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169話 ちょー一般人

「お前なぁ。考えてもみろよ?」

「はい?」

「貴族相手に商売してるスイート・エモーションの経営者なんだぞ?」

「まぁ、そうですね」

「反応薄すぎないか?」

「だって、経営者かもしれないですけど俺自身は何もしてないですし。金も入ってきてないから実感も無いんですよね」

「実感なぁ。まぁ、お前がその気になりゃー貴族様の次女だったり三女ぐらいなら嫁に貰えると思うんだがな」

「いやいや、まさかそれは無いでしょ。それに貴族とか怖いから関わりたくないですし」

「ナギトって貴族の出じゃないかと思ってたんだが、実際の所どうなんだ?」

「違いますよ。めちゃくちゃ平民ですよ。ちょー一般人です」

「だったら実家は商売やってるとかか?」

「いや、そう言うのでも無いです」

「その割に読み書きも得意で金勘定も余裕でやってるじゃねぇか」

「何て言ったらいいか・・・勉強したんです」

「ふむ。触れて欲しくないって事か」

「んー、まぁ、そういう訳でも無いんですけど説明が難しくて」


義務教育なんて概念の説明は難しい。

この世界だと子供も労働力であって、ただ遊んでるだけの子供もそんなに見かけない。


「買ってきましたー」

「あぁ、おかえり」

「銭貨4枚残りました」

「使い切っても良かったのに」

「えっ、流石にそこまで甘える訳には・・・」

「いいよ、残りは取っといて」

「ありがとうございますっ」


2人で銭貨6枚か。結構切り詰めてる気がするな。


「ジョーイ、お前もお礼を言え」

「お、おう。ありがとうございます」

「うん、いいよ」

「ナギト~。俺にも小遣いくれよ~」

「ん?ジョーさんは昼ご飯要らないって事ですか?」

「なんでそうなるんだよっ」

「いやぁ。ご飯も奢ってるのに更に小遣いまで集られるとか・・・しかも年上に」

「軽い冗談じゃねぇか」

「辛すぎてビリーさんに泣きついちゃうかもしれないです。ある事無い事言いながら」

「おい、それはシャレにならんから勘弁してくれっ」

「あの、さっきから考えてたんですけど」

「ん?どうしたのトム君」

「ナギトさんって貴族ですか?」

「どうも違うらしいぞ?」

「俺のどこが貴族に見えるんですかね?」

「それはさっき言っただろうが」

「まぁ、そうですね」

「マリオンさんから様付けで呼ばれてたのと羽振りが良さそうなんで」

「あー、それは・・・仕事相手だからだと思うよ」

「だったら実家が商売してるとかですか?」

「さっきジョーさんともその話してたんだけど、実家は一般家庭。めちゃくちゃ平民だから」

「ほら見ろ。やっぱり周りからはそう見えてるんだよ」

「そうですね」

「隠したいなら適当に設定でも考えて用意しといた方が良いんじゃねぇか?」

「親が行商をやってて、読み書きと計算は叩き込まれた。とかですか?」

「良いじゃねぇか」

「じゃあ、それで行きますか」

「軽いな」

「いや、どうせ嘘なんだから何でも良いじゃないですか」

「そういやそうだな」


「ナギトさんは読み書きに計算も出来るんですか?」

「うん。まぁ、それなりに。だけどね」

「やっぱり冒険者でも出来た方が良いですよね」

「どうなんだろ?」

「出来るに越したこたぁねぇな」

「やっぱりそうですよね」

「トムはどんぐらい出来るんだ?」

「俺は簡単な読みと書けるのは自分の名前ぐらいです」

「俺もそんぐらいだから何とかなるんじゃねぇか?」

「でも、計算は全然出来ないです」

「俺もだ。だったらナギトに教われば良いんじゃねぇか?」

「俺が教えるんですか?」

「お願いします」

「いや、うん、良いけど。ちゃんと教えれるか分からないよ?」

「お願いします」

「ジョーイはどうなんだ?」

「俺はいいっす」

「どっちも出来ないんだな」

「冒険者なら強ければ良いじゃないっすか」

「お前、くっそ弱いけどな」

「・・・・・・」

「まぁ、いいや。読み書きやら計算は出来るやつが1人でも多い方が楽だからな。暇な時はなるべく教えてやってくれ」

「はい」

「よし、それじゃあ。冷めちまう前に食うか」

「はい。それじゃあ用意しますね」


アイテムボックスから屋台で買った物をテーブルに並べていく。


「さっきは一瞬だったんで確信は無かったんですけど、アイテムボックス持ってるのってナギトさんなんですね」

「あー、うん」

「アイテムボックスを持ってて、レベルも高くて、商業ギルドの人と商売をやってて、ナギトさんってロックスに入る前は他所の街で活躍してた高ランクの冒険者だったりします?」

「いや、俺はDランクだよ。それに、アスガードに来てから冒険者になったし」

「そうなんですね」

「そうか、もうDなのか」

「ん?ジョーさんどうしました?」

「いやぁ、こないだ冒険者になったっばっかなのに。もうDかと思うとな」

「俺って早い方ですか?」

「かなり、な。スティーブンはDだし、俺でもCだからな」

「うーん、たしか買取の金額が高かったからって話だったんで。ほとんど採集で上げた様なもんですよ?」

「ま、ナギトならAランクも夢じゃないな」

「担がないで下さいよ・・・」



トム君の「うわー、ナギトさん凄い」って感じの視線がこそばゆい。

そして、ジョーイの「いやいや、コイツには無理だろ」って訝しげな視線がイラっとする。

自分でもなれるとは思ってないけど、ジョーイの昼ご飯取り上げるのは大人げないだろうか・・・。



いつもお読み頂きありがとうございます。


GWのおかげかPV数が増えてます(*´ω`*)

まかり間違ってブクマとかも増えてしまえ(「・ω・)「ガオー

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