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祝!!投稿六日目にしてブックマーク100人突破!!
そしてローファンタジー日間ランキング15位ありがとうございます!!
秘密基地ゲットー―――――――!!!これからこの秘密基地を使ってバリバリ頑張るぞー!!
と心の中でテンションアゲアゲだったのは、当日までだ。
次の日からはじいちゃんたちがガチで人類滅亡カウントダウンまでに何ができるか村全体で会議を始めてしまったから本当に大変だった。
冬休みの宿題は終わってたからいいけど、元刑事の勘助さんと元数学教師のリョウさんのコンビによる取り調べは本当にきつかった。
俺は悪いことしてません!!って声高々に叫びたかったけど、敵の情報、パンドラの情報を持っているのが俺だけってことであれよこれよと推測を立てるために救世主の証の取り扱いの方法含めて根掘り葉掘り聞かれてしまった。
正直すっげぇ疲れた。
だけどこれで終わりじゃない。
じいちゃんたちの行動力は現役高校生の俺の上をいってしまった。
救世主の証がパンドラに対して唯一の反抗手段だと言う話を前提にするのならレベル上げは必須だと言う情報をもとに、じいちゃんたちが効率的にレベル上げの方法を模索した結果。
「シュゴーシュゴー」
俺は今、ガスマスクを装備し、白い衛生ゴムスーツで全身を覆い、片手に細いホースがもたれている。
新年年明け、三が日も過ぎ。
色々と世間様が活動を開始している時勢に俺は一体何をやっているんだ。
ホースの先から出ているのは殺虫剤。
そして俺が新年早々やっているのは害虫駆除業者のアルバイト。
なぜ救世主として期待されている俺が、害虫駆除と言う仕事をしているかと言うとちゃんとした理由がある。
『基地の方の改造は俺たちがやるとして、千翔の方の強化はどうするさ。アイツがしっかり強くならんと、ここ改造しても意味ないだろ』
『肉体的なトレーニングは日ごろの農作業を増やす方向で良いとして、この経験値を得るには生き物を殺さんと得られないっていう話じゃな。う~ん、なんかいい方法はないかのぉ』
『んなら、たしか婿が人手が足らんって言ってたちょうどいい仕事がある。世間様の役にも立って、金も入って、経験値も入る。まさに一石三鳥な仕事がの』
そんな会話が俺の知らぬ間にじいちゃん連合の中で交され、身内審査ということで履歴書だけ送られて即採用。
俺は気づかぬうちにバイト先を手に入れたのだ。
「ぷはぁ!殺虫剤の散布終わりました!!」
華々しい救世主としての活動と思っていた出だしは、割と地味なアルバイトからスタートだった。
いや、まぁ、ゲンさんにいきなり熊倒して来いと言われた内容よりは100倍マシなんだけどな。
いくら特殊な力があったとしても、今の俺は普通の高校生と大して変わらないんだから、流石に熊は倒せんよ。
「おう!ご苦労さん、休憩したら後3件はいくからな!」
「うっす!」
だったらこうやって地道にバイトして経験値を得た方が100倍マシだ。
作業自体は力仕事も多く大変で、薬を撒いた後の害虫掃除は気持ち悪かったりもするが、それはそれで慣れれば問題はない。
作業内容が作業内容ゆえに黒く素早いGに関する対応や、ネズミ退治といった話、蟻の駆除とか、季節によってはスズメバチの対応もやっているこのバイト先の仕事は思ったよりも多かった。
そのおかげか給料は半分はじいちゃんに預けたとしてもあらかじめ聞いている時給から計算したら結構いい額を稼げたりする。
もう半分は俺の小遣いにしていいとのことで高校生にしてはかなりありがたかったりもするのだ。
「お!レベル上がってるじゃん!!」
さらに本命の経験値も結構順調に入ったりするので俺としては大満足だったりする。
バイト先の社長さんからしても若い人手が手伝ってくれるのは大歓迎らしく、互いにWINWINの関係を築けている。
「結構稼げるんだなぁ、最初はもっと少ないと思ってたのに」
虫1匹ネズミ1匹は大して経験値が多くなくても、数をこなせばそれなりに経験値が入ったりするわけかぁ。
もしくはまだレベル1桁だから上がりやすくなってんのかな?
