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太陽の見えない世界で②

「きゃあああああ、何見てんだわたしぃぃぃいい!?」

少女は叫んでいた()()()()()()が絶対にないと分かっているはずなのに......。耳の先まで熱を帯びているのを感じ、火照りを覚ますために洗面所に向かおうとすると

「どうだい?いい男だろう?」

「!?」

昨日の夢はまさか......。」

「そのまさかよ」

「!?......なんで!?」

マリアはエスパーじゃないかとたまに思う。

「考えなくともわかりやすいのよあなたは」

私たちの上官である彼女は含みのある笑顔を見せた。

「あの後どうなりました?」

「自分で聞くといいんじゃない?」

そういい部屋を出ていった。

                   Ⅰ

「おっそーい!年長組のリオンがおくれてくるなんて何かやましいことでもして他のかにゃ?」

椅子に腰を掛け、頬づえをつく髪を猫のようにした私の同僚のミーニャがニヤニヤとこちらを見てくる。

「何でもないわよ」

そう言い横を通り過ぎ席に着く。

カンカンと鈴が鳴り、マリアとある男が食堂に入ってきた。

「注目!今日からこの宿舎に配属になったヴァル・アーセナルだ」

リオンは目を見開いた、その男は昨日の青年だった。

「初めまして、ヴァル・アーセナル3位士官だ。これからここで君たちと暮らすことになった!よろしく頼む。」

挨拶をし軽く会釈をした少年に皆ぽかんとしていたのだが、好奇心旺盛な幼年組の少女達は彼に飛びついき押し倒した。

「どこからきたの?」「耳がまるいのはなんで?」「好きな食べ物は?」

幼年組の子供たちが思い思いの疑問をぶつける。

「第五ドームだ」「人間だからだ」「肉じゃがだ」

そういいながら子供たちをどかし立ち上がった。

「席に戻りなさい」

マリアに言われしぶしぶ子供たちは席に着いた。

「というわけだ、みんな仲良くしてやってくれ」

マリアがそういうと子供たちは「はーい」と元気よく答えた。

「夕食が終わったら風呂に入って早く寝るんだよ!」

そう言いマリアは出ていった。

どうして彼がここにいるのかと尋ねたかったが幼年組に囲まれている彼に近づくことができなかった。

「あれれ~?どうして彼を見つめてるのかにゃ?惚れたかにゃ?」

「ちーがーう!もうお風呂入ってくる」

「図星かにゃ?」

ふざけたことをいうミーニャを背に食堂を離れた。


                    Ⅰ

お風呂から上がり用事をすませ廊下を歩いていると今まで使われてない部屋に明かりが灯っていた。

「ここが彼の部屋になるのね」

今日の出来事もあったので一度話がしたいと思ったリオンはドアを開ける。

「あ、リオンちゃんだ!」

子供たちがまた彼を質問攻めにしていた。

「あなたたちはもう部屋に帰って寝なさい!」

「えー」「も~ちょっと」「リオンちゃんのけち」

駄々をこね始めたこどもたちはかわいいが心を鬼にして

「マリアにいうわよ」

というと顔を青くして

「「「ヴァル、じゃーね」」」

といい部屋を去っていった。

「ごめんねチビ達が、迷惑じゃなかった?」

「構わねーよ、子供は好きだから」

「そっか......あとお祭りの時いろいろありがとう。うれしかった」

青年は頬をかきながら

「気にすんな子どものお守りには慣れていた。」

「私、子供じゃない!これでも15年は生きてる!年もそんなにちがわないでしょ」

「俺は20年は生きている。」

むぅと口を尖らせ、リオンは黙り込んだ。少しの静寂の後口を開いた。

「リオンよ、名前、お祭りの時挨拶できてなかったから。」

「ヴァル・アーセナルだ。よろしくリオン」

お互いに名前をいい握手をした。

「じゃぁ、私も部屋に戻るね。」

「少し聞いてもいいか?」

リオンは首を縦に振った。

「ここのチビたちも戦いに出るのか?」

「マリアから聞いたの?私たちのこと。」

「あぁ、予想はついていたがさっき説明があった。」

「そっか、さっきの答えはNOよ、戦うのは私たち年長組だけよ。だけど私たちのことをかわいそうだなんて思わないでね。私たちは戦うために存在しているのだから.......。」

その言葉にヴァルは言葉が出ずうなずくことしかできなかった。


「わかればよし、おやすみなさい。また明日ね」

やはりヴァルはうなずくことしかできなかった。


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