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投稿2日目に参ります!!
今日から毎日投稿頑張るぞっと!
自分を信じてくれるじいちゃんの言葉は俺にとってはかなりうれしかった。
訳も分からないような話をまっすぐに聞いて叱るでも否定するでもなく、じっくり考えてくれて肯定してくれた。
ズンズンと雪が若干積もる道を進みながら隣を歩くじいちゃんの顔を覗き見る。
皴が刻まれた顔ではあるけど、その視線はまっすぐで、親父の親であるだけあってかかなり顔がそっくりだ。
多分俺が年老いたらこうなるんじゃないかって思う。
いや、こうなりたい。
「どうしたんじゃ千翔、ワシの顔なんぞ見てなんかついとるか?」
そんな感じで思いながら顔を見ていたらじいちゃんと目が合った。
それもそうか、普段から見慣れている顔をじっと見てるのだから目ぐらい合うか。
「へへ、じいちゃんが信じてくれてうれしくってな」
だから、この際だきちんとお礼を言っておかないと。
「ありがとう、じいちゃん」
「なんじゃ、その程度。そんなこと言ってもお年玉の額は上げてやらんぞ。上げてほしかったらばあちゃんの方にせびるんだな」
「わかってるよ。ただ言いたかっただけ」
「なんじゃ、こいつ」
言えるときに言わないと感謝の言葉は言えないってじいちゃんが言ってた。
だからこうやってわしゃわしゃと頭を撫でるときのじいちゃんは照れてうれしがっている時のじいちゃんだ。
なんだか安心するなぁこのやり取り。
小さいころに親父と母ちゃんを亡くしてからからずっと親代わりをしてくれてたんだから当たり前って言えば当たり前か。
「ほれ、はよ行くぞ。あいつらも待っておるだろうしな」
「うん、けど信じてくれるかなぁ」
しかし、その安ど感もここから先は身内以外にも話すということで少し心配にもなる。
じいちゃんは信じてくれた。
ご近所のじいちゃんたちも俺のことを孫のようにかわいがってくれているから、いい人たちなんだけどこの話を信じるかどうかになったら話は別だろうし。
ちょっと足が重いのは雪道だけの所為じゃないだろうな。
新年早々人類が滅ぶかもしれないって話をしないといけないんだから、いくら能天気な俺でも気が重くなる。
「なぁに、心配すんな。いざとなったらじいちゃんが味方してやっからよ。千翔は真面目にあいつらに話せばいいんだよ」
「わかった」
そんな俺の心配を察してくれたじいちゃんは、今度はゆっくりと頭を一回ポンっと叩いて俺を励ましてくれる。
そのおかげで俺の中の不安は少し軽くなったような気がする。
「ほれさっさと行くぞ。ここは寒くてたまらん」
それが顔にも出たのか、じいちゃんは少し笑ってから先を急ぐように歩き出して俺もその後に続く。
目的地の猟友会と言っても、近所に建ててある公民館の一室を猟友会の寄り合い所として使わせてもらっているだけ。
大体がのんべぇであるじいちゃんたちが酒と摘まみを持ち寄って宴会するだけの場所。
本当だったら今日もそこにじいちゃんは昼から参加する予定だったらしい。
気が早いじいちゃんたちは朝から酒盛りに精を出しているのは毎年の事。
たまに俺が近所のばあちゃんたちのお使いでおせちとかを運んで、その時にはお年玉をもらってたりするから俺からすればいいお小遣い稼ぎの場。
そんな場所である公民館の近くまで行き。
猟友会のある部屋の窓を見てみれば明かりがついているのが見える。
「ゲンのやつ来ておるな」
「ああ、ゲンさんかぁ」
そしてそこから聞こえる大声は俺にも聞き覚えがある。
自称、熊と素手で喧嘩をして勝った男ことゲンさん。
じいちゃんと同年代で、同級生、そしてばあちゃんを取り合った仲らしい。
それを酒を飲んでいるたびに聞かされているから、たまにうんざりするけど、普段はとってもいい人だ。
田んぼでコメ作ったり、畑で野菜取ったり、たまに猟銃で撃ち抜いた猪を解体して食べさせてくれたりする。
ゲンさんの牡丹鍋は絶品だ。
食べ盛りの高校生の胃袋的に、あのボリュームは感謝しかない。
おっと思い出したらお腹が空いた。
「そう言えば、朝ごはん食べてなかった」
「なぁに、ゲンの野郎がいるってこたぁ飯の類は置いてあるだろうよ」
うん、正直言ってそこら辺はかなり期待していたりする。
話している間に公民館の玄関を通ったあたりから空腹のお腹を刺激するようなかぐわしい匂い。
