5
投稿30日目!!
1カ月投稿しました!!
日の出の時間から起きるのは流石に眠い。
「ふあああ」
「なんじゃ、千翔大きなあくび出して、眠れんかったのか?」
「いや、普通に考えてこんな時間に起きたからだよ」
眠気を覚ますためにじいちゃんの軽トラの窓は全開。
新鮮な山の空気に段々と頭は覚醒してくるけど、それでもここまで朝が早いとさすがに眠い。
「もうすぐ着くのに、そんな体たらくでどうすんじゃ」
「仕方ないでしょ、俺、じいちゃんみたいに睡眠時間が短くても平気ってわけじゃないし」
本当にうちのじいちゃんは何でここまで睡眠時間が短くて平気なんだろう。
昨日も俺と寝る時間は大して違わないのに、俺よりも早く起きてこうやって元気に軽トラを運転している。
「鍛え方が違うんじゃよ」
「肝臓の?」
「バカモン、それは別じゃ」
元気に動き回っているじいちゃんはいつものことだが、俺の方が運動量は多いはずなのになと思いつつ、冗談を交えつつ見覚えのある山道を軽トラで進む。
「お、見えてきた。ってみんなこんな朝早くからここにきてるの?」
「そりゃ、村1つ作ろうって話じゃ。時間は多いに越したことはないからの。日が昇ってる間にできることはせんとな」
いつもの広場に止まっている車の台数的にほとんどのじいちゃんたちは来ているんじゃないかと思う。
軽トラを止めて、降り、その場で耳を澄ませてみれば、いつもなら山のせせらぎや鳥の鳴き声くらいしか聞こえてこない音に混じって重機の音が聞こえる。
「お、やっとるのぉ」
「こんな山奥じゃなかったら絶対騒音で訴えられてるよねこれ」
まだ早朝と言っても問題ない時間に響く重機のエンジン音。
それも1台や2台の音じゃない。
「張り切ってるね、じいちゃんたち」
「そりゃそうじゃろ、ほれ、さっさとワシらも行くぞ」
どう考えても10台近い重機が動き回っている。
そんなものどこから引っ張り出してきたんだ?と俺の知らないじいちゃんたちの横繋がりに毎回不思議に思いながら、前に通った秘密基地の入り口に行く。
「あ、開けっ放しなんだ」
「毎回開けるのも面倒だからの、全員が出るとき以外は開けておくことにした。毎回開け閉めすると電力消費も馬鹿にならん」
前は普通に風景に溶け込んでどこが入り口かわからなかったけど、今回は逆に違和感を訴えるがごとく堂々と黒い箱型の入り口が見える。
あの入り口が現れる光景を見れなくて少し残念だ。
ただ、あれだけの機構を動かすとなるとやっぱり電気も結構使うんだろうな。
そんなことを考えながら、誰もいない入り口に踏み込み、このまま真っすぐ行くと前は何もなかった倉庫につく。
だけどそこは。
「おお!なんにこれ!何でこんなに重機があるの!?」
所狭しと並ぶ重機の数々。
「そりゃ、山を開拓するとなれば年寄りだけの人力ってわけにはいかんじゃろ。使える物を集めただけじゃよ」
「だけって、簡単に集められるものじゃないでしょこれ」
村のじいちゃんたちが整備してたり、中には分解までされていたりするものがある。
「おお!伝三!!遅かったな」
「悪いな!孫が起きるのが遅くてな!!」
「仕方ない、ワシらの時間に合わせてたらユキ坊が寝不足になるって!!」
整備途中の村のじいちゃんが元気な声で俺に気づいて手を振ってくれる。
それにじいちゃんも大声で返事をする。
本当にうちの村のじいちゃんたちは元気だねぇ。
「ほれ、こっちじゃよ」
「うん」
それにしても前に来たよりも随分と基地の中の雰囲気も変わったような気がする。
前はもっと薄暗かった。
だけど、今はしっかりと照明が灯されて随分と明るくなった。
「前よりも明るくなってない?」
「そりゃ、前の時は電力を節約してたからな。今は気にせず電力が使えるようになったから普通に電気くらいつける」
「そう言えばここの電気ってどこから引いてるの?ここまで大きい建物だと電気代も馬鹿にならないよね」
その電力はどこから確保しているのか。
不思議に思うのは当然だ。
「銀二の野郎が、古い知り合いから水力発電機をタダ同然で手に入れてな。そいつをちょちょいっと修理してみればあら不思議ってやつよ。まだまだ現役の奴を手放すとは馬鹿な野郎もいたもんだ!!」
しかし、じいちゃんからしたら全然不思議な話ではないようで。
