8話 熊の親子
登場人物が増えてきました( *`ω´)
「それでは明日よりマジシャンの訓練を受けるという事でよろしいですね?」
「はい、お願いします。」
「では、明日の10時にここ冒険者ギルドにてお待ちください。その時に登録証もお渡ししますので」
「はい」
「まだなのかい?話が終わったのならさっさと買取代金取りにきな。急いでるんだろ?」
「はーい。今行きます」
「シフさんいろいろとありがとうございました。また明日よろしくお願いします」
「はい、お待ちしております」
「すいません、お待たせしました」
「あいよ、全部で銀貨1枚と銅貨3枚。モノが良かったから色着けといたからね。また何かあったら持ってきな」
「はい、ありがとうございます」
銀貨1枚に銅貨3枚。これがどれぐらいの価値なのか分からないけどとりあえずはこれで何とかするしかない。
「ありがとうございました。また明日よろしくお願いします」
と頭を下げ冒険者ギルドを後にする。
明日からはシフさんを怒らせないように気をつけないとなぁ。おばちゃんも豪快でいい人っぽいし。いきなり絡まれて思いっきり殴られたけどそれでトントンってところかなぁ。
明日の訓練も楽しみだし・・・って俺どこに向かってるんだ?
そうだ・・・宿屋の場所聞くの忘れてた・・・。
今更戻るのも微妙だし適当にその辺で聞くか。
向かいから歩いてきたおじさんに声を掛ける。
「すいませーん。この辺りにオススメの宿ってあります?出来れば安い所がいいんですけど」
と言うと。おじさんは訝しげな目で俺を見て。俺の目を見ながらいきなり顔を指差した。
何事だ?と思ったがおじさんが顎をクイっとするので後ろを振り向くとありました。宿屋が。
「あ、はい。ありがとうございます」
「ん」
看板には「金の稲穂亭」とある。周りの建物と比べても別段高級感が漂う訳でもなく小汚い感じでもない。一応おじさんのオススメだし、一応。真後ろだったけど・・・。リーズナブルであってくれっ。と、願いながら扉をくぐる。
いくつか丸テーブルがあり、右手にカウンターがありそこには熊が居た。いや、熊っぽいおっさんが。
「泊まりかい?飯だけでもいけるが後小一時間程は掛かるな」
「あ、泊まりでお願いします。いくらぐらいですか?」
「1泊、素泊まりなら銅貨5枚と銭貨5枚。朝晩2食付きで銅貨6枚だ」
「それじゃあとりあえずご飯付きで1泊。これでお願いします」
とポケットから取り出した銀貨を1枚手渡す。
(たぶん大丈夫だよね?10で繰り上がる感じだよね?銀貨1枚=銅貨10枚 みたいな)
「えーっと、んじゃ銅貨4枚のお返しだ。ほれ」
スウェットのポケットにお釣りを突っ込みながら。
(イエス!正解!!俺冴えてるねっ)
「ニーナ、ニーナー。お客さんだー、案内頼むー」
「はーい。今行きまーす」
「朝の6-8時、夜の7-9時。この時間に来れば飯が出る。来なきゃ出ない。って感じだ」
「はい、分かりました。結構お腹空いてるんですけど今って何時ですか?」
「今か?今は5時過ぎだな。まぁ、今日の仕込みは終わってるから6時ぐらいでも出せるぞ」
「おまたせしました」
「おう、ニーナ。このお客さんの案内頼む。2の2だ。ほれ鍵」
「はーい。こちらになります」
ニーナちゃんの後を着いて階段を上る。熊の子供だろうから小熊かと思ったが赤毛をおさげにした可愛らしい女の子だった。
「トイレは1階にあります。お水が必要でしたら中庭に井戸があるのでそちらをお使いください。お湯は1日に桶1杯なら無料です。それ以上は1杯につき銭貨2枚です。今持ってきますか?」
「あー、んじゃお願い」
「はい、あとこれが鍵です。お出かけの時は預けてください。それじゃーお湯持ってきますね」
「うん、お願い。あ、悪いんだけど身体拭く用の布か何かあったらお願い出来る?」
「わかりました。すぐ持ってくるのでちょっとお待ちください」
「はーい」
ニーナちゃんが出て行くのを見送りベッドにゆっくりと腰を掛け。
合ってるよね?お湯って身体洗うやつだよね?小説でも読んだし大丈夫だよね?違っても恥ずかしいだけだから大丈夫・・・たぶん。
にしても、ニーナちゃん10歳ぐらいだと思うんだけどしっかりしてるなぁ。俺があれぐらいの時って何も考えてなかった気がする。まぁ、今もか・・・。
いや、ちゃんと宿も確保出来たし俺頑張ってる。めちゃくちゃ頑張ってるよ。
などと考えていると疲れからか瞼の重みに抗えず、そのまま眠りについた。
ストック出来ると気づいたけどストックなんて一切ありません٩( ᐛ )و