51話 詫び石感覚
「安心おしよ。2次職は1次職を特化されるだけだからね」
「はい・・・」
「アシストの2次職は前衛型をより前衛に特化させるか支援型をより支援に特化させるかの2系統だから全然問題ないよ」
「おぉ、ならこのままで良さそうですね」
「あんたは喜んだり落ち込んだり起伏が激しいねぇ」
「落ち着きがなくてすいません」
「まぁ、残念な事にあの子が気に入ったのもそんな所かもねぇ」
「それは、何と言うか・・・本当に残念です・・・」
「はっはっは。根は良い子なんだよ」
「はぁ」
「幹も枝も葉っぱも実も全部腐ってるけどね」
「最悪ですね」
「馬鹿な子程可愛いって言うだろ?」
「まぁ、はい」
「馬鹿で本当に要らない事しかしなくて本当に・・・可愛い所なんて無い気がしてきちまったよ」
「ついに母親に見捨てられたっ」
「はっはっは。まぁ、それでもあたしの子なんだよ」
「まぁ、似てますもんね」
「ぶっとばすよ?」
「どう言えと・・・・」
「それなりに可愛いとギリギリ思えなくもないような気もする息子だからね」
「本当にギリギリっぽいですね」
「ギリだね。ギリだけど、それでもあたしの息子だからね。迷惑掛けてるのは重々承知してるけどもう少しの間だけでも相手してやっとくれ」
「はぁ」
「ナギトを巻き込んだのもあの子なりの理由が・・・なかったりする子だから厄介なんだよねぇ・・・」
「本当に・・・」
「まぁ、あれだよ。あれ。困った事があったら何でも相談に乗るからいつでも言っとくれ」
「あ、はい」
「まぁ、今日はこんな所かね」
「はい、ありがとうございました」
「帰る前にギルドカードと薬草の代金受け取るの忘れるんじゃないよ」
「はい、それじゃあ失礼します」
「本当にあの子はどうしたモンかねぇ。お詫びってもこんなモンぐらいしか今は無理かね」
受付でギルドカードと買取の代金を受け取り、そのまま帰る気満々だったのだがギリギリの所で外出してきた名目を思い出し、冒険者ギルドで食事を取りミルフェイユへと帰った。
ミルフェイユへ戻ると表は閉まっており、裏の勝手口に回ると鍵が開いておりトリーネが帰ってきたのかと思ったがメディン婆さんが既に起きていただけだった。
「あ、起きてたんですね、ただいま帰りました」
「さっき起きた所じゃ」
「あぁ、おはようごじあます」
「それで昨日の話じゃが、何から聞きたいかの?」
「んー、そうですね。俺から引き出した情報からオセロとかが使えると判断して、それを商業ギルドに持ってったんですよね?」
「そうじゃの」
「儲かると踏んだからですよね?」
「当然じゃ」
「って事は俺にもいくらか入ってきたりします?」
「情報料として給料を払っとるじゃろ?」
「いや、でも規模も大きそうだし・・・」
「毎日、タダ飯に住む場所も提供しとるがの」
「う、確かに・・・」
「冗談じゃ」
「え?」
「説明するとじゃな。まずオセロを商業ギルドに売りつけたんじゃがの、製作、販売の代行といった感じでの、委託する事にしたんじゃ」
「なるほど?」
「特許権ってのは分かるかの?」
「あ、はい。分かります」
「オセロが売れるたんびに僅かばかりの金が入ってくるようになっとる」
「はい」
「商業ギルドが大量に売れば売るほど儂の元に金が入ってくるんじゃが、どのみち入ってくるのはだいぶ先の話じゃな」
「なるほど」
「それが入ってきたらお前さんにもボーナスを出す」
「おぉー」
「ショーギも入ってくればボーナスじゃ」
「おぉー」
「って事じゃからの。これからも包み隠さず儂にだけ教えるのじゃぞ?」
「はいっ」
「はぁ~。ほんにナギトはバカじゃのう・・・」
「へ?」
「今の話じゃと、お前さんの物を儂が売って儲けて、その儲けの中から僅かばかしの小遣いを支払うと言うとるのと同じじゃぞ?」
「はい・・??」
「お前さんが直接商業ギルドに売りつければ儲けは全部お前さんの物じゃぞ?」
「あーーーーー、なるほど」
「はぁ~~~。オセロとショーギは勉強代だと思って儂に搾り取られておけ」
「はい・・・」
「そこから先は逆にお前さんが儂を使って儲ければ良い」
「俺に出来ますかね?」
「出来なければ追い出すまでじゃ」
「中々にスパルタ・・・」
「その程度も出来んような男にトリーネを任せる訳にはいかんからの」
「そうですね・・・って、やっぱり微妙に立場が逆転してる気がする」
「まぁ、これから本格的に冒険者にもなる訳じゃろうしどうなるか分からんがの」
「はい」
「ここに居る間は儂が鍛えてやるからの、覚悟しとくのじゃぞ」
「はい・・・お手柔らかに・・・」
「他に聞きたい事はもう無いのかの?」
「そうですね。いきなり色んな事がありすぎて何が分からないのか分からない様な状態なんで追々質問していきます」
「急いて詰め込んでも逆効果かもしれんしの」
「はい、そんな感じです」
「それじゃあこの話はとりあえず終いじゃな」
「はい。また追々お願いします」
「そうじゃの。とりあえず儂はまた出掛けるくるかの」
「え?また商業ギルドですか」
「他にも色々と行かんといけんからの」
「本当に休む間もなく動きまわってますね」
「まぁ、暗くなるまでには帰れるじゃろ」
「はい」
「それじゃあ行ってくるかの」
「はい。気をつけてくださいね」
この世界で出会った人は皆パワフルだと思ったが、メディン婆さんのパワフルさには一生勝てる気がしなかった。
メディン婆さんの搾取する宣言( ´ー`)




