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175話 マーキング

「朝ご飯の準備出来たよー」


「それじゃあ、行きますか」

「儂は顔を洗ってから行くで、先に食べとってくれ」

「はい」


「あれ?おばあちゃんは?」

「顔洗うから先に食べててって」

「そう。ナギト、さっきはごめんね」

「んー?気にしてないよ」

「そっか。それじゃあ、食べよっか」

「うん。いただきます」

「いただきます」


今日の朝食はパンとスープが2種類。かなり豪勢な朝食だ。

夕飯の残りなんだけどね。


この3人で食卓を囲むのも次は当分先になるのかと思うと感慨深いものがある。

少し寂しくなりトリーネを見るとガツガツと朝食を掻き込んでおり。ついさっきまで心細いとか言ってたのに完全に吹っ切れてるのか・・・と、余計に寂しくなった。


朝食を済ませ、後片付けをしていると。


「そこそこ荷物あるんだけど、アイテムボックスで馬車までお願いしていい?」

「うん、いいよ」

「それじゃあ、まだ荷物は部屋だからお願い」

「うん。・・・え?今?」

「うん」

「後片付けが・・・」

「おばあちゃんに任せれば良いわよ」

「えぇー・・・」


強引に腕を引っ張られ2階のトリーネの部屋へ向かう。


「ちょ、階段は危ないって」

「まぁ、そうね」


と、ようやく離して貰えた。


「もうちょっと離れて」

「え?」

「部屋の中が見えない所まで」

「う、うん」

「荷物取って来るから覗かないでね?」

「うん。前から思ってたんだけど」

「うん」

「そんなに部屋汚いの?」

「そんな訳ないでしょっ!見られたくないだけよっ!」

「う、うん」


デリカシーが無い発言なのは自覚してるけど、頑なに隠し過ぎな気もする。

それとも女の子ってそういうもんなのかな?


トリーネの荷物は大きなリュックサックが1つと手持ちの鞄が2つ。

それをアイテムボックスに仕舞う。


「時間までまだあるけどどうしよっか?」

「ん~、ちょっと早いけど南門の所まで行かない?」

「流石に早すぎじゃない?」

「いいからっ」

「う、うん」


メディン婆さんも誘ったのだが、ここで見送っても大差無かろう?と返されてしまった。


という訳で、トリーネと2人並んで南エリアに向かって歩いている。

北エリアはこの時間、冒険者ギルドを除いて静まり返っているのだが、南エリアは屋台の準備等でまだまだ薄暗い時間帯にも関わらずそれなりに賑わっている。


「ねぇ、ちょっと見て良い?」

「ん?雑貨の露店?」

「うん」

「アクセサリーで体力の補正が付いてるやつ探してくれない?」

「え?いいけど」


前に買ってあげた知力+1の指輪に昨日あげたネックレスとブレスレットでアクセサリーが3あつあるはず。

たしか、強化値が反映されるのは3つまでだったはずだから買っても意味無いと思うんだけど。

あ、そうか。知力で固めて火力強化と体力で固めて防御強化って感じで使い分けるのか。


片っ端から鑑定をしていき、体力+1の指輪を発見した。


「この青銅の指輪が体力+1だね」

「ありがと。うん、丁度良いわね。これ下さい」

「あいよ。あら?彼氏から彼女へのプレゼントじゃなかったのかい?」

「あぁ、俺が出すよ。いくらですか?」

「いいの。私が出すから」


体力で固めるなら3つ買った方が良い気がしたけど、よくよく考えてみたらネックレスとブレスレットはチート級の強化値だった。

それを外してまで体力を+1させる意味も無いか。

だったら知力+1から体力+1に付け替えるだけの方が効率も良いね。


「ナギト。手出して」

「へ?はい」

「右じゃなくて左手」

「え?うん」

「ネックレスとブレスレットのお礼」

「あぁ、うん。ありがと」


左手の薬指に嵌められたんだけど、これってもしかしてそういう意味?


「前衛になるかもって言ってたでしょ?」

「えっ、うん」

「気休め程度だけど、無いよりはマシでしょ?」

「そうだね。ありがと」

「ナギトってたまに抜けてるから、いざって時のためにもその指輪外したらダメよ?」

「うん」

「ダンジョンとか関係無く常によ?」

「えっ、うん」

「次に会うまで1回も外したらダメよ?」

「うん、分かったよ」


何かマーキングをされてる気分だけど・・・まぁ、いいか・・・。


「ジョーさん達が来るまでまだ時間あるだろうし、何か飲みながら待ってよ」

「うん」

「そこに座って待ってて、ちょっと買って来る」

「うん、ありがと」


「リンゴとオレンジどっちが良い?」

「ん~、リンゴ」

「はい」

「ありがと」

「何か前もこういうのあったよね」

「あの時は逆じゃなかった?」

「うん」

「ナギトが私に指輪を買ってくれて、そのお礼に私がジュースを買ってきたの」

「座って待ってた場所もここだったと思うよ」

「良く覚えてるわね。ふふふ」



アスガードに来て、トリーネと一緒に居る事が多かったから。

思い出と言うか、その場所場所のイメージはトリーネと結びついている事が多い。


冒険者ギルドに関する思い出でキザイアさんを上回る事はそうそう無いと思うけど・・・。



いつもお読み頂きありがとうございます。


不定期更新で新連載を開始しようかと思います。

見切り発車なので間隔が空いたりするかもしれませんがよろしくお願いします┏○


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