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174話 夢現

「今日はちょっと疲れたんで、もう寝ますね」

「えっ」「ふんっ」

「ごちそうさまでした。おやすみなさい」

「ナギト」

「はい?」

「無駄に気を回し過ぎじゃ」

「何の事ですか?」

「ふんっ、白々しい」

「えっ、どういう事?」

「明日、早いんだからトリーネも早く寝た方が良いよ」

「うん、おやすみ」

「おやすみー」


憎まれ口は叩くけど、引き止めないって事はメディン婆さんも2人で話したいんだろう。

さて、俺は眠くないんだけどどしたもんか・・・。


しばらくは無詠唱による同時発動。ライトを維持しながら無詠唱でヒールを掛けたりしていたのだが、なんだかんだ横になり目を瞑っていると眠くなるもので、気が付くと微睡みの中に居た。



誰かが部屋に入って来たような気がする。


浅い眠りと半覚醒の状態を行き来する。


誰かに話しかけられているような気がする。


夢を見ている様な現実感の無い浮遊感の中に居る。


何かが顔に触れたような気がする。


緩やかに浮遊感が収束していく。


そして、緩やかに深い眠りへと落ちていく。





「ふあぁぁぁぁっ」


翌朝、目を覚まし盛大に欠伸をしながら身体を起こす。


めちゃくちゃ寝た様な気がするけど、まだまだ寝足りない様な気もする。

夢を見てた気もするけど、既に思い出せないな。


昨夜、早くに寝たので当然の様に部屋の中は真っ暗だ。

ライトを発動させ、覚束ない足取りで部屋を出て階段を下り庭へ出る。


外に出ても真っ暗なので、もしかしたらまだ深夜なのかもしれない。

トイレを済ませ、顔を洗い、歯を磨き、幾分ハッキリしてきた頭で考える。


もし、これが真夜中だったとしたら済ませるのはトイレだけにして2度寝した方が良かったんじゃないだろうか。

馬車の時間は6時。準備とかを入れても5時に起きれば十分に間に合う。


「よし、もっかい寝よう」

「見送りに来ない気?」

「!?」

「朝からブツブツ言ってて気持ち悪いと思いながら後ろから見てたら寝るとか言い出すし何なの?」

「えっ、いつからそこにっ?」

「さっきからだけど?」

「だって、階段を下りて来る音も聞こえなかったし」

「下りてないもの」

「えっ」

「おばあちゃんの部屋で寝たから」

「そうなんだ」

「それで、見送りに来ないの?」

「いや、行くよ?行く行く」

「寝るんじゃないの?」

「だって、真っ暗だし早く起きすぎたのかな?って思って」

「もうじき陽も昇り始めるわよ」

「そっか」

「昨日、いきなり冒険者ギルドに行くって言い出したり、夕飯の後も直ぐに寝るって言ったりしたのって私とおばあちゃんに気を使ってくれたのよね?」

「用事はあったし、直ぐに寝たよ?」

「ふ~ん。だったら冒険者ギルドには何の用事だったのよ」

「トリーネにあげたネックレスとかに付与されてた火属性についての相談」

「ふ~ん。だったら何て言ってたのよ」

「えっと、あれ・・・?満足して帰ってきた気がするんだけど何も解決してなかった気がする」

「なによそれ」

「まぁ、でも。人に見せたり話したりしなければそんな簡単にバレないって言ってたかな」

「誰にも見せずに話さずにどうやってバレるのよ」

「ん?あれ?本当だ」

「鑑定だけ気を付ければ良いんでしょ?」

「あ、そうだね。うん」

「ねぇ」

「ん?」

「いつぐらいにミズガルズに来れそう?」

「まだ分からないよ」

「マリオンさんに任せてればお店はどうとでもなるんじゃないの?」

「うん、なると思うけど・・・」

「だったらナギトも一緒に行こうよ」

「ナギトは行かんぞ」

「「!?」」

「おばあちゃん・・・」

「昨夜も言うたが、この程度で心細いなどと言うなら冒険者なんぞ辞めてしまえ」

「・・・・・・」

「それに、自分の都合だけで周りを巻き込むでない」

「・・・うん、ごめん・・・」

「分かったならさっさと朝飯の準備でもして来い」

「うん」


「すまんの」

「いや、しょうがないですよ」

「あれは儂が甘やかし過ぎたせいじゃの」

「そんな事無いと思いますよ」

「環境というのは大事での」

「はい」

「ナギトが良い例じゃよ」

「俺ですか?」

「最初、会った頃はただのバカな子供にしか見えんかった」

「その時から言う程時間経って無いですけどね」

「じゃから言うとる。周りも見えんで無駄に必死でバカ丸出しじゃった」

「今もそんなに変わってないでしょ」

「ふん。その返しからして変わった証拠じゃろ」

「えっ、そうですか?」

「最初の頃に似た様な事を言おうモンなら必死になって否定しとったと思わんか?」

「うーん、どうだろう。自分じゃ良く分からないですね」

「神の気まぐれでこの世界に連れて来られ。毎日、必死に足掻いた結果じゃ」

「成長してるんですかね?」

「成長なのかただの変化なのかは分からんがの」

「まぁ、俺でそんなに変われてるんならトリーネもミズガルズで変わるでしょ」

「じゃと良いがの」



成長してるのか。

アスガードに来て直ぐの頃は金も住む場所も無くて必死だったよな。

ん?もしかして、金に余裕が出て心にも余裕が出ただけとか?



いつもお読み頂きありがとうございます。


新作の進捗具合ですが、5話目を書いている途中です。

投稿しようかとも思ったんですが、今更ながら設定を考え出して停滞中でございます。

もうしばらくお待ち下さいませ(「・ω・)「ガオー


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