70話 試作品
ミルフェイユへ戻るとトリーネが夕食の準備をしている最中だったので手伝う事にした。
「それで、河原で採集した石とかの買取は高かったの?」
「いや、それがね。査定に時間掛かるらしくてまだ買取は終わってないんだよね」
「へ~。それは期待出来そうね」
「でしょ?でもナールさんに期待しすぎるなって釘を刺されちゃった」
「まぁ、査定額は変わらないんだし、期待して少なく感じるよりは期待せずに待ってる方がいいかもね」
「たしかにね」
夕食の準備を終わらせメディン婆さんを呼び3人での夕食を始める。
「そうじゃ、ナギト」
「はい」
「明日また朝一で工房に寄っとくれんか?」
「はい、試作品が出来たんですか?」
「今日、何度もフィリップの坊主が来てせっつかれての」
「だったら私も行く」
「トリーネは関係無いじゃろ」
「だって~」
「だったらオセロの試作品でも貰えないか聞いて来るよ」
「本当?」
「聞くだけだから貰えるか分からないよ?」
「それで十分よ。貰えなくても発売されたら絶対に買うから」
「そんなにハマってるのか」
「そろそろ食べたいんじゃがいいかの?」
「いただきます」「いただきま~す」
今日、言ったばかりなのに喋るのに夢中で言われてしまった。
食後は部屋に戻りヒールのスキル上げをしていたのだがちょっとした疑問が浮かび試してみる事にした。
今はロウソクを光源にしているのだがライトを発動させながらヒールも同時に発動させる事が出来るのか。
ライトは生活魔法でヒールは職業スキルに分類されているので同時使用は可能かもしれない。
生活魔法同士の同時使用はちょっと屋内に向かないので試すのは明日だ。
職業スキル同士の同時使用は継続させるスキルを持っていないため現時点では検証不可能なので今試せるのは生活魔法と職業スキルの同時使用に限られる。
「ライト」「ヒール」
やっぱり同時使用は出来た。ただ、かなり集中しないと安定して発動させるのは難しいかもしれない。
これはこれで魔力操作の練習にもなるだろうし、同時使用が必要な場面も出てくるだろうから継続して練習していこう。
ただし、最優先はヒールをレベル5、クイックをレベル3にして次のスキルを覚える事だが。
翌朝、昼食は外で済ませる旨を伝え。
「それじゃあ、工房に行ってきます。夕方までには帰ると思いますんで」
「頼んだぞ。モーリスに遊んでばっかおらんでしっかり働くよう言うといとくれ」
「はい」
「迷子になったら一旦戻って来るのよ?」
「・・・たぶん、大丈夫」
「私が連れてってあげるから」
「うん・・・行ってきます」
少し迷子になりかけたがちゃんと目的地である工房に辿りつけた。
「おはようございまーす」
「あ、ナギトさんおはようございます」
「フィリップさんおはようございます。親方居ます?」
「はい。すぐ呼んできますね」
「おう、ナギト。度々すまんな」
「これも仕事なんで大丈夫ですよ」
「それじゃあ、まずは勝負するか」
「親方、まずはショーギの試作品を見て貰ってからですよね?」
「う・・・そうだな。これなんだが、どこか問題点はあるか?」
「うーん、そうですね。ちょっと指してみてもいいですか?」
「ん?まぁ、いいぞ」
パチン───。
「うーん」
パチン───。
「もうちょっと指した時に高い音になって欲しいんですけど、出来ます?」
「高い音か。堅い木に変えりゃー出来るだろうが音なんて大事なのか?」
「大事ですね」
「んじゃ、とりあえず駒の方を堅いので作ってみるか」
「お願いします」
「んじゃ、フィリップ。木を変えていくつか作ってきてくれ」
「いえ、親方も一緒にお願いします」
「お前だけでも出来るだろうが」
「ナギトさんとオセロをしたいだけですよね?」
「う・・・しゃーねぇ。ナギトはちょっと待っといてくれ。直ぐ作ってくるからよ」
「はい」
親方のオセロ熱は一向に冷める気配がないな。
フィリップさんが居なかったら、いつまでオセロに付き合わされたか分からない。
待つ事15分程で親方が戻ってきた。
「とりあえずで作ったから作りは甘いが試してみてくれ」
「はい」
パチン───。
パチン───。
パチン───。
パチン───。
「うーん」
パチン───。
パチン───。
「あ、これ良いかもです」
「ふむ。これはツゲだな」
「あ、俺の国でもツゲが使われてた気がします」
「こいつは堅くて加工した後の変化が出難い木材だからな。本当はもっと細かい彫刻を施したりするような物に使われるんだがな」
「でも、これの音が1番良かったんですよ」
「分かった分かった。他に何か問題点はあるか?」
「特には無いですね」
「そうか、なら勝負するか」
「2-3戦ならいいですよ」
「よし、3連勝してやる」
と息巻いていたが俺の3連勝に終わった。
「それじゃあ、俺はこれで」
「おい待て、勝ち逃げは許さねぇぞ」
「親方、いい加減仕事に戻りましょうか」
「お・・おう」
「ナギトさんありがとうございました」
「はい。それじゃあ、これで失礼しますね。お疲れ様でした」
「用事が無くてもまたオセロしに来いよ」
親方のハマり方を見るとオセロはこの世界で一大ブームを巻き起こすんじゃないかと思ってしまう。
その時のボーナスにも期待しつつ、まずは冒険者としての地盤を固めるためにもスキル上げを頑張らないとな。と気合を入れるが、それよりも先に迷わずに帰る事の方が目前に迫った問題だったりする。
お読み頂きありがとうございます。
小説を書き始めて丁度1ヶ月が経ちました。
1話を書いた時よりはだいぶマシになってきてると思いますがまだまだですね(´・ω・`)
これからもよろしくお願いします┏◯