朝っぱらからこんな匂いをさせるような料理を準備しているとは流石ゲンさん。
育ち盛りの高校生の胃袋事情を分かっている。
「帰ったらばあちゃんのおせちやお雑煮も食べないといけないから腹六分目くらいにしておく」
「おう、そうしとけ。よそで飯食ってばあさんの飯食えないと怒られっぞ」
すっかり緊張は解け、軽い足取りになった状態で公民館の2階にあるとある和室に到着する。
部屋の外からでもわかる騒がしさ。
すでに酒が入り出来上がっているのがわかるくらいに元気な声がここまで響いている。
「元気だなぁ。もう70過ぎている人ばっかりなんでしょ?」
「一番若いので71だ。まだまだ現役よ」
「じゃぁ、ギネス更新目指して頑張ってよ」
「当ったり前よ。お前の子孫の花嫁姿見れるとこまで見てやるよ」
そんな元気の片鱗を俺のじいちゃんも見してくれることにうれしくなりつつ、その引き戸を開ければストーブで温められた部屋の熱気と共に、ある意味で嗅ぎなれた酒の匂いが漂ってくる。
「おう!伝三!思ったよりも早かったな!千代乃の飯はどうした!?」
その中でひときわ体のちいさいじいちゃんがゲンさん。
剥げかかっているうちのじいちゃんと違って、まだまだふさふさの白髪交じりの角刈りを見せつけながら、一升瓶をわきに抱えてズンズンと体に見合わない大きな足音で近寄ってくる。
「相変わらずちっせえなゲン。その大きな声がなかったら見つけられなかったぞ」
「身長のことは関係ねぇだろい!!男は器、器量よ!!千翔もこんな爺さんになるなよ!俺みたいに熊をも撃退できるようなでっけぇ男になりな!!」
ガハハハともう出来上がっていることは目に見えてわかるが、ある意味でいつもの事なので俺もじいちゃんも手慣れたものだ。
そんな楽しんでいる場所に水を差すようで気が進まないが、俺たちは大事な話があってここに来たのだ。
ゲンさん以外にも顔見知りの猟友会のじいちゃんたちが3人。
4人で酒を飲み交していたらしい。
卓の中央にはぐつぐつと煮込まれている牡丹鍋がある。
それ以上にあるのが卓の回りにある酒類なのだがその量が多いこと多いこと。
俺からしたらいつも通りの光景なのだが、この前同級生にはなしたら酒屋でも開くつもりかと聞かれてしまった。
それくらいうちの村のじいちゃんたちは飲兵衛が揃っている。
しかも揃いも揃って酒豪ぞろい。
それに付き合っているばあちゃんたちはそれ以上の酒豪ぞろい。
へべれけになっているじいちゃんたちを同じかそれ以上飲んでいるはずのばあちゃんたちが引きずって帰るのがいつもの光景だ。
そんな酒の席にドンと座るじいちゃんの隣に俺も普通に座る。
「おう!ユキもきたか!酒は飲めねぇからこっちでも飲めや!」
「ばぁか!先に新年のあいさつが先じゃろうが!あけましておめでとうだ!」
「んだ、あけましておめでとうユキ坊」
多分焼酎に割るつもりだったジュースを差し向けてくれたのはこの村で小さな病院をやっているシゲさん。
そんなシゲさんを叱ったのはこの村の消防団をまとめるダンさん。
静かに頷き、新年のあいさつをしてくれたのが息子に養鶏場を譲って隠居しているゼンさん。
「あけましておめでとう!じいちゃんたち」
そんな元気いっぱいのじいちゃんたちに俺も元気よく挨拶を返す。
ニコニコと笑いそのままターゲットは隣に座ったじいちゃんに移るわけだが。
「ほれ伝三!駆け付け一杯、飲んでみろや!」
コップになみなみと注がれた日本酒をグイっと差し出すゲンさん。
本来であればおう!と元気よく受け取り飲み干すのがうちのじいちゃんのやり方だが。
「悪いなゲン。それにダン、シゲ、ゼン。朝早くここに来たのは大事な話があったからきたんだ。おめぇらの力を借りたい」
賑やかであった酒の席がシンと静まり返し。
「なにがあった?」
さっきまで大声ではしゃいでいたゲンさんが一気に酒が抜けたかのように神妙な顔でじいちゃんに聞き返してきた。
「まずはこれを見てくれ」
シゲさん、ダンさん、ゼンさんもそのままジッと話を聞いてくれる姿勢になっている。
それを確認するまでもなく、じいちゃんは俺に運ばせていたジュラルミンケースを卓の上に置きそのまま開く。
「これは………」
「金か?」
「でも、なんでこんなものを伝三が持ってんだ?」
「わかった、もしかして長年溜め込んでいたへそくりが千代乃にバレそうだから俺たちに預かってほしいってわけか?」
