきたよ」
「ありがとう。男子たちも寝る準備をしなさい。明日、朝早いのだからね」
「そうするよ」
僕たちは寝る準備にかかった。
各自必要なものをテントに入れて、寝る準備ができた。
後は歯磨きをするくらいか。
「僕たち先に歯磨きしてくるから、少し席外すよ」
僕はもう一度、男子たちを連れ出した。
入念に歯を磨いた。
僕は歯を磨きながら疑問を言った。
「なんか女子たち、少し変じゃなかった?」
「そうか?いつも通りだろ。それに、女子特有の話もしてたんだろうし」
「多分明日の事だったのかな?意味のない疑問でしかなかったから忘れてくれ」
僕はそういった。
確かに女子特有の話もあるだろうから、それが違和感だったかもしれない。
歯を磨き終えた後、僕たちはまたみんなのところに戻った。
「次は女子の番だよ。僕たちは終わった」
そういった後、女子たちは順番に歯を磨きに行ってきた。
時間はそんなにかからず、五分くらいで帰ってきた。
寝る前に雫が全員に話をした。
「明日は朝が早いからもう寝ることを進めるわ。後、ミッションについては明日の朝にメッセージが来る予定よ。どんなミッションかは当日しかわからないから、出たとこ勝負よ。当日作戦は考えてはみるが、正直無いに等しいと考えていいわ。それだけ言っておくわ。それじゃあ、今日は解散とするわ。各自、睡眠はしっかりとるように。おやすみなさい」
雫の話が終わった後、各自自由行動となった。
海と久吉のペアは先にテントに入って、寝ることになった。
僕と雫以外はテントに入って先に寝ることになった。
「雫は寝ないんだね」
僕は雫に言った。
雫も僕に言い返してきた。
「そっちこそ、明日早いんだから寝ないと」
ごもっともで。
「あまり、寝れないんだよね。なんだか。楽しい後の夜って寂しくて寝れないんだよね」
「なんか意外だわ。利木くんがそんな人だとは思わなかったわ」
意外な一面でもあるか。
「この世界の星って綺麗だよな。世界って言い方はおかしいけど、こんなにも星って見えるものなんだな」
屋上から見る星空は綺麗だ。
こんなきれいな星を見るのは、多分初めてなんだろうな。記憶にないだけなのかもしれないけど。
「私はいつも夜空を見上げてるわ。何かを考えたり、考えなかったり」
深くは探らないで置いた方が良いかな。
「雫はここに来てどれくらい経つの?」
僕はあまり雫のことは知らない。
皆が寝ている今だから、聞いてみてもいいのかもと思い聞いてみた。
「かなり経つかな。数か月ってところかな。私がこの世界に来た次の人が海なんだよ。そこから、みんな次々にこの世界に来たわ。海が来るまでは少し時間がかかった。その間、私はこの世界についていろんなことを調べたわ」
雫はそんな前から居たんだ。それもそうか。
この対応力や、この世界を知れるところ全部知っている。
当然といえば当然か。
「一人の世界の時、孤独で寂しかったのじゃないの?」
「そうだね。かなりの日々を一人で送っていたから、孤独で寂しかったわ。その間、情報をかき集めたのよ。一人でいる時間が多かったのもあってか、おかげで一人であってもそんなに孤独に感じることは無くなったわ」
半分本当で半分嘘のように聞こえる。
一人でいることは誰でも孤独に感じる。
孤独に感じることがないというのは、多分嘘だ。
雫は夜空を見上げているが、どこか上の空のように。
「詳しいことはまたいつか話してあげるよ。明日も早いしもう寝ようか。利木くん、また明日。おやすみなさい」
そういって、雫はテントに入っていった。
それを見届けて僕もテントに入って寝ることにした。
朝がやってきた。
太陽の光がテントの中を照らし僕は起きた。
テントから出ると雫が立っていた。
周りを見渡すと、まだ誰も起きてきてないようだ。
