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536話 掛かりっきり

冒険者ギルドからロックスのホームへ戻ると、テーブルの上に置き手紙があった。


「何て書いてます?」

「リチャードさんからで。俺の防具の事でナイル親方の所に顔を出すように。って」

「もう出来たんですかね?」

「まだじゃない?微調整とか採寸をやり直すとかじゃない?」

「それもそうですね」


今日か明日にって話だから、そこまで急いで無いっぽいけど。

この後に予定は無いから今日の内に済ませちゃおうかな。


「お昼食べたら行って来こようと思ってるんだけど、トム君はどうする?」

「あ、俺も行きたいです」

「うん。じゃ、さっと食べて行こっか」

「はい」


昼食はトム君のリクエストでトンカツになった。

好きだけど・・・連日食べたい物では無いという事が分かった。


白ご飯かソースがあれば違うのかもしれないけど。




「こんにちはー」

「おう、来たか」

「まだ完成はしてないですよね?」

「もーちょいだな」

「え?そんな進んでるんですか?」

「そりゃ、他の仕事 ()めて、掛かりっきりだからな」

「って事は、最後の微調整ですか?」

「おう。実際に装備してみねぇと分からん部分もあんだろ?」

「ですね」

「んで、今ならまだ多少の変更は出来っから。リクエストがありゃ何でも言ってくれ」

「はい」


店舗スペースから奥の工房スペースに行き、新装備を着付けて貰う。


装備の仕方が分からずあたふたしていたら、ナイル親方の深い溜め息の後に「着けてやるからジッとしてろ」と言われてしまった。


「そんなんで自分で装備出来んのか?」

「こ、これから覚えていきます・・・」

「で、どうだ?」

「思ってたよりと言うか、見た目の割に軽いですね」

「まぁ、重いのは表面のアダマンタイトだけだからな」

「ミスリルは軽いですもんね」

「おう。アダマンタイトとミスリルの二層構造で、更にその下が革だな」

「なるほど」

「注文としてはとにかく防御力をって話だったが、あんま重くても動けねぇだろ?」

「そうですね」

「ジッとしてても分からんだろ。身体動かして不具合が無ぇか確かめろ」

「はい」


軽くシャドーボクシングをしてみたり、ストレッチをしてみたがウルトラフィットしている。

重さも今使ってる革装備の1.5倍ぐらいの重さしか無いんじゃないかな?


「良さそうだな」

「はい。どこかが当たるとかも無いですし、バランスも良いと思います」


うん。動きやすいし、金属の鎧なのに軽いし文句は一切無い。

見た目に関しても、黒で統一されてて格好良い。

ちょっと厨二感はあるけど・・・。


(こしら)えとしては、金属鎧だけどフルプレートって感じでは無く、部分鎧と言うべきかな?


胸と腹の部分に厚みがあって、そこはたぶんアダマンタイトの量が多いっぽい。

叩いてみると部位に依って音が違う。


「気付いたか」

「はい」

「急所と攻撃・防御に使いそうな所はアダマンタイトを多くしてる」

「なるほど」

「何か変更点はあるか?」

「いや、このままで大丈夫です」

「言うなら今だぞ?」

「いやぁ、動いてもガチャガチャ音もしないですし」

「そりゃな」

「動きも阻害されないですし、文句は全然無いです」

「そうか。なら、これでオッケーだな」

「って事は、これで完成ですか?」

「いや、まだだな」

「え?どこをイジるんです?」

「色だな」

「え?」

「渋くて良い色だろ?」

「はい」

「だが、アダマンタイトだって1発でバレちまうからな」

「??はい」

「そこらへんのCとかDランクぐらいの冒険者っぽく、小汚い感じにしてくれって注文が入ってるんでな」

「リチャードさんからですか」

「おう。お前さんが高価な装備を持ってたら狙われんじゃねぇか?」

「あー・・・殺してでもって事ですよね?」

「まぁ、そこまでかは分からんが。絡まれるのは確定だろ」

「なるほど・・・だったら、仕方ないですね・・・」

「装備に見合うぐらいに強くなれってこったな」

「頑張ります・・・」

「それからな・・・」

「はい」

「俺は防具に掛かりっきりだったんだ」

「??はい」

「だから勘弁してくれ・・・」

「何がですか?」

「ナックルはトニーに丸投げした」

「ナンダッテー」

「いや、なんだ・・・幸運にも今回はまだマシだと思う・・・ぞ・・・?」

「完成してるんですか・・・?」

「残念ながら完成してる」

「ですか・・・」

「総アダマンタイト製のナックルと総ミスリル製のナックルが完成してる」

「2個もですか・・・」

「すまんな・・・気付いた時には出来上がっててよ・・・」

「はい・・・。いや、でも、モノ次第ですよねっ」

「おう、お前さんが気に入ってくれれば良いんだが・・・」



そう言い残し、ナイル親方は工房の奥へと消えていった。


いつもお読み頂きありがとうございます。


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