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477話 カイロプラクティック

「んじゃ、荷物頼むわ」

「はい」


大量の荷物を想像していたが、ジョーさんが持って来た荷物はリュック2つだけだった。


いや、だけって事は無いな。

1人分の荷物でリュック2つってのは、どう考えても多い。


「んじゃ、行くか」

「はい」


といあえず、気配を消す。


「ん?どこ行った?」

「あ、ここに居ますよ」

「うおっ・・・喋った途端に現れたな・・・」

「喋ったりすると効果が切れるっぽいんで、スイート・エモーションに着くまで無言になりますね」

「おう・・・」

「後ろを着いて行くんで。気にせずスイート・エモーションに向かって下さい」

「おう」

「それじゃあ」

「ジッと見てたのに消えんだな・・・」


ジョーさんは辺りを軽く伺いながら玄関へ向かった。


「閉めんぞ・・・?」


って、言われても返事出来ないんだけどなぁ・・・。


バタン───。


「行くぞ?いいな?」


だから、返事出来ないって・・・。


その後も自分の背後を気にしてキョロキョロと挙動不審な動きをしながらスイート・エモーションの裏手に着いた。


「いや、挙動不審過ぎでしょっ」

「!?」

警邏(けいら)中の守衛さんに出くわしてたら確実に職務質問されてましたよ?」

「しゃ、しゃーねぇだろ・・・」

「それじゃあ、また消えますんで。リチャードさんの所までお願いします」

「おう・・・」


今度はキョロキョロせずに建物内に入り、従業員の人に簡単な挨拶をして階段を上がっていってるが意識は後ろに向いているのが分かる。

何もそこまで警戒しなくて良いと思うんだけどね。


その所為で、俺の中のイタズラ心が顔を出して来てしまった。


ジョーさんの横を通り抜け、追い越して前からジョーさんの様子を観察する。


頭は全く動かないけど、目だけは後ろを伺う様にキョロキョロと忙しなく動いている。


3階の応接室なのか社長室なのか分からないがリチャードさんが居るであろう部屋をジョーさんがノックする・・・直前で勝手に開けてみた。


「うおっ」

「!?・・・ジョーさん?・・・出来ればノックして頂けませんか?」


朝食を取りながら書類に目を通しているリチャードさんが溜め息混じりに言った。


「いや、ちがっ・・・おい、ナギト・・・出て来い」

「は、はい・・・」

「ナギト様もご一緒だったんですね。おはようございます」

「おはようございます・・・」

「ノックしようとしたら、このバカが勝手に開けやがってな・・・」

「あぁ、はい。大体、飲み込めました。少し、お待ち頂いてもよろしいでしょうか?」

「はい」

「あ、すみません。掛けてお待ち下さい」


リチャードさんに促され、ジョーさんと並んでソファに腰を下ろす。


「ジョーさんはお呼びしましたが・・・ナギト様は緊急のご用件でしょうか?」

「あ、いや・・・ジョーさんのついでって感じです」

「あぁ、なるほど」


キリの良い所まで目を通したのか書類を置いてから目頭を押さえ、大きく伸びをした。


小気味の良いポキポキとした音がこっちまで聞こえて来る。

もしかして徹夜で働いていたんだろうか・・・。

そう考えると小気味の良い音には思えなくなってくるな。


「すみません。お待たせ致しました」

「いやいや、こっちこそ急にすいません」

「そうですね・・・ナギト様がいらっしゃる場合は事前に・・・と申し上げたつもりだったんですが・・・」

「いや・・・何て言うか・・・ジョーさんも一緒だし、二度手間になるじゃないですか?それに、馬車とかだと逆に目立ちそうな気もしてっ」

「それっぽい言い訳用意してたんだな」

「言い訳って言うか本当の事ですよ・・・」

「ゴホンッ・・・それで、ジョーさんは装備の件でいらして頂けたのですよね?」

「おう」

「それで、ナギト様は・・・?」

「あ、俺も装備を作って貰おうかと思って」

「なるほど」

「あ、でも。トム君とビリーさんのも作った方が良いですかね?」

「お二人のはまだで良いかと思います」

「あ、そうなんですね」


今、思い付きで言ってみたけど。

リチャードさんはちゃんと考えてたのか。


「それなりに値段のする物ではありますし」

「ですね」

「ビリーさんはこの先もナギト様のパーティーでやっていかれるかは分かりませんし」

「はい」

「トム君は戦力外なので、装備を良くした所でナギト様の生存率が上がるとは思えません」

「なるほどな。それで、俺とブラッドの装備か」

「はい」

「それは、もしかしてブラッドが来てから決まったのか?」

「そうですね」

「あのバカが要らん事言ったっぽいな・・・」

「未踏破階層にそろそろチャレンジされると伺いました」

「あんのバカが・・・」

「いえ、止めはしませんから安心して下さい」

「お?そうなのか?」

「モチロンです」



そう言うとリチャードさんはニヤリと笑った。


いつもお読み頂きありがとうございます。


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