カラカラと笑いながらものを大事にしましょうって言いながら、ちょうど通りかかった扉に入り込んだ。
「おう!機械の調子はどうだ!」
「おう伝三!!順調も順調、絶好調よ!!こいつならあと20年は持つな!」
「そいつは良いな!」
「………すげぇ」
ここがどういう部屋なのかはすぐにはわからなかったけど、大きな水車がグルグルと回っているのが窓の向こう側に見える。
水路からの水の流量はかなり多くて、すごい勢いで水が流れている分、水車の回転も速い。
「すげぇ!すげぇよじいちゃん!!」
「だろう!ここがメイン電力の水力電力室だ。他にもソーラーパネルと風力を使った電力室もあるぞ」
秘密基地っぽい設備に目がキラキラと輝いているのがわかる。
こんなものをたった数カ月で付けちゃうなんてやっぱうちの村のじいちゃんたちはすげぇ。
「ほれ次じゃ」
「まだあるの!」
「こんなものまだ序の口じゃ」
凄いだろうと自慢するように胸を張るじいちゃんに、その後ろで村のじいちゃんたちがグッとサムズアップしてくるから、俺もグッと返す。
そして部屋から出ると秘密基地ツアーが始まる。
「ここは製鉄所じゃな、いらなくなった屑鉄から金属塊を作ったりしてる」
「刀とか作ってそうな場所だな」
「まぁ、人類の滅亡って言うことを考えれば、ここは文明の最後の砦、物作りには欠かせない場所じゃな」
次に連れてこられた場所は大きな炉がある場所だ。
入った途端に熱気が伝わり、サウナよりも熱いんじゃないかって思うくらいに熱がこもっている。
「大きさとしては小規模じゃが、それでも立派に鉄を作り出すことはできるし、換気も十分にできるようにしておる。言わばここは基地の秘密の工房ってやつじゃな」
「すっげぇ!!あれは今何やってんのじいちゃん!」
熱さも忘れて、何をやっているのか気になりじいちゃんに聞いてみる。
今も何かしているのか詳しくはわからないけど、きっと大事なことをしているに違いない。
「最近炉を動かしておらんかったから、試運転じゃろ。あそこに錆びた鉄とかを放り込んでそこから精錬して、今新しい鉄を作ってる最中じゃよ」
「おお!」
「あまり直に見るなよ。明るすぎて目を悪くするからの」
「はぁい」
「ほれあまり長居するとあいつらの邪魔になるから次行くぞ」
試運転は大事だなと思っていると背中を叩かれて、じいちゃんは次の場所に向かっていく。
もう少しゆっくり見たいところだが、他にもいろいろとあるのだろうと思いその背中についていく。
そこから色々な設備を見た。
「ここが食堂」
「広い!?」
「いざという時は避難所にもなるからな」
体育館かと思うような広さの食堂。
「ここは食糧庫じゃな」
「酒蔵じゃなくて?」
「馬鹿か酒は最優先で保護する物じゃぞ」
「ばあちゃんに黙って買ってたりする?」
「さて次じゃ!」
食べ物よりも酒の方が多い食糧庫。
「監視室じゃな」
「なんか秘密基地っぽい!!」
「じゃから秘密基地じゃと言っとるじゃろ。ここは基地の中と山のあちこちに仕掛けた監視カメラの画像がみれる」
スパイ映画とかで見る画面が大量にある部屋。
「通信室、じゃがまだアンテナは建設中だから使えんの」
「これだけ機械があるのに?」
「それは八の趣味じゃな。長距離トラックに乗ってるときにアマチュア無線にハマってそれから派生した趣味の数々じゃな。アイツの婆さんにばれないようにここに保管してある」
「八さん………」
ここもまた映画とかに出てきそうで、学校の放送室に似てるけど設備の量と質は比べ物にならない。
「医務室、まぁゼンの持ち場じゃな。開業するにはまだ時間がかかりそうじゃな」
「病院みたいだ」
医務室と言うより、個人開業の病院規模の広さがあるような医療設備。
「ここは資材庫じゃな、基地の拡張や修繕に必要な物資を集めてる」
「ホームセンターみたいだ」
「まぁ、間違っておらん。知り合いのホームセンターにおろす問屋からの横流し品ばかりじゃからの」
「え、それ犯罪」
「問題ない。格安で買っとるだけじゃ」
「ええ、いいの?それ」
背の高い棚に木材を中心として、ホームセンターのように色々とある資材庫。
「射撃場じゃな」
「うん、ここは何となくわかる」
奥の方に伸びる長い空間。
距離として大体50メートルくらいかな。
「武道場じゃな」
「体育館の横にあるやつだ」
