68話 アイテムボックス
「そろそろお腹空いてきたからお昼にしない?」
「トリーネも買ってきてるの?」
「うん」
トリーネがカバンから紙に包まれた串焼き肉を取り出しトーチで炙りだした。
「トーチってそんな使い方もあるんだ」
「冒険者の知恵って所かしら」
俺もアイテムボックスからパンとスープと串焼き肉を取り出したが予想通りまだ熱々だった。
「トリーネ、1つ分かったよ」
「うん?」
「このアイテムボックス、時間停止機能がある」
「え?」
「朝買ったやつだけど、まだ買った時のまんま熱々だし」
「なにがあるって?」
「え?時間停止機能だけど」
「そんなの聞いた事もないわよ・・・」
「もしかして、これヤバいやつ?」
「わからないけど、たぶん」
「マジかぁ」
「でも、そうね。レベル99のアイテムボックスなんだから、そんな聞いた事もないような能力があっても不思議じゃないはず」
「普通のアイテムボックスって、やっぱり物が入るだけで容量もそんなに無い感じ?」
「うん」
「そっか。それじゃあ、アイテムバッグみたいなのってある?」
「あるわよ。あるけど高レベルのダンジョンでたまに見つかる程度ね」
「それに、こんな機能とかは」
「聞いた事ないわね」
「アイテムボックスのスキルを持ってる人って、そこそこ居るんだよね?」
「居るわね」
「それから・・・」
トリーネに色々聞いた結果分かったのは。
アイテムバッグの場合、持っているのは高ランクの冒険者か商人ぐらいで。しかも、容量は見た目の数倍程度。
ただ、アイテムバッグでも容量の大きい物は貴族だったり国の所有になるようで。そんな物にはもしかしたら何らかの機能がある可能性もあるそうだ。
そして、アイテムボックスを持っている人はそれなりの数居るそうだが時間停止等の機能は当然無くて。容量も大抵がカバン1個に満たない程度。
ただし、アイテムバッグ同様、容量の大きい人は貴族に抱えられるか国に仕える場合が多いらしく、その容量も秘匿されるそうなので、もしかしたらアイテムバッグ同様に何らかの機能を持っている可能性はあるらしい。
「要するに、ヘタにバレると国に目をつけられるって事かな?」
「そうなるわね」
「なら何としてもバレないようにしないとな」
「きっとバレて国同士の奪い合いになって、それならいっそ居ないほうがって殺されてしまうのね。惜しい人を亡くしたわ・・・」
「いや、もうそれいいからっ」
「うふふ」
「そんなに俺を殺したい?」
「そうなる可能性があるから気をつけてって事よ」
「え?そんなに?」
「アイテムボックスだけじゃなくて他にも色々あるじゃない?」
「そうだね」
「特に加護がどういう扱いになるか分からないから怖いわね」
「どういう意味で?」
「使徒みたいな扱いになって教会に囲われる可能性もあるし」
「あぁ・・・」
「勇者として魔王討伐に向かわせられる可能性もあるし」
「うん・・・」
「研究材料として人体実験される可能性もあるわね」
「・・・・・・・」
「まぁ、最後のは冗談だけどね」
「おいっ」
「でも、他のは無いと言い切れないから」
「うん」
「これだけ言えばもうちょっと大人しくなってくれるかしら?」
「そこまで言われたらね」
散々脅されたけど、心配してくれての事だろうしなぁ。
それに、弱いのにチートスキルを持ってるのがヤバいんだ。
スキルに見合う程強くなればおいそれと手も出せなくなるだろうし、何としても強くならないと。
って思ったけど、もしかして支援特化を選んだのって失敗だった!?
いや、信頼出来る仲間を見つければいいんだ。そう、出来ればハーレムで。
「なにか変な事考えてない?」
「え?何が?」
「深刻そうな顔してたのに途中から鼻の下が伸びてたから」
「そんな事ないよ。頑張って強くならないとな。って気合を入れてただけだよ」
「うん、ナギトがそう言うならそれでいいけど」
「折角の時間停止機能も出したまんま喋ってたから完全に冷めちゃったね」
「トーチで温めればいいじゃない。スープは無理だと思うけど」
「冒険者として活動しだした時のための練習にもなるね」
「冷めない内に食べる習慣をつける方がいいかもね」
「メディンさんにいつも怒られるしね」
「そうね・・・」
それからトーチで串焼き肉を炙り、パンと一緒に食べた。スープはまた今度鍋で温めてから食べようと思う。
昼食を済ませた後は採集はそこそこにスキル上げに専念する形で時間を過ごしていった。
「そろそろ私は帰るわね」
「うん、お疲れ様。俺ももうちょっとしたら帰るよ」
「MP枯渇して倒れない程度にね」
「分かってるよ」
トリーネを見送り、姿が見えなくなってから。
河原から少し森の中に入り目標を定め。
「ニードル」「ニードル」「ニードル」「ニードル」
ニードルを乱射していく。
「やっぱり攻撃スキルって楽しいな」
支援スキルは地味すぎて楽しくなかったようで。
特にトリーネの派手な属性スキルを真横で見ていたためにフラストレーションが溜まっていたようだ。
「そういえば、MPも増えたんだからファイヤボールも普通に撃てるようになったんじゃ?」
ニヤリと口角を上げ、再び河原へと歩を進めた。
投稿したと思ってたのに出来てなかった(´・ω・`)




