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ニエ=ファンデ

童話 毒の世界の「人間でないもの」

作者: リィズ・ブランディシュカ



 毒の世界ニエ=ファンデ。


 その世界は、人間では一秒足りとも生きられない世界だった。


 しかし、人間ではないものなら、生きられる。


 その世界には、そんな人間ではないものが一人いたが。


 その事実は、孤独を意味するものだった。


 人間が誰も生きられないその世界に、たった一人。


 話し相手はおらず。


 触れ合う先もない。


 だから、その「人間ではないもの」は狂ってしまいそうになっていた。


 自分が何者かもわからず。


 なぜそこにいるのかも分からずにいた。


 女はその世界で、気が遠くなるほど、長い時間を一人で過ごした。


 あまりにも長すぎる時間に、孤独に耐えきれなくなったその「人間ではないもの」は手を伸ばそうとした。


 人がいる世界へ、誰かと触れ合える世界へ。


 探して、求めて、必死に目を凝らして、耳をすませる。


 そうしていると、その「人間ではないもの」はかすかな光を見つける事ができた。


 それは「入口」。


 人間のいる世界へ行ける、「入口」だった。








 人間の世界へ手を伸ばした「人間ではないもの」。


 しかし、長い間毒の世界にいたせいで、「人間ではないもの」も毒になってしまった。


 やっと触れ合える。


 やっと言葉を交わせる。


 歓喜に震えた「人間ではないもの」の心、はすぐに絶望に彩られていった。


 触れたとたんに、腐り崩れる人々。


 言葉を交わすどころから、悲鳴しか返してくれない人々。


 絶望した「人間ではないもの」は、再び元の世界へ戻って、そこに閉じこもり続けるしかなかった。


 そこで、やがて狂ってしまうのだとしても。


 いつか自分の心が完全に壊れてしまうのだとしても。



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