「レベルが4になったから、ステータスもいじっておこうっと、あ、それとスキルのレベルも上げとかないと」
どっちにしても現在順調にレベリングできているから問題はない。
上がり辛くなってから考えよう。
いそいそと最近操作することが増えた救世主の証のアプリからステータス画面を開きFPを振って行く。
「えっとこれで筋力5の耐久5と他の知能と精神と魔力にも均等に振ってと」
現状どんなことができるかわからない俺としてはFPを取っておくことも考えたが、じいちゃんたちが強化した体に慣れておいた方がいいと言っていたのでその言葉に従ってこうやってFPは手に入ったら均等に振ることにしている。
特化したほうが強くなるのではないかとも思ったが、逆に弱点を突かれたらあっさりやられるかもしれないからとも思ったので目指すのは万能だ。
「ふんぬ!って、イマイチ強化されたかわからないなぁ」
FPを振り終えて、力こぶを作り出してみるもそのこぶは見慣れた農業で鍛えられた筋肉。
重いものを持ってもその効果はイマイチ実感できなかったので、本当に強化されているかわからない。
「まぁ、特殊能力がもらえてるってことは強化されてるんだろうけどさぁ」
その強化されているかわからない身体能力とは裏腹に、スキルという特殊能力はパンドラが与えた力というモノなのだろう。
「………」
一仕事終えて、喉が渇いた。
ちらりちらりと左右を見て、後ろを見て、誰もいないことを確認した俺は。
「アイテムボックス」
と唱えると目の前に小さな穴が生まれた。
その穴の先には空間が広がっていて、そこに手を突っ込みその中から水筒を取り出す。
中にお茶が入っているから結構重さを感じる水筒であるが、ついさっきまでは持っていなかったものだ。
手早くその水筒の蓋を開け、中身を飲み、そしてアイテムボックスの中に戻したら元の手ぶらに戻る。
「う~ん、理屈はわからないけどかなり便利なのは確かだ」
穴が消え去り、そこには何事もなかったように見える光景に腕を組み、俺は感心する。
じっさい授業に使う教科書とか運ぶのも便利そうだなと思うが、これをやっているところを誰かに見られたら大変な騒ぎになりそうだからじいちゃんたちにも口を酸っぱく注意しろと言われている。
逆に大々的に目立って他の救世主に見つけてもらった方がいいんじゃないか?とその時は思ったが。
『ええか千翔、世の中善人ばかりじゃない。悪人も多くいる。お前の力は確かに世間様の役立つように使おうと思っているかもしれんが、世の中そんなに甘くはない。悪いことに使って得をしようと考える奴の方が残念ながら多いんじゃ。そのパンドラってやつが善人だけにこの証を渡しているかわからん今は隠しておけ。信用できると思った相手には話していいが、それ以外には話すな。それはお前だけのためだけではなく相手のためにもじゃ。この力に関して話すということは話した相手も巻き込むということじゃ。話す相手は慎重にな』
じいちゃんの説明に納得して今は隠すことにしている。
友達とかに自慢したい気持ちはあるが、それで事件とかに巻き込んで友達が怪我したとかだとさすがに嫌だ。
俺の自尊心だけのために友達が危ない目に合うと思うと、自然とそういった行動は控えようと思える。
「ん~、でも。仲間は増やしたいよなぁ」
じいちゃんたちが協力してくれているとはいえ、やはり力を持っているのが1人だけってのは心細い。
もうすぐ新学期が始まる。
漫画とかだと、いきなり現れた転校生のクラスメイトとかが救世主ってパターンもあるが、そんな都合よくいくわけない。
「世界中で1万人かぁ」
世界人口約70億。
その中の1万人が救世主に選ばれて。
日本人口が大体1億3千万人だから、おおよそ日本にいる救世主の割り振りは15人前後。
これもある意味確率的な計算だから、下手をすれば日本にいる救世主は俺1人って可能性もなくはないのだ。
「少ないよなぁ」
どうせならどおんと大盤振る舞いで世界中の人を救世主にしてくれたらいいのに。
いや、まぁそれはそれでいろいろな問題が起きるし、さすがに敵に塩を送りすぎか。
「けど、ない物強請りしてもしょうがないよな」
今はじいちゃんたちが協力的なことを感謝しようか。
ばあちゃんたちも賛同してくれて、俺の背中を押してくれてるんだ。
「おおいユキト君!そろそろ作業を再開しようか!」
「はい!今行きます!!」
俺は俺でやるべきことをやるか!
とりあえず今はレベリングをする!
可能なら今日中にもう1レベルくらいは上げたいよな!!
