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74話 怖い

「受けたいなら受ければ良いでしょ?」

「え?怒ってる?」

「へ?なんで?」

「いや、何か応対が適当と言うか・・・」

「ナギトが入るなら私も入るし、ナギトが入らないなら私も入らない。ってだけよ?」

「え?そうなの?」


もしかして、独占欲的な?2人だけで組みたかったとか?いや、無いな・・・。

きっと検証がどうのとかだ・・・。


「ニードルの威力がどれぐらいなのかも知りたいし」


ほら、やっぱり。


「ねぇ、早く工房行かない?」


違った。オセロで頭がいっぱいなだけだった。


「うん・・・じゃあ、行こっか」

「やった」



工房にやって来たのは10時を少し回ったぐらいだったのだが。

なぜか俺はお昼をご馳走になっている。

なぜかと言ったが理由は簡単だ。トリーネと親方のオセロ大会が白熱し一向に終わる気配を見せないまま。

俺は弟子の3人に「ウチのトリーネのせいですいません」と頭を下げ。フィリップさんは俺に「ウチの親方こそすみません」とお互いに頭を下げ合い。

よく分からないが流れでお昼をご馳走になっている。

ちなみに俺が食べているのは親方の分で、親方は昼抜きで日が暮れるまで働かせるそうだ。親方、ごちそうさまです。そして、ご愁傷様です。


「ごちそうさまでした」

「お粗末さまでした」

「本当に親方の分、食べちゃって良かったんですか?」

「オセロをやるのは良いんですが、仕事に支障をきたさない範囲で。と約束したんですよ」

「はい・・・」

「それを破ったんで、罰でもあるので気にしないで下さい」

「は、はい・・・」

「それじゃあ、このゲームが終わったら終了にして貰いましょうか」

「そうですね、もう3時間ぐらいやってますからね」

「そんな物を考えられるナギトさんはやはり素晴らしい知識をお持ちですね」

「いやいや、そんな事無いですよ」

「オセロだけじゃなくショーギもやはり素晴らしいゲームでしょうし」

「どちらも俺が考えた訳じゃないですからね」

「あぁ、そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ」

「はぁ」

「商業ギルドから。ナギトさんから出た情報を他言したり利用したらぶっ潰すと脅されたんで、何かを引き出そうとか考えてませんから」

「え?そんな事言われたんですか?」

「まぁ、やんわりとですが」

「こえぇ」

「商業ギルドはそれだけの価値をナギトさんに見出しているんですよ」

「それも怖いですけどね」


「あ、終わったようですね。親方、親方いい加減仕事に戻って下さい」

「ん?あぁ、もうちょっといいだろ?」

「ダメですよ。何時間やってると思ってるんですか?」

「トリーネももう帰るよ。いつまでも仕事の邪魔しちゃ悪いよ」

「うん、そうね。帰ったらナギト勝負してよね」

「分かった分かった」

「あ、嬢ちゃんずりぃぞ」

「親方、仕事に戻らないなら夕飯も抜きにしますよ?」

「夕飯もって、俺昼飯もまだ食ってねぇぞ?」

「昼食は抜きです」

「は?」

「いいから仕事に戻って下さい。戻らないなら夕飯も抜きです」

「おいおいおいフィリップ」

「抜きますか?」

「よし、おめぇら仕事に戻るぞー」


「トリーネさん親方の相手をして頂きありがとうございました」

「長居しすぎちゃってすみませんでした・・・」

「いえいえ、悪いのは親方なんで気にしないで下さい」

「はい・・・」

「お二人共これに凝りずにまたいらして下さいね」

「「はい」」



工房からの帰り道。


「あれだけやったら、そろそろ満足したんじゃない?」

「え~、まだ色々とパターンありそうで全然満足してないよ?」

「って事は帰ってからもまだやる気?」

「う~ん、流石に遊びすぎてるから。そろそろ自分のレベルもスキルレベルも上げていかないとかなぁ」

「そういえば、パーティどうするの?」

「だから、ナギトに着いて行くわよ?」

「トリーネから見てロックスってどうなの?」

「普通かな?ベテランらしく安定感はあるし無理はしないし効率も良い」

「え?だったら全然良いじゃん」

「ベテランだからね。レベル上げよりもドロップ重視なのよ」

「うん?」

「強くなるためとかダンジョンで少しでも深い階層を目指すとかじゃなくて、お金のための冒険者なの」

「あー、なるほど」

「折角、狩りに行くなら私はレベル上げをメインにしたいのよね」

「そっか。うん、決めた」

「なにを?」

「俺、ロックスに入れて貰おうと思う」

「ナギトもお金のための冒険者になるの?」

「んー、お金のために冒険者になろうと思ったんだけどね」

「うん」

「堅実なパーティで勉強出来るって考えたら今の俺には最適だと思ってね」

「なるほどね。そういう意味でなら良いパーティかもね」


「あ、そうだ。ちょっと金の稲穂亭に寄っていい?」

「別にいいけど、どうしたの?」

「いや、昨日借りた器を返しとこうと思って」

「あぁ、アイテムボックスに入ってるのね。やっぱり便利よね」

「うん、常に手ぶらでいいのはやっぱ楽かな」

「そういえば、パーティに入るなら装備とか色々買わないといけないわね」

「あ、そうだった」

「それじゃあ、器を返したら色々回りましょう」

「うん、お願い」




ついに冒険者らしい装備になる時が来たが宝石類の査定が済んでおらず。査定額いかんによっては装備品の質が一気に跳ね上がる可能性もあるのでタイミングとしては微妙なのだが、そこは男の子なので自分用の武器が欲しいという気持ちが勝った。

そして、ジョーさんが他のメンバーの説得も済んでないので勇み足にならない事を祈るばかりであった。




いつもお読み頂きありがとうございます。

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