そのすぐ隣にある畳張りの広い空間は学校でも見たことがある。
「トレーニングルームじゃ」
「じいちゃんたち、もしかしてここで鍛えてたりするの?」
「ワシはあまり使わんがゲンやシゲは良くここに来るぞ」
「熊殺し伝説はここで始まった?」
「馬鹿の事言っておらんで次行くぞ」
さらに隣に移動すると、スポーツジムとかで見るトレーニング器具がずらりと並んでいた。
ちらほらと筋トレするじいちゃんたちが見える。
目の錯覚かもしれないけど、奥でダンベル上げしてるじいちゃんのダンベルの大きさが70歳を過ぎて持つような重量じゃないような気がする。
「プールまであるんだ」
「山の中を丸々くりぬいておるからの、空間だけはあるんじゃよ。まぁ、この水は非常時には生活用水にもなるからある意味貯水タンクの代わりでもあるがな」
「へぇ」
トレーニングつながりでもしかしたらあるかもって思ってたけど、まさか本当にあるとは思っていなかった50メートルプール。
「結構冷たいね」
「そりゃ、水を循環させて浄水しておるだけだからの、湧水の水温のままじゃ」
「うん、それは冷たいよね」
そっと手を突っ込んでみたら結構ひんやりとした感覚が伝わってきてびっくりした。
「次行くぞ」
「うん」
色々と出てくる秘密基地の設備に俺はワクワクが止まらない。
これでも色々とじいちゃんたちが手入れした結果で、まだ整備が終わっていない区画も結構あるみたい。
まえにじいちゃんに聞いたら3割くらい終わって、まだ半分以上残ってるとか。
どれだけ広いんだよここは。
「外が見える」
今度は長い廊下を進んでまた広い空間に出てきた。
入口のところの格納庫と似たような景色。
実際色々と重機が並んでいるところと、比べ物にならないほど大きな入り口が格納庫って感じを醸し出している。
「って、なにこれ!?」
「なにって飛行場じゃ」
「飛行場って、あの飛行場!?」
そしてそのまま外に出たけど、目の前にとてつもなく長く整備され舗装された道路をみて思わず叫んでしまった。
「もともとここは迎撃基地としての機能も考えられておったからの、まぁ、使うとしたらきちんと整備しないと危なくて使えんがの」
よく見ると経年劣化であちこちにひびが入って滑走路があちこちに穴が開いているのが見える。
今じゃただの広い空間だ。
「でも、よくここが見つからないね。いくら山に囲まれていたって空からは丸見えでしょ?」
「と?思うじゃろ?実はこの滑走路はかの有名な一航戦赤城の甲板を使っておってのぉ」
「ま、まさか!?」
「そう、格納できるのじゃ」
「マジかぁ!?」
そんな目立つ空間が今まで見つからなかったのはその滑走路を普段は隠していたからだ。
「まぁ、今はあいつらが作業しているからその機能を動かすこともできんがの」
「ええー」
「いずれ見せるときがくるじゃろうて」
ロマンあふれる機能を見れないことに俺は不満を垂れるも。
ここで文句を言っても仕方がない。
だけどぉ、絶対にいずれか見せてもらうんだ!!
「ほれ、落ち込んでおらんでこれに乗れ」
「バギーだ。こんなものもあるんだ」
「ここから先は少し遠いからな、道もあれておるしこいつに乗っていった方がは止んじゃよ」
そして俺が落ち込んでいる間にじいちゃんは2人用のバギーを走らせてきた。
舗装された道路を走るようなタイプの車ではなく、悪路を進むことを想定したバギー。
こんなものも運転できるんだと驚きながら乗り込んで、そのまま滑走路を進み、滑走路が途切れたところでどんどん道が悪くなってくる。
四方を山に囲まれて、急遽開拓されたと言う感じの山道を進むバギー。
段々と重機の音も大きくなってきたということは。
「じいちゃん、この先ってもしかして」
「まぁ、見てからのお楽しみってやつじゃ」
この先にあるものは俺が予想するのなら。
「ほれ、見えてきたぞ」
「おお!!」
左右を木々に阻まれてよく見えなかった景色が一気に広がり、その先の景色が。
「ここが人類を守る隠れ里の予定地じゃな」
今じいちゃんたちが作っている。
人類の滅亡に抗うための新しい里であった。
いかがだったでしょうか?
楽しんでいただけたのなら幸いです。
もしよろしければ評価やブックマークの方もよろしくお願いします!!
同時連載中の異世界からの企業進出もよろしくお願いいたします!!