そうやって気合を入れてバイトに勤しみ。
「疲れたぁ!」
今日も今日とてお疲れ様だと言わんばかりに俺は家に帰ってきて、ばあちゃんが夕飯を作ってくれている台所の見える居間でぐてぇっと横になっていた。
「農作業と違った筋肉使って疲れたよじいちゃん」
「ハハハハハ!それが働くってことだ千翔!いい経験になったじゃねぇか!」
「まぁ、そうだけど」
今日やった作業はGとネズミが大半。
殺虫剤を撒いて終了の場合もあれば、色々と調べてから駆除になるパターンもあることを知らなかった俺はてっきりもっとレベルが上がるものだと思ってたが、あの後行った3件の仕事で上がったレベルは1。
今は救世主のレベルが6になったところだ。
「もう少しあげたかった」
「まぁ、時間はまだある。焦らずじっくり行けよ」
「そうだけどさぁ、はぁ、俺もじいちゃんたちみたいに猟銃が使えれば猪とか熊とか倒せてもっと経験値稼げたのかなぁ」
「馬鹿野郎、山を舐めんな。ちょっとやそっと強くなった程度でそんなことが簡単にできるもんか」
正直、感覚的にはもっとレベル上げは簡単にできるものだと思っていたけど、思い通りにいかないとこうももやもやするモノなのか。
イライラとは違った、不完全燃焼感。
じいちゃんの言っていることは正論で、確かなことなのだが、それでも不満は出てしまう。
「そもそもお国が決めた法律に逆らえないじゃろ。お前が成人するまで銃には触らせられんのじゃ」
「俺が20歳になるころに人類が滅びてたらどうするんだよ」
俺は今年で17歳になる。
法律で散弾銃とライフルを使える第一種銃猟は20歳にならないとだめなのだ。
後3年足りない。
流石にそこを無視してまで猟銃に手を出そうとは思わないけど、こういう時は子供であることは煩わしい。
「もうすぐ狩猟期間も終わる。その前に1回山連れっててやるからそれで我慢しろや」
「猪とか取ったら、その場で解体して持って帰るための人員だろそれ」
「そうだな。ワシも年じゃ。ゲンたちもな。こういう時こそ若い奴の力が必要なんだぞ」
「帰ったらたらふく牡丹鍋食ってやる」
「その前にばあちゃんの夕飯食べなよ」
そんなふうに悩みながらじいちゃんと会話をしていると、俺の鼻に良い匂いが漂ってくる。
ぐつぐつと煮込まれた鍋。
前に食べたゲンさんの牡丹鍋も旨かった。
「今日はイワシが余ってたからつみれ鍋にしたよ」
「うまそう!」
だけど、それ以上にばあちゃんの作る料理はうまい!
仕事で疲れているということは当然、胃袋も空っぽということ。
白米を大盛りで盛られた茶碗をばあちゃんから受け取って、全員分の飯がいきわたり。
手を合わせ。
「いただき」
ますと続けようとしたタイミングで、じいちゃんの携帯が鳴った。
「んだよ、夕飯の時間にだれだ?」
じいちゃんも食べようと思っていた矢先のことだから少し不機嫌になりつつ、その携帯を鳴らした犯人にその怒りをぶつけてやろうと思って表示された名前を見ている。
「ゲンの野郎か。おう!なんだ飯時に」
実際に電話に出た時のじいちゃんの声は苛立っていたが、その程度で怯むような人はじいちゃんの交友関係にはいない。
昔からの付き合いであるゲンさんならなおの事、この程度のイライラしたじいちゃんの声では怯まない。
「………なに?」
だからこそ、さっさと要件を切り出すことができたのだろうが、何やら様子がおかしい。
「?何かあったんかねぇ」
ばあちゃんもその様子に気づいたみたいだ」
苛立っていた表情が一瞬で真剣な表情に代わり、その後はおう、ああ、わかったと素直に電話に答えていたじいちゃんの通話は3分程度で終わった。
いつもならなんだかんだもう少し長電話になるのだが、妙に真剣な雰囲気をだすじいちゃんについ俺は口をつぐんでしまった。
「何かありましたかじいさん」
だけど、長年連れ添った夫婦であるばあちゃんにはその雰囲気など気にもとめず、さっさと切り出す。
「ああ、隣の県の猟友会からゲンのところに連絡が来たようなんだが」
ばあちゃんから話を振られたことによって、俺を含めて全員が茶碗を置き、話を聞く姿勢になり。
じいちゃんが聞いた話をそのまま俺とばあちゃんに伝える。
「熊が民家に入って人が亡くなったらしい。今その熊を猟友会の連中がおっているからこっちのほうでも注意しろって話だ」
「あらまぁ、大変だわ」
「まぁ、事件が起きた場所は広島じゃ。瀬戸内海挟んでおるし、そうじゃなくてもこの村とじゃ距離がある。ここまで来る心配はないわな」
冬眠から覚めた熊が餌を求め民家に忍び込む、昨今山事情ではある意味では聞きなれた話だ。
その時はあまり気にしていなかった。
もし、過去に戻れると言うのなら、この話をもう少し詳しく聞いておきたかったと俺は思った。
いかがだったでしょうか?
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