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158話 ピジョン・ブラッド

何だろう。やらかし慣れてきたのか落ち着いている。

マリオンさんはフリーズしたままなのでソファに掛け、グラスに水を注いで喉を湿らす。


「へ?ナギト様どこにっ、あっ、な、何寛いでるんですかっ!」

「いやぁ、すいません」

「はぁ・・・ナギト様は色々と規格外な方なのでこの程度普通なのかもしれませんが・・・」

「いやぁ、むしろ普通が分からないから落ち着いていられるって感じですかね?」

「ステータスのプラス補正についてはご存知ですよね?」

「まぁ、存在ぐらいは・・・」

「+1程度でしたら誰でも買う事が可能です」

「はい。露店とかでも売ってますよね」

「はい。+2でも+1と比べると値段は跳ね上がりますが誰でも買う事が可能です」

「いくらぐらいですか?」

「詳しくは無いので大体でですが+1なら銅貨1-2枚程度でしょうか」

「はい」

「+2で銀貨1-2枚といった所だと思います」

「本当に跳ね上がりますね」

「ですが、+3ともなると金貨数枚は確実に掛かります」

「おぉー」

「ですが、金額よりも絶対数が少ないので基本的にはオークションや高ランク冒険者同士で売買される事がほとんどです」

「なるほど」

「このネックレスは+4ですので、それだけでも金貨数十枚以上の価値があります」

「でも、+30とかもあるって聞いた事あるんですけど」

「都市伝説ですね。+10までは確認されているはずですが国宝になっております」

「なるほど」

「ですが、問題は属性の補正です」

「+5ですね」

「はい・・・」

「合計で+9ですからね」

「いえ、問題はそこじゃないんです」

「火だからですか?」

「いえ、私は属性の+補正を3までしか聞いた事がありません」

「って事は、これも国宝クラスって事ですか?」

「そうなると思われます」

「って事は国王様に献上した方が良いんですか?」

「分かりません・・・」

「えぇー・・・」


分かりませんって・・・。

メディン婆さんとかに相談した方が良いのかな?


「これ程の物を献上するとなると、爵位を賜る可能性も出て参ります」

「そんなにですか」

「代理で誰かが献上する訳にもいかないので、その場合はナギト様の名義で行う事になります」

「やばいですね」

「はい。そうなりますと、これ以上無い程に悪目立ちするかと思われます」

「デスヨネー」

「ルビーの原石がどこで採掘されたのか、どこの職人が制作したのか、土台やチェーンの素材はどこで採掘されたのか。等々、情報が国中を巡ります」

「そうなると・・・」

「まずは、アスガードに冒険者や貴族、商人が溢れかえります」

「まずは・・・と言う事は、それから・・・」

「当然、ナギト様の情報も知れ渡るので身動きが取れなくなると思われます」

「マジですか・・・」

「冒険者や商人はナギト様をマークして、何とか情報を引き出そうと躍起になるでしょうし」

「・・・・・・」

「貴族はナギト様を囲い込もうとするかと思われます」

「えっ、囲っても現物無いじゃないですか」

「もう1度同じ物、もしくはより優れた物を求めて。ですね」

「そういうのって運じゃないんですか?」

「法則があるのでは。と研究されてる方も居るぐらいですので、藁にもすがる思いと言いますか・・・」

「そんな必死になる程なんですね」

「売って一生遊んで暮らせるお金にするも良し、国に献上する事で爵位や名誉、領地等を得るも良し。と言った感じでしょうか」

「だったら売っ払って隠居するのもアリかもですね・・・」

「その場合は確実に情報が漏れますので、隠居とは程遠い生活になると思いますよ?」

「国に献上した場合は?」

「国、もしくは上級貴族に仕える形になり騎士の称号を賜る。が可能性として高い気がします」

「目立ちますよね?」

「それはもう」

「献上した場合の次に高い可能性はどんな感じですか?」

「男爵になり、領地を賜る」

「ランクアップしてますね」

「はい」

「次は?」

「子爵になり、領地を賜る」

「更にアップしてますね」

「はい。最初に申し上げたのが最低ラインかと思います」

「最低でも騎士ですか」

「はい」


うん、やらかした。

これは盛大にやらかした。


「えーっと、いっその事」

「はい」

「鑑定なんてしてなかった事にしてトリーネにあげちゃうのは?」

「私としましては、ナギト様がアイテムボックスに死蔵されるのが1番良いとは思います」

「全てを無かった事に。ですね」

「はい」

「それじゃあ、もったいないですけどその方向で行きましょうか」

「はい」

「でも、トリーネには言ってないんで何もあげなくても問題は無いんですけど・・・」

「そうでした」

「はい?」

「加工した際の欠片やネックレスに使用されなかった分のルビーがまだあるそうで」

「おぉ」

「そちらを使って別の物を作るという手もありますね」

「欠片とかだから小さいでしょうし、プラス補正が付いても1とか2でしょうしね」

「はい。では、注文致しますがネックレスがよろしいですか?」

「いや、サイズの事もあるんでお任せします」

「畏まりました」



トリーネへの餞別だけど間に合うんだろうか。

間に合わなかったら間に合わなかったで郵送とか出来ないのかな?

いざとなったら商業ギルド経由で届けて貰えば良いか。



いつもお読み頂きありがとうございます。


サブタイトルのピジョン・ブラッドは直訳すると鳩の血です。

ミャンマー産で良い感じの色のやつをピジョン・ブラッドと言うそうな。


なにやら伏線の香りがしますね。

何も用意してないですよ(´ε` )

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