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166話 泣く子と

「おーい、ナギトー。誰だったんだー?」

「マリオンさんですー」

「そんな所で喋ってないで上がって貰えやー」

「あー・・・はーい」

「宜しいんですか?」

「はい、どうぞ」


マリオンさんを連れてリビングへと戻る。

さっきまで俺が座っていたソファをマリオンさんに譲り、俺はブラッドさんが座っている2人掛け用のソファに移動する。


「それでは、まずはこちらをご確認下さい」


と、いくつか小さな箱がテーブルの上に並べられた。

手に取り開けてみると、頼んでいたルビーの指輪だった。

他のも開けていくとブレスレットやイヤリング等、色とりどり・・・ではなく赤一色なのだが、どれも素晴らしい出来だと思う。たぶん。

現代日本で普通に育った18歳男子に宝石やアクセサリーの良し悪しが分かるやつなんてそうは居ないと思う。

もちろん俺には分からない。


「ありがとうございます。かなり良い出来ですね。それもこの短時間で仕上げて貰えるなんて」

「はい。私も拝見させて頂きましたがどれも素晴らしい出来栄えかと思います」

「お前に分かんのかよ」

「はっはっは。ジョーさん」

「なんだよ」

「分かる訳無いじゃないですか」

「だよな」

「これはとりあえず仕舞って。いやぁ、助かりましたマリオンさんありがとうございます」

「いえ、ナギト様からのお願いでしたので当然です」

「報告ってのは、ここでじゃない方が良いですよね?」

「いえ、問題ございません。先程、ご教示頂けたものは恐らく成功致しました」

「あー、はい」

「ですので、また日を改めてご確認下さい」

「はい。楽しみにしてます」

「私の要件は済みましたので、何か質問等ございませんでしたら失礼させて頂きます」

「えーっと、俺は無いですけど。ジョーさん達はあります?」

「俺は無ぇな」

「俺もだ」

「マリオンさんって彼氏は居るんすか?」

「「「「「!?」」」」」

「・・・居りませんが、それが貴方に何の関係が?」

「一目惚れっす。俺と付き合ってください」

「お断り致します。それでは失礼させて頂きます」


見事なまでの瞬殺。

呆気に取られ、誰一人として動けないまま固まって居たが、マリオンさんは普通に立ち上がり深々と頭を下げてから去って行った。


「ナギトさん!マリオンさんとはどういう関係なんすか?」

「え、あー、仕事上の付き合い?」

「マリオンさんも冒険者なんすか」

「いや、マリオンさんは・・・」


商業ギルド関係とも言いにくいし、俺が雇ってるなんてもっと言えない。


「・・・冒険者じゃないよ」

「言葉遣いとか立ち振舞が商業ギルドの人っぽいですよね」


なんでトム君はそんな無駄に鋭いの・・・。


「はぁ~、お前はここに何しに来たんだ?」

「ナギトの兄貴。ジョーの兄貴。今まですいませんっした」


突然、ジョーイはジャンピング土下座を決めた。

いや、兄貴て・・・お前みたいな弟は要らん・・・。


「心を入れ替えるんでっ、ロックスに入れてくださいっ」

「いやいやいや、そんな急に・・・」

「お前ら良かったじゃねぇか、良い弟が出来てよ」


本当にそう思ってるなら顔をピクピクさせながら言うのを止めて貰いたい。


「要らねぇよ、こんな弟・・・」

「ブラッドの兄貴もよろしくお願いしますっ」

「うへぇ、勘弁してくれ・・・」

「俺は要らねぇからブラッドに譲るわ」

「俺もブラッドさんに譲ります」

「お前らずりぃぞ・・・勘弁してくれ・・・」


ジョーイのこの手のひら返しと言うか態度が急変したのは100%マリオンさんが理由だろう。

ロックスに入ればマリオンさんと接触する機会があると踏んでの完全なる打算としか思えない。


「ところで腹減ったんだが、いい加減メシにしねぇか?」

「そうだな。それじゃあ、話を終わらせるか。お前らどうするんだ?」

「俺も一緒に食うっす」

「メシの話じゃねぇよ」

「俺はロックスに入りたいです」

「このバカを切り捨てたとしてもか?」

「はい」

「え・・・俺も、俺もお願いします」

「お前はちょっと黙ってろ。入りたい理由聞いても良いか?」

「はい。俺とジョーイは同じ村の出なんですけど、そんなに裕福じゃないんで仕送りしないといけないんです」

「まぁ、良くある話だな」

「ジョーイの親からも面倒見るように頼まれてたんですけど、何度言っても聞かないですし」

「良いのか?」

「これで加入を断られるのも5回目なんで」

「そ、そうか・・・」

「それに、加入前なのに稽古をつけてくれるなんて他には無かったです」

「まぁ、普通はやらねぇな。実力を試す事はあるが」

「なんでロックスなら加入後も指導して貰えると思って」

「先に言っとくがウチはちょっと特殊だぞ?思ってたのと違うからって簡単には抜けれねぇぞ?」

「はい。大丈夫です」


トム君の加入は本決まりかな?

問題児の方はどうなるか分からないけど。


「うぐぅ・・・トムだけずるいいいいいいいいいいい。うわああああああああん」



あぁ、また泣いた。

ずるいって・・・子供かっ!

いや、子供だった・・・。14歳だもんね。



いつもお読み頂きありがとうございます。


新キャラが思いの外暴れまわっております。

ヒロインが居なくなるのに男キャラばっか増やしてどうしたいのだろう?(´・ω・`)

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