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54話 説得

夕方になりベランダに干してあった布団を回収すると女神様に祈ったおかげか臭いは綺麗に取れていた。

布団を抱え部屋に戻る途中、酒が抜けてきたのか目を覚まし階段を上る途中のトリーネと目が合った。


「あ、トリーネもう大丈夫?」

「うん・・・何か迷惑掛けたみたいでごめんね」


と言い残し部屋に逃げ込んで行った。まぁ、年頃の女の子だからね。

俺はと言うと、部屋に戻り対策を練っていた。

トリーネが推したいであろう1次職は、まずマジシャンだろう。これは研究と言うか加護の影響でなぜか使えるファイヤボールだったりの検証に向いてると思われるからだ。

そして、もし俺とトリーネが組む事を考えていた場合はマーシナリーを推してくるだろう、アシストの可能性も無くは無いが前衛もしくはバランスタイプなので、これもねじ伏せられるだけの材料を用意しておきたい。


まずマーシナリーは知力にステータスを振る意味の無い職なのでMPが初期値のままだから検証に不向き。

アシストも完全に前衛の場合は知力に振らない事も多いらしいから、これも検証に不向き。

アシストのバランスタイプとマジシャンはこの理由が使えないので他の理由を考えないといけないんだけど一向に浮かばない。

痛いのも嫌だし前衛は怖いという情けない理由もアシストには使えてもマジシャンには使えない。そして、なるべく言いたくない理由でもある。


そう。トリーネが1番推してくるであろうマジシャンを否定出来るだけの理由が一切浮かばないのだ。

うーん。強いて挙げるならトリーネと俺で組んだ場合、2人共後衛でしかも同職だとバランスが悪い。ぐらいか。

ただ、索敵がしやすく先制で遠距離攻撃を重ね、こちらに辿り着かれる前に倒しきれるような狩場であれば問題ない。条件付けがシビアだけど無くは無い。


何か数学の証明を背理法でやってる気分になってきた・・・。

よし、ダメならダメでその時考えよう。


気分転換に1階へ下りていくとメディン婆さんが夕飯の支度をしている最中で、手伝いながら助言を求めてみた。


「って言う感じで支援アシストになろうかと思うんですけどどう思います?」

「良く考えられておると思うがの。頭で考えるよりも直感で選んだ方が意外と合ってたりするモンじゃがの」

「そうゆうものですか」

「そうゆうもんじゃよ。それにの?」

「はい」

「1次職なんて言うのは冒険者にとっての職業と言うだけであって、嫌じゃったらすぐ辞めてもいいんじゃよ」

「はい」

「特にお前さんの場合は異世界の知識もあれば神様から貰ったスキルもあるでの、冒険者にこだわる必要なんて無いじゃろ」

「まぁ、たしかに」

「もっと気楽に、自分のなりたい職になって自分のやりたいようにすればいいんじゃよ」

「はい」

「パーティのバランスを考えてとか、誰と組むからとか、人に勧められたからとか、そんな人に合わせて決めても楽しくないじゃろ?」

「はい」

「自分で自分のために決めた方が腹も括れていいじゃろ、逃げ道も無いしの。ひっひっひ」

「ですね。ありがとうございます」


「あ、ごめん。私も手伝うね」


とトリーネが下りてきたが。


「もうほぼほぼ終っとるからの、座って待っとれ」

「は~い」


「トリーネ。俺、支援アシストになろうと思うんだ」

「そうなんだ」

「・・・・・あれ?それだけ?」

「ん?なんで?」

「だって、マジシャンになれとか言うかと思って」

「職業にまで口出しする気ないわよ」

「え?だって、ステータスは戻るまで振るの禁止って言ってたから」

「ステータスは加護の影響がどこまで出るかとか気になるじゃない?」

「なるほど・・・」

「それで職業訓練は全部終わらせたの?」

「うん、終わらせてナールさんとかにも相談して支援アシストになろうかな。と」

「考えた上での事なら余計口出しする気ないわよ?」

「そっか」

「うん」

「それじゃあ、近いうちに冒険者ギルドで転職の申請出しちゃうね」

「ようやく薬草スレイヤー(笑)から卒業ね」

「まぁ、その称号は外れないんだろうけどね・・・」


「喋っとらんで皿を並べとくれ」

「はい」「は~い」


夕食の準備を済ませ3人で食卓を囲む。

トリーネがダンジョンに行ってからゴタゴタが続いて外食が多かったがやっぱりこの3人が落ち着いて感じる。この短期間でこの2人と一緒に居るのが当たり前に感じるようになったのは、この世界に放り出され異分子でもある俺を手放しで受け入れてくれたからだろう。懐の深い2人には感謝しかないな。

と思ったが、良く考えてみたら2人共欲望に忠実に動いた結果な気もする・・・。

ここに気付かなければ良い話っぽいから気付かなかった事にしとこう・・・。


「そう言えば、ダンジョンの成果は?」

「ん~。まぁ普通かな?」

「っても、勧誘されてたみたいだし良い感じなんじゃなかったの?」

「連携も取れてたしペースは良かったんだけど、実入りが少なくてね」

「なるほど」


「あ、そうだ。メディンさん」

「なんじゃ?」

「オセロとかが落ち着いたら商業ギルドに持っていって欲しいネタがあるんですけどお願い出来ますか?」

「ほう。早速儂を使うとは将来に期待出来るかもしれんのう」



結構、自信のあるネタだけどメディン婆さんが身を乗り出した瞬間に怯んでしまい一気に自信を失ってしまった。でも、たぶんいけると思うんだよねぇ。定番だし・・・。




定番のやつを投入しようと思います٩( ᐛ )و

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