「いや、これは俺のじゃない。千翔が訳の分からん女からもらったらしい」
その金色の輝きにどよめいたじいちゃんたち。
じいちゃんの言っていることは少し違うが、力をもらってその流れで手に入れたことには間違いないから、パンドラに貰ったと言っても間違いではない。
だから、俺は何も言わず、本当かと確認を取ってくるじいちゃんたちの視線に頷いた。
「あやしい女が村に入り込んだってことか?それなら俺たちじゃなくて、勝則のとこに行くべきだろ」
「ああ、かっちゃんは元県警のお偉いさん。今でも警察とつながりがあっからきっと力になってくれるさ」
パンドラが不審者扱いになっているけど、そこはまぁ、世界を滅ぼすと満面の笑顔で宣言したのだ。
それくらいの扱いはされてもおかしくはない。
ゲンさんとゼンさんの言葉にどう答えようかと悩む。
「そういうわけでもねぇ。ホレ、千翔、お前が見た話こいつらにしてみぃ」
しかし、悩む必要はないようだ。
じいちゃんがどうやら話すきっかけを作ってくれたようで、ジュラルミンケースをパンと閉じ、そのまま視線を俺の方に誘導してくれた。
「えっとな。今朝の話なんだけど」
なので俺はじいちゃんを信じて、そのままあったことをゲンさんたちに話した。
パンドラとの出会いと、会話の内容、そしてその時手に入れた救世主の証のこと全部隠さず話した。
「………人類を滅ぼす女か」
「なんともおっかない女もいたもんだ」
「んだ、俺のカカアとどっちが怖いか比べてみたいわ」
「そりゃゼン、お前のカカアの方が怖いに決まっとるだろ。お前のカカアは猪を素手で締めた女だぞ?」
その結果、いとも簡単にじいちゃんたちは俺の話を信じてしまった。
え?
こんな簡単に信じてくれるものなの?
大丈夫じいちゃんたち、オレオレ詐欺とかに簡単に引っ掛からないよね?
「………」
「んな顔で俺をみんな千翔。お前のことは小さいころから俺たちは良く知っとる。そんなお前がこんなくだらないウソをつくとはこの村の者たちは皆おもっとらん。だったらその話が真実で、真剣にお前が悩んでるってことだ。だったら大人であるわしたちが頼りにならんでどうする」
「じいちゃん」
俺の不安など、俺のことを見守ってくれていたじいちゃんたちにとっては不要なものだったらしい。
思わずウルっと来てしまった。
チクショウ、じいちゃんたちがかっこよすぎだぜ。
「まぁ、この金塊がなかったらうちの孫がついに中二病とかいうやつにかかってしまったかと思ったかもしれんが」
「そうだなぁ、そしたらシゲお前の担当だろ」
「生憎とその病は大人にならないと治癒できん病でな、俺には治せん」
「んだよ藪医者役に立たんな」
「それならお前たちならどうすんだ?」
「「「「生暖かく見守る」」」」
畜生!このじいちゃんたち物的証拠がなかったらはなっから信じる気なかったのかよ!!
ちょっと前に感動した俺の気持ちを返せ!!
「でも、こんなモノがあるってことは来年には人類が滅んでしまうかもしれんってことだろ?どうすんだよ伝三。さすがに老いぼれたちが5人と千翔だけでどうにかできる話でもないだろ」
「ゲンの言う通りだ。カカア含めても11人。どうやったって、人類を救えるとも思えん。もっとこういうのに向いた奴らに話さんとダメだろ」
「だがよゼン。俺たちはユキ坊のことを信じているから本当だと思うが、赤の他人がこんな話を信じると思うか?」
「信じるわけがない。出所不明の金のことを探られて最悪没収、痛くもない腹を探られて、時間だけを浪費すっるだけだ」
「ダンの言葉が最もだ。千翔以外にも1万人の救世主ってのがいるらしいが、そいつらが救ってくれるのを信じて座して待つのは俺たちらしくはない。だからここで一つ、ワシから提案がある」
俺の気持ちを揶揄うのを忘れないじいちゃんたちに腹立たしくなりながら、再び真剣な空気になったじいちゃんが再び視線を集めてニヤッと笑って見せると。
「俺たちのガキの頃の夢、叶えてみねぇか?」
俺にはわからないが、他のじいちゃんたちにはわかったようで、じいちゃんと同じような悪だくみをする笑顔で。
「「「「いいな、それ」」」」
と前のめりに賛同しているのだが。
「何の話だ?」
当事者である俺は完全に置いてきぼりをくらうのであった。
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