65話 クイック
ちょうどお昼時なのでメディン婆さんとトリーネに交代でマヨネーズを試して貰う事にした。
トリーネがリクエスト通りのキャベツとレタスとキュウリを買ってきてくれたので。
キャベツは千切りに、レタスは千切って、キュウリは輪切りに。俺は出来ないのでトリーネにやって貰った。
「どうかな?」
「んー、悪くないわね。っていうか、結構美味しいかも」
「でしょ?」
「でも、良く考えてみたら。サラダにオリーブオイルとか塩も酢もかけるから、それを全部と卵を混ぜたんだから合うのも当然よね」
「マヨネーズで炒め物とかしても美味しいから今度やってみてよ」
「えー、何かそれは合わなそう」
「意外と美味しいから。騙されたと思って」
「そうね、マヨネーズも見た目は微妙だけど結構美味しいからやってみる価値はありそうね」
「うん」
「それじゃあ、おばあちゃんと交代してくるわね」
「食べてみて下さい」
「ふむ。香りは、まぁ悪くはないの」
「どうですか?」
「悪くはないと思うが、ちと油がきついの」
「油かぁ、マスタードとか胡椒とか入れたらちょっと変わるかもしれないですけど」
「ふむ。若いの向けな気がするの。儂みたいな年寄りにはちとくどいかもしれん」
「なるほど」
「食べ慣れん味じゃから慣れが必要なだけかもしれんし、今までに無い味じゃから受けるかもしれんの」
「おぉ、いけそうですか?」
「分からん。全く受けん可能性もあるの」
「そうですか」
「それよりも問題はこれをどう売るか。じゃな」
「そこなんですよねぇ・・・。他にも料理はいくつか浮かんでるんですけど、それをどう扱えばいいのかさっぱりで」
「それが思いつかんウチは商業ギルドに持っていってもカモにされるだけじゃからの」
「ちょっと考えてみます」
反応はそこまで悪く無いから、やり方さえ間違えなければなんとかなるはず・・・。
まぁ、そのやり方がさっぱり浮かばないんだけど。
気持ちを切り替えて、まずは冒険者としてちゃんと活動出来るようにヒールの練習をしないと。
と、部屋に戻りヒールの練習をするが飽きる。気分転換にライトやトーチもやってみるが飽きるのでラウエルの森へ行く事にした。
「ちょっと森に採集に行ってきます」
とメディン婆さんに断ってからラウエルの森へ向かう。
ラウエルの森では採集をし休憩中にはヒール飽きたらニードル。たまにウォーターやクリーンなどの屋内で練習をしにくい生活魔法も使っていく。
ラウエルの森以外でも細かく時間を見つけてはヒールの練習を重ねていたのでヒールのレベルが3に上がり、クイックを覚えた。
クイックを覚えた事により、移動速度が上昇し採集の効率も僅かながら上がっていた。
「リサさんのクイックに比べたら上がってるのかも分からない程度だけど移動速度が上がるのは結構気持ち良いな」
クイックもレベル1のため、ある程度距離があれば速度の変化に気付けるが短距離だと気付きにくい程度の上昇のため採集中に効果が切れたまま気付かない事もしばしばあった。
「クイック上げたら敏捷上げなくてもパーティメンバーから遅れたりしない気がするんだけど、どうなんだろう?あ、そうか。パーティメンバーにもクイック掛けるから上げないといけないのか・・・」
こういった自問自答が後に支援アシストとして活動する事になった時、活きてくるのかはきっと神のみぞ知る事だろう。たぶんチャラ神様よりももっと偉い神様は知ってるはず。
ヒールが上がり新しいスキルを覚えた事が嬉しくて、採集で疲れた時に休憩がてらスキル上げを行っていたのだが、気付けばスキル上げをしてMPが減ってくると、自然回復させるために採集をするといった配分に変わっていた。
「うーん、もうちょっとMPがあればなぁ。知力に振りたいけどどうしよう。まぁ、トリーネに相談してみるか」
スキル上げに比重を置きすぎたためにMPの自然回復が間に合わず微妙にフラストレーションを溜め込んでいた。
「ちょっと早いけど、採集はここまでにするかな。冒険者ギルドで聞きたい事もあるし」
と採集とスキル上げを切り上げ冒険者ギルドに向かった。
「ナールさん、また買取お願い出来ますか?」
「助かるよ。ナギトのおかげでウチではそこそこ余裕が出てきたけど他所ではまだ足りてない所が多いからね。いくらでも買取らせて貰うよ」
「それじゃあ、お願いします」
と籠に薬草を入れギルドカードを提出する。
「あと聞きたい事があるんですけど」
「なんだい?応接室に行くかい?」
「いや、薬草とか以外にも採集とか採掘的なもので採って来れる物があったら教えて欲しいなぁ。と思って」
「あぁ、なるほどね。それじゃあ応接室で待ってな。リサに図鑑でも持って行かせるからね」
「ありがとうございます。何か手間掛けさせてしまってすいません」
「ナギトが買取に持って来れば来る程、ウチのギルドは儲かる訳だからね。その分しっかり採って来て貰うよ」
「はい。それじゃあ、お願いします」
現代知識を活かした料理等のアイディアを商業ギルドに売る方法が思いつかなかったために他の金策を考えた結果、採集の種類を増やすという考えに行き着いたのだった。
いつもお読み頂きありがとうございます。
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