86話 髪は女の命
「そろそろ落ち着いたかい?」
「はい、すいません取り乱しました」
「それにしても、良い反応してくれるねぇ。はっはっはっはっは」
「そりゃビックリするでしょ」
ビックリさせられっぱなし、笑われっぱなしというのも癪なので仕返しを思いついた。
「そういえば、俺にトリックスターの加護を授けた理由なんですけど」
「うん?」
「火を司る神様だから、加護の効果で火属性が強化されるみたいで」
「そうだね」
「トーチを使った時に暴発するのが狙いだったみたいなんですよ」
「ほう」
「その暴発にシフさんを巻き込んでアフロになったシフさんを見たかったって理由らしいですよ」
「「・・・・・・・・・・」」
「あの息子さん」
「本当にあのバカ息子は・・・・」
ゴゴゴゴゴ───。
「それにサカグチ様も加担されてた訳ですね?」
「え?違います違いますっ。そうゆう狙いで授けたって後から聞いただけですからっ」
「そうですか。あの方とは1度ゆっくりお話をしないといけませんね」
「あたしが言っても聞かないからね、シフ任せたよ」
「はい」
やっべぇ・・・危うく巻き込まれる所だった・・・。
「そうそう会う事は無いと思いますが、息子に会いましたら。たまには顔を見せに来るようお伝え下さい」
「分かりました」
「それでは私は業務に戻らせて頂きますね」
「はい、ありがとうございました」
神様なのに息子に対してたまには顔を見せに来いって年齢とか立場とか種族とかが違っても母親と息子っていうのはどこも同じなのかな。と思ってしまった。
「あとナールさんに言わないといけない事が」
「う、なんだい?」
「息子さんの事じゃないんで安心してください」
「意趣返しのつもりかい?で、なんだい?」
「パーティに入ってダンジョンも定期的に潜る事になりそうなんで、採集は余裕があればしようと思いますけど。これからは減ると思います」
「そんな事かい。シフの加護もある事だからね、これからはダンジョン産の素材に期待してるよ」
「はい。そういえば、ナールさんから貰った加護の効果って何なんですか?ニードルしか聞いてなかった気がするんですけど他にもあったりします?」
「色々あるねぇ。聞きたいかい?」
「う、何かそう言われると怖いですけど・・・お願いします」
「速度全般が上昇するね、それから回避も上がってるはずだよ」
「おぉ」
「防御力も少し上がってるだろうし、寒さにも強くなってるはずだよ」
「おぉー、めちゃくちゃ良いですね」
「あとね」
「まだあるんですか」
「隠れるのが上手くなってるはずだから、敵わないと思った時は息を殺して隠れてみな」
「やっぱりアクロバット向きな効果が多いですね」
「そりゃそうさ。だから勧めたのにね」
「まぁ、アシストでもかなり恩恵はありますから」
「期待してるんだから頑張りな」
「はい、ありがとうございました」
ミルフェイユに帰って来たのだが案の定トリーネはまだ帰ってなかった。
フィリップさんごめんなさい・・・。
「ただいま帰りました」
「ん?トリーネは一緒じゃないのかえ?」
「工房に行ってるみたいです」
「今度はショーギか・・・」
「ですね」
「そうじゃ」
「はい?」
「領主に会ってきたぞ」
「あぁ・・・どうでした?」
「権利を巻き上げに来るのか、引き抜いて抱き込むつもりやもしれんと警戒しとったのが馬鹿らしくなったわい」
「どうゆう事ですか?」
「オセロのコツを聞かれただけじゃった」
「はい?」
「製作者ならではの攻略法は無いのかと聞かれただけじゃった」
「まぁ、平和に解決して良かったです・・・」
「明日には販売が開始されるじゃろ」
「おぉー、ついにですね」
「金が入ってくるのはまだまだ先になるがの」
「でも、ちゃんと売れますかね?」
「そればっかりは、やってみん事には分からんの」
「やっぱそうですよねぇ」
「話は変わるがの」
「はい」
「二人共パーティーに入ったんじゃろ?」
「はい」
「そんな毎日遊び回っとって良いのか?」
「明日、パーティでダンジョンに潜る予定です」
「ほう」
「俺が初心者なんで低階層を回るみたいですけど」
「なるほどのう」
「朝からダンジョンに入って、夜までには帰って来れるみたいです」
「まぁ、最初の内はそのぐらいのが良かろう」
「足を引っ張ってる自覚はあるんで申し訳ないですけどね」
「気にせん事じゃ。それよりも、トリーネの事頼んだぞ」
「はい」
「悪いんじゃが、トリーネを迎えに行ってきてくれんかの」
「あ、はい」
「仕事の邪魔して悪かったとモーリスにも言うといとくれ」
「はい、じゃあ行ってきます」
工房へ入るとトリーネと親方が将棋をやっており弟子の3人は見当たらなかった。
とりあえず勝負が決まるのを待ち、終わったタイミングで話しかける。
「親方、お疲れ様です」
「おう、ナギト来てたのか」
「他の皆さんが見当たらないんですけど」
「オセロの納品でな。最終の検品を商業ギルドでやってるはずだ」
「親方はいいんですか?」
「フィリップに任せてるからな。俺は別に要らねぇよ」
「なるほど。これフィリップさんに渡しといて貰えませんか?」
「ん?なんだ?」
「ボアファングの肉です」
「フィリップに何か伝えとく事あるか?」
「渡して貰えればそれで伝わると思います」
「ふーん。まぁ、分かった」
「それじゃ、トリーネ帰るよ」
「「え?」」
「いや、2人でハモってないで。メディンさんが連れて帰ってこいって」
「うん、わかった」
「親方、お邪魔しました」
「おう、また来いよ」
フィリップさんならお詫びだって分かるだろうし、別段伝えて貰う事はない。
親方が仕事してる所を全然見ないんだけど、この工房フィリップさんが居なかったらやっていけない気がする。
お読み頂きありがとうございます。
昨日は自己最多のPV数をマーク致しました。
そして、月半ばですが先月のPV数も越えました。
ありがとうございますヾ(⌒(ノ'ω')ノ