居たのは雫だけだ。
多分一番最初に起きたのは雫だ。
「おはよう、雫」
雫は僕の方を見て挨拶した。
「利木くんか、おはよう。早いわね。まだみんな寝ているよ。そろそろ起きてくる時間だろうけど」
そういった後、優奈が起きてきた。
「おはよう。雫ちゃんと利木くんがいる。みんなが起きてくる前に、朝ごはん作るね」
そういった優奈は昨日残していたバーベキューを使用して朝食を作った。
その匂いにつられてなのか、ぞくぞくとみんなが起きてきた。
最後に起きてきたのは久吉だった。
起きてくるのが遅いため、凛が久吉を起こしに行った時、久吉は逆向きに寝ていた。
寝相が悪いっていうのはこういうことだったんだな…
一緒に寝ずに済んでよかった。
そんなことを思いながら見ていると、凛は久吉にいつもの光景が見れた。
「久吉!起きなさい!ていうか、なんでいつもあんたは寝相がこんなにも酷いの!起きろ!久吉!」
そう言いながら凛は久吉を蹴り飛ばした。
それで目覚めた久吉はテントにぶつかりながら飛び起きた。
その間、優奈が朝食を作ったものが出来上がり、テーブルの上には作られたものが置かれていた。
トーストに目玉焼きとベーコン、そしてウインナーがあった。
ウインナーには器用に、たこさんウインナーとなっていた。
みんな手を合わせて「いただきます」といった後、朝食を食べた。
「優奈は料理上手いね」
僕は自然と言葉が出た。
「利木くん、ありがとうね。美味しいものいつも作れるように頑張っているの」
優奈は毎日努力しているんだな。
僕も見習わなきゃだね。
優奈の美味しい朝食を味わい、みんなが食べ終わった後、雫のスマートフォンに通知が来た。
『本日のミッションはマラソン大会に優勝することだ。参加者はこちらから選別させてもらった。凛、雫、久吉、利木、優奈。この五人が参加することだ。優勝すれば凛の記憶を蘇らせてあげよう。失敗したらランダムで違う人の記憶を蘇らせる。ミッションの説明は以上だ』
マラソン大会?
作戦でどうにかなるものじゃないよ!
失敗すればランダムか…
「雫、作戦でどうにかなるミッションじゃないけど、どうするのこれ?」
僕は雫に聞いてみた。
「作戦なんてないわ。だけど、走る順番を決めることくらいはできるわ」
順番だけでどうにかなる問題じゃない。
だけど、今は優勝することに集中しないと。
「私、体力にはそんなに自身無いよ…雫やみんなに足を引っ張ってしまう」
「みんなでフォローし合えばいいだけだよ。だから、今は優勝することだけを考えよ。優奈」
「うん…凛ちゃんのためだもんね」
マイナスになっていた優奈を僕は元気づけた。
「それで順番はどうするんだ?」
僕は聞いた。
「ん…最初は久吉に任せようかな。その次に優奈。そして、私が走り、利木くんに託す。ラストに凛が走る。こう見えて、凛は体力があるからね」
最後は凛。主役と言ってもいい。それを雫はあえて託したのか?
とにかく、僕は凛の為に必死に走り、バトンを渡す。それだけを考えればいい。
「わかった。僕はその順番で良いよ。凛にバトンを渡す。それだけを考えて必死に走るよ」
「他の人は問題ないわね?」
みんな一致で頷いた。
その後、朝食を食べ終えた食器、テント、バーベキューをみんなで片づけた。
僕たちは、このミッションを達成しなければならない。
何が何でも。
僕たち生徒会メンバーは、マラソン大会へ足を運んだ。
あけましておめでとうございます。
投稿が遅れましたが。これからも少しずつではありますが、書いていこうと思っています。
たまに書く小説が私の生きがいにも、少しなっているかもしれません。
見てくれる人がいるかもと思いながらも、最後まで書き続けたいです。
今年もよろしくお願いします。