第一話〜遭遇〜
初投稿
最初はダラダラとした説明回が続く模様
遂に来たか。
俺はとあるショッピングモールを目指して走っていた。
人類最速と言われる金メダリストですら約45km/hであるが、その3倍は余裕で出ているであろう。
つい先日人間を辞めたからに他ならない。
モールの全体を確認するのに併設されている20階はあるであろうマンションのベランダを駆け上がる。5〜6階づつ飛ぶので屋上まではあっという間だった。
(ふむ、やはりあそこだね。)
俺の脳内にいつもの声が響く。
マンションの屋上に立ち眼下を見やるとショッピングモールから逃げ惑う人々が見て取れた。
また不幸にもコイツの欠片を宿してしまった誰かが破壊衝動に駆られているのであろう。おそらくモール内のどこかだとは思うが、イマイチ反応を掴み切れない。
「そうだな。ただ誰が被害者かここからじゃ何ともわからん。」
(被害者なら逃げ惑うヒューマンが沢山いるじゃないか。)
「バカ、お前の欠片を宿しちまった俺みたいな不幸な人間の方だよ。」
今、俺の周りに人は居ない。居ないが一人ではない。
脳内に居候を住まわせる羽目になっている。俺はたまたまコイツに乗っ取られずに済んだが、普通は一定の潜伏期間を経て暴走状態に陥ってしまうようだ。
(居候とは酷いね。こんなに君に協力しているというのに。)
「それはお前が…もういいや、とりあえず行くぞ。ロト。」
(そうだね。ケント。それが僕の為でもあるし、君の為でもある。)
「…変身!」
俺の声に呼応するように全身を黒い金属のような石のような全身甲冑に覆われる。欠片を3割まで回収しついに口元以外の全身を覆えるようになった。
今回のを回収できれば残った口元も覆えるようになり、欠片保有者との戦いに不安要素は無くなるはずである。
「まずはショッピングモール内に入らないと話になんねぇ」
立っていたマンションの屋上より身を踊らせ、中に居るであろう欠片保有者に向かう俺達であった…
〜3ヶ月前〜
「さて、後は事務所戻って報告書まとめるか。」
俺は東健人。しがないルート営業のサラリーマンだ。
後輩への引き継ぎがてら得意先の挨拶周りを済ませ、事務所に向けて社用車を走らせていた。
「アズケン先輩、今度から1人ってマジすか?」
後輩の香川が不安そうに聞いてくる。
「いや、お前もう十分俺と回ったろ。俺なんて先輩と同行2回で得意先回らされたんだ。」
こんなセリフが出るあたりおっさん化が進んでる気がしないでもないが、まだ26である。
まだまだ若いと思いたい、そんなお年頃だ。
「正直、担当さん全員の顔と名前全然一致してねーんすよ。」
「最初はみんなそんなもんだ。それよりそのフルネームより長いあだ名のがどうにかなんねーのかな?」
東健人略してアズケン
小中高と伝統的に呼ばれ続けてるあだ名は社会人になっても健在である。
しかし、2/3にしかなってないあだ名になんの意味が…と思わざるを得ない。
名前呼び捨てですら1/2になるのにである。
「部長も課長も先輩もみんな【アズケン】呼びですからね。アズケン先輩になるのは自然の摂理っすよ。」
「大丈夫だ。俺ももう諦めてる。とっとと帰ろうぜ。」
片側2車線の国道をほぼ法定速度で進み、順調に事務所に向かっている最中だった。
「先輩、あれなんすかね?」
香川が前方を指すとカラスか何かか黒いモノが空に点在しているのが見えた。
「んーカラスかなんかじゃ…」
その先の言葉が俺から出ることはなかった。
何故なら、黒い棒状の“ナニカ”がフロントガラスを突き抜け、俺の胸に突き刺さっていたからだ。
「アズケン先輩!?先ぱ…」
香川の叫び声が遠くに聞こえ、俺の意識は暗転した。




