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42話 錯乱のドライブ

今回、特にサブタイトルに意味が無いです。

「ただいま帰りました」

「ナギトか。フィリップの坊主と会わなんだか?」

「店の前で会ったんで少し話してました」

「あの坊主は中々手強いでの、要らぬ事を言うでないぞ?」

「フィリップさんもメディンさんの事、手強いって言ってましたよ」

「ふん。小生意気な坊主じゃわい」

「親方の使いで来たって言ってたんですけど、何かありました?」

「オセロが絶対に売れるから量産体制に入っていいかと確認に来よった」

「ほう」

「しかも、あわよくば権利も買い取りたいような感じじゃったの」

「なるほど」

「モーリスにそんな頭がある筈も無いでの、あの坊主の入れ知恵か勝手に動いとるかのどっちかじゃの」

「おぉ・・・なるほど」

「ナギトなんぞ手玉に取られるだけじゃから、しばらくあの工房には近寄るでないぞ」

「は、はい」


「よし、ちぃとばかし出掛けてくるでの、店仕舞い頼むの」

「え?今からですか?」

「1時間もせんで戻ってくるわい」

「はい、気をつけてくださいね」

「ほいじゃ、後は頼んだからの」

「はい、いってらっしゃい」



策士同士の先手の取り合いだろうか。あぁ、関り合いになりたくないなぁ。と、どう考えてもその中心に居るはずなのに他人事のように感じていた。


宣言通り1時間程でメディン婆さんは帰宅し、その短時間で上げた成果に満足だったのか中々に上機嫌だった。ただし、何をしてきたのかは教えて貰えなかった。

その後、2人で夕食を済ませ部屋へ戻る。

やはりトリーネの居ない夕食は少し寂しい。そして、華がない。


そして、やはり部屋に戻ってから思い出す。トーチの使用許可を貰ってない。

まぁ、いいや。とロウソクを吹き消しいつものようにライトとクリーンを交互に練習してから就寝した。



翌朝、ようやく空が白み始めたような時間に目が覚め、高校を卒業してからと言うもの寝る時間も起きる時間も不規則になり夜型の生活になっていた俺が毎朝起こされるでもなくこんな時間に起きるようになるとはなぁ。高校時代も自分では中々起きれず母親に起こされようやくといった感じであった。


白み始めたとは言ってもまだまだ屋内に差し込む陽の光は弱く手探りで1階へ下り朝の身支度をする。

身支度を済ませ、済ませたと言ってもまだスウェットだが。キッチンへ戻るとテーブルの上に朝食と書き置きがあるのに気付く。書き置きには、昼までに戻るつもりだが遅くなるかもしれない。そして、出掛けるなら戸締まりをしっかりと頼むといった感じで書かれており。勝手口の鍵も添えられていた。


その頃になると頭もスッキリしテーブルに着きモソモソとパンを食べる。固く、味の無いパンを。

食べながら今日の予定を考える。昼から冒険者ギルドでアクロバットの職業訓練が確定しているだけでそれ以外は完全にフリーなのだ。これまでの行動パターンに照らし合わせてみてもラウエルの森に採集に行くぐらいしか思いつかなかった。

とりあえず午前中は採集をし、昼前に街に戻り金の稲穂亭で昼食を取り、そこから冒険者ギルドで職業訓練を受ける。

その後は、またその時考えよう。必殺、悩んだら後回し、である。


当面の予定も立ったので着替えを済ませラウエルの森へ向かうことにした。

ラウエルの森に着きいつもの様に採集と生活魔法の練習を交互にしていると。


「クリーン」


パラパラパラ───。


「ん?何か砂っぽいのが」


服を叩いてみると。


パラパラパラ───。


「もしかして、クリーンの効果か」


なるほど、クリーンの効果で垢とか汚れが砂みたいな感じになって落ちるのか。まぁ、確証は無いから後で誰かに聞いてみないとだけど。


「うぅ・・・しんどい・・・」


クリーンの効果が体感出来るレベルになり気を良くした結果、生活魔法の使いすぎでMP枯渇を起こしていた。

しばらく休憩していると鐘の音が2回聞こえてきた。


「あぁ、もぅ10時か。そろそろ街に戻るかな」


北門に居る守衛さんはいつもの人じゃなかったので行きも帰りも会釈だけで済ませ、薬草の買取もどうせ後で行くからと冒険者ギルドを素通りする。すると。


「あ、ナギトさん」

「ん?フィリップさん?」

「先程ミルフェイユに伺ったんですが今日はお休みされてるんですか?」

「今日はメディン婆さんが用事あるらしくて臨時休業ですね。何かメディン婆さんに用事ありました?」

「はい、親方にせっつかれまして。いつになったら試作を見に来てくれるんだ。と」

「あぁ、なるほど」

「昨日の今日で急ぎすぎだとは思うんですけどね」

「親方も弟子の人もオセロにハマってましたからね。手応えがあったのかもですね」

「そうですね。ナギトさん、この後ご予定は?」

「この後は、金の稲穂亭でお昼ご飯にでもしようかと思ってます」

「金の稲穂亭のご飯は美味しいですよね。もし、お邪魔じゃなければご一緒させて貰ってもいいですか?」

「あ、はい。いいですよ」

「良かった。1人で食べると味気ないですから」

「そうですね」

「では、早速行きましょうか」



あのメディン婆さんにして手強いと称されるフィリップさん。工房に近づくなと言われたのは恐らくフィリップさんに近づくなって意味なんだろうけど、この流れでは断れないよなぁ。

もしかしたら俺のことを待ち伏せでもしてたのか?とも考えたが、考えれば考えるだけ怖くなってきたので凪斗は考えるのをやめた。



お読み頂きありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] まあ、別に契約を持ち掛けられても断ればいいだけだからな そもそも、主人公は契約の際の相場なんか全然知らないんだから、 契約しようにもできないとは思うが
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