84話 4四歩
翌日、朝から冒険者ギルドへ行き薬草類を少しだけ買取して貰った。
ナールさんから頼まれているのでなるべく採集は続けたい所だがパーティにも加入し、そういった時間が取れなくなる可能性もあるので小出しにして騙し騙しやっていこうかと思っている。
その後、工房へ行きトリーネの無双を謝罪した。
謝罪代わりといってはなんだが棒銀対策もいくつか伝授しておいた。
連日、仕事の邪魔をするのも憚れるので早々にお暇し、工房の並びにあるロックスのホームへと向かった。
ジョーさんとビリーさんは出掛けてるそうで、ホームに居たのはブラッドさんとスティーブンさんだった。
「ところで、次のダンジョンの予定って決まってるんですか?」
「それがちょっと揉めててな」
「え?何か問題でもあったんですか?」
「ジョーのヤツが低階層を高速巡回したいって言い出してな」
「低階層ですか?」
「あぁ、大体10階未満をそう呼んでるが。それもパーティによってマチマチだな」
「10階未満を高速巡回って言うと?」
「基本的にダンジョンに潜る時はモンスターを避けながら目的の階層を目指すんだ」
「はい」
「それで、目的地に着いたら。そこで本格的な狩りをして荷物が持てなくなるか予定の期日になれば引き上げる」
「はい」
「そこでナギトのアイテムボックスが問題になってるんだ」
「俺ですか?」
「ジョー的にはな。容量がデカいんだから低階層で安全に狩りまくって山盛りドロップを持って帰る方が効率が良いんじゃないか。ってな」
「なるほど」
「反対してるのはスティーブンなんだがな」
「そうだね。人数も増えたんだから前よりも深い階層までいかないと取り分が減りそうな気がするんだよね」
「そうですね」
「それに、浅い所で戦ってもレベルも上がらないし」
「なるほど。そうゆうのもあるんですね」
「ナギト君的にはどうなの?」
「俺は・・・まだ初心者なんで低階層の方が気が楽なんですけどね」
「あー、そうだった」
「ん?何がだ?スティーブン」
「いや、初心者だっていうの忘れてた。うん、低階層でいいよ」
「あれだけゴネてたのに、いきなりだな」
「慣れてくれば、少しずつ深い階層にシフトしていけばいいし」
「何かすいません」
「いいよー。僕も最初の頃はダンジョンに潜るの凄い怖かったし」
「あー、そうなんですね」
「ジョー達に相談してからになるが、低階層なら準備もそこまで要らないからな。近い内に潜る事になると思う」
「はい」
「トリーネにも伝えといてくれ」
「はい、分かりました」
その後、ミルフェイユに戻ると丁度お昼時でトリーネが昼食の準備をしていた。
ちょっと久しぶりにミルフェイユで昼食を取り。昨日、約束していた将棋の戦法をトリーネに伝授する。
「うん、それでこの後はどうするの?」
「この後は好きなようにやってみてよ」
「えー、これだけなの?」
「だけ。って、これも使える戦法だよ?」
「雀刺しって名前は強そうなのに飛車が成れるだけなのね」
「だけ。って、それが重要なんだよ」
「ふ~ん。だったら他にも何か教えてよ」
「うーん。パックマンって戦法があって。まぁ、奇襲なんだけどね」
「へ~。面白そうね、教えて教えて」
「トリーネが先番で角道を開けて、俺がこうしたら、トリーネならどうする?」
「それは、こうするわよ」
「そうすると、こうなってー、こうなってからこうなってー」
「なるほどね。今度、工房でやってみるわ」
フィリップさんごめんなさい。またトリーネがお邪魔するみたいです。
まぁ、俺のせいなんだけど。
「そういえば。さっき言った低階層を高速巡回するって言ったけど」
「うん」
「俺が何か準備する物ってあるかな?何か買い足すとか」
「低階層なら何も要らないと思うわよ」
「そっか」
「それに要る物があれば言ってくると思うし」
「んじゃまぁ、心の準備だけはしっかりしとこうかな」
「言おうと思ってた事先に言われた~」
「ははは。それじゃあ、俺は部屋でスキル上げでもやってるね」
「あれ?ショーギはもう終わり?」
「流石に本格的にダンジョンに潜りだすならスキル上げぐらいしとかないと不安だしね」
「しょうがないわね。私はおばあちゃんとオセロでもしとこうかな」
何かトリーネの印象が最初の頃とだいぶ変わったなぁ。
もっと練習とか研究熱心なイメージだったけど。まぁ、研究熱心なのは今もか。
今はスキルよりもオセロと将棋に対して研究熱心なだけで・・・。
部屋に戻った俺はライトを維持しながらウィロウウィンドとアキュラシーを重点的に上げていった。
ちょうどその頃、冒険者ギルドでは。
「シフちょっといいかい?」
「はい、なんでしょう?」
「ナギトがね、そろそろダンジョンに潜るみたいなんだよ」
「はい、ロックスに加入されたと聞きました」
「ここいらでダンジョンって言ったらユーダリルになるだろ?」
「はい、何を仰りたいのですか?」
「何かあった時のためにシフからもナギトに加護をやっちゃくれないかね?」
「構いませんが、やっぱりサカグチ様には何かあるんですね?」
「ナギトはね、ウチのバカ息子がこの世界に呼び寄せたみたいなんだよね」
「あぁ・・・なるほど・・・」
サブタイトルはパックマンの正式名称?が4四歩パックマンなので。
ただ、44話向きだったかもしれないと今更ながらにちょっと後悔( ´ー`)




