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前章
彼は人間であり、虫であり、化け物でもある。
男は死後「カミ」と出会い、奇妙な問答が始まった。
「放り出しちゃうのよパパ!これが兄さんだなんていつまでも考えてるからいけないのよ」
「あたしたちがいつまでもそんなふうに信じこんできたってことが、本当はあたしたちの不幸だったんだわ。」
若い女が、鬼神の如き形相で怒鳴る。
初老の男は、杖を振り上げて、目の前の虫ケラを殴る。
数回にわたり殴られた虫は、言葉も発さず、そのまま動かなくなった。
それから日が経って、虫は死んだ。
虐待と、初老の男から投げられた林檎が背中に当たり、骨折していたこと、最後は衰弱死だった。
初老の男と、妻である女と、その娘は目の前で冷たくなった息子の死体を、ただ涙を流して呆然と見つめるだけだった。
そして、一家は引っ越し、貧しいながらも、
何事もなかったように幸せに暮らした。
数年前にカフカ「変身」を読み、最近唐突に浮かんだので書きました。めっちゃ個人的な考えが入ってる部分はありますので、あくまで「小説」として楽しんでいただけると幸いです。




