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太陽の見えない世界で①

「私たち人類が故郷の地上を捨てて500年、突如現れた魔獣(エネム)の襲来から逃れるために人口の3分の2と英雄の活躍により地下に生活圏を移すことが出来ました。この出来事に感謝し鎮魂のいみを込めた大地下聖祭(サントクリム)を開催いたします」

地下に灯されたランタンの光で夕焼け色に染められたドーム状の街にアナウンスがながれた。

「リーリヤ!迷子になるから走っちゃだめ!]

フードを被った薄桃色の少女が祭りに浮かれて小さな体で人ごみに走っていって見えなくなった。

「もーどこに行ったのよ」

フードから、桜色の髪を揺らし、人ごみの中を探す。

五分後、黒髪の青年がリーリヤの手を握り連れ去ろうとしていたのだ。

「こ、このロ、ロリコン変態誘拐犯!」

「ま、待て、誤解をしてっ...ぐふ」

青年はことばを遮られ、みぞおちに強烈な一撃を食らってしゃがみこんだ。

「覚悟しなさい!」

「ま、待ってリオンちゃん!」

リーリヤが二発目のパンチを止めた。

リーリヤから説明を受けたリオンは頬を真っ赤に染め

「本当にすみません、迷子になっているところを助けてもらっていたのに...]

青年は誤解してもしょうがないといい、笑いながら立ち上がった。

「ほんとに困ったリオンちゃんです」

リーリヤがつぶやき、

「プ...]

青年が少し吹き

「困った奴はリーリヤよ!」

そういいながら説教をしている姿は何ともほほえましく、懐かしい光景だった。

「懐かしいな......]

「なつかしい?」

リオンは首を傾げた。

「いや、何でもない。ところで君たちは子供二人か?」

リオンは目を細めて

「......二人だけよ」

何か不機嫌そうに見えるがそのまま話を続ける。

「女の子だけで街にいるのは危険だ、汽車まで送るから行こう」

そういうと二人はうつむいてそのまま顔をあげずに

「でも、でも」

と言いながらもじもじしている。

その姿は青年にとってはすごく懐かしいい姿だった。


                        *

「兄さま、兄さま、私はお祭りに行きたいです!」

「僕も、僕も!」

施設の子供たちで俺のことを兄と呼んでいた子供たちだ。

いつも祭りの時期になると囲まれていた。

正直子供のお守りをするのは大変なのだが、断り続けるとうつむきもじもじする姿が可愛く結局、

「しょうがないな、今年だけだからな~」

顔をあげ満面の笑みで喜ぶ姿がとても好きだった。愛おしかった。この笑顔だけは守りたいと思っていた...。




「......しょうがない俺がついて行ってやる」

二人は顔をあげ、満面の笑みを浮かべた。



「これキレイ」

リオンはアクセサリーを売っている露店で雪をモチーフとした髪飾りを見つけた。

-----いくらって書いてるんだろう?




「あ......」

見知らぬ少年が体にぶつかった瞬間彼女のフードが取れて耳の先がとがったある種族特有の形があらわになった瞬間ついさっきまで笑い声であふれていた、周りの空間が時を止めるかのように止まり、直後怒りと恐怖につつまれた。

妖精(エルフ)が何でここにいる!」

「この町から出で行け!」

罵声が1人の少女に注がれた。

青年はその時とても驚いた顔をした。

それが彼女の眼には妖精(エルフ)を差別するほかの人と同じように見えた。

「そっか、君も......」

あきらめと悲しみの顔を浮かべた彼女はリーリャを連れ、

「ありがとう......]

フードで耳を隠し、悲しみに彩られた感謝の言葉を残し、目じりには光がたまっているように見えた。


彼女たちが立ち去った後

「悪魔の種族がきていい場所じゃない」

「気持ち悪い」

広場に聞こえる声をきき

(彼女たちは悪魔なんだろうか......)

(あんな笑顔をできる彼女たちは悪魔なんかじゃない)

そう思った瞬間に体が動いていた。


「待て!」

彼女の体が一瞬とまる。

「話がある」

青年がそういうと、リーリャだけ汽車にのらせ彼女だけ体をこっちに向けた

「どうしたの?何か用?」

目を細め警戒したような声をあげる。

「さっきのは誤解だ」

これは本心だ。


「嘘だ」

彼女は否定する。


「俺は君たちを悪魔だなんて思わない」

あんな笑顔をする悪魔がいるわけがない。


「嘘」

何かにとりつかれたように彼女は否定する。


否定する彼女に一歩近づく。


「来ないで」

半歩下がる。


無言で彼女に近づく


「この耳が気持ち悪いんでしょ!?」

彼女はフードを抑えしゃがみこみ嘆く。


青年はしゃがみこみその手を伸ばしフードを取り払い

「...っひゃ、っふ、っあ、ちょっと」

彼女の耳を触ったのだ。

「この耳がなんだ?きもちわるいって?ふざけんじゃない!」

彼女は顔を真っ赤にしながら

「わかった、わかったてば!」

それでも青年はやめない

「こんな()()()()()が気持ち悪いわけないだろ?」

「いままで誰もそんな......]

青年はニヤッと笑い頭に手を伸ばした

「じゃあ、これが初めてでいいだろ?」

彼女はこくこくとうなずいた。


青年はこのまま彼女たちを返すわけも行けず、同じ汽車に乗ることにした。

疲れたのか二人の少女は眠りについていた。

「よく、あんな恥ずかしいこと言えるね、ヴァル」

ずいぶん前聞きなれていた声がした。

「上官の私を忘れるってことはないわよね?」

「三年ぶりですが覚えてますよマリア二位士官殿、それに聞いてたんですか?」

「監視をしていたところ、君が接触したからね。」

「監視?どういうことですか?」

「私がこの子達の監督者だからよ。」

「前線は退いたんですね......」

「私にはもう指揮を執ることなんてできやしないよ。だから監督者なんてやっている。」

「そうだったのか......。」

「ヴァル、もどってくるつもりはあるか彼女たちのために」

「軍を退役した俺にはもうむりですよ、戻りたくても戻れないですよ......。」

「私を誰だと思っているんだい?」

そういい誰かに電話をかけ数分後

「おかえりなさい、ヴァル三位士官」

ヴァルが軍にいた時の役職だった。





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