15話 魔法デビュー
魔法って憧れますよね。無駄に詠唱とかしてみたい( ´ー`)
「それでは生活魔法の中でも基本的な物から練習してみましょうか」
「はい、よろしくお願いします」
「指先に意識を集中し熱を持つイメージで「トーチ」これが蝋燭に火を灯したり竈に火を入れる際に使う着火魔法になります」
おぉ、シフさんの指先から火が出てる。蝋燭の火みたいな感じか。
「それではサカグチ様も」
「はい、「トーチ」おぉ、出来ました」
もうちょっと苦労するかと思ったけどあっさり出来たな。しかも、シフさんの火より俺の火の方がデカいし、もしかして才能あり?いや、違うな、魔力操作のせいだろ。俺の方が力を込めたってだけ。調子に乗ったら絶対に痛い目に合うからな、よし。
「次は「トーチ」この火を、このようにを大きくしたり小さくしたり。これが魔力操作の訓練にもなるかと思われます」
「トーチ」
「イメージする事が大切ですので、落ち着いてゆっくりと行ってください」
「はい」
イメージか。落ち着いて、ゆっくりと、火を大きく・・・。
ゴォォォォ───。
一瞬、火柱の様な大きな火が燃え上がり全身の倦怠感と共に立っていられなくなり俺は尻もちをついた。
「・・・大丈夫ですかっ?サカグチ様っ」
「・・・すっごいしんどいけど大丈夫です・・・」
「MPが枯渇しただけのようですね。落ち着いてゆっくりと言ったじゃないですか」
「すいません」
「それでは、あちらの椅子で座ってお休みください。しばらく休めばMPも回復すると思いますので」
「はい」
と、シフさんに肩を貸してもらい空き地・・・ではなく訓練場の端にある休憩スペースまで連れて行って貰った。シフさんちょー良い匂いがする。
「それでは私は一旦業務の方へ戻らせていただきますね。また後程顔を出しますのでそれまで休憩なさってて下さい」
「はい。すいません」
才能が無いのか魔力操作自体が難しいのか考えながらも失敗した事に落ち込みつつ。シフさん良い匂いだったなぁ。
どうにも邪念の方が勝っているようだが全身を覆う倦怠感からいつの間にか眠りに落ちていた。
「サカグチ様、サカグチ様」
「・・・はいっ」
「身体の具合はいかがですか?」
「あ、はい・・・・っと大丈夫っぽいです」
「そうですか。それでは紹介しますね。マジシャンの講師をしてくださるトリーネさんです」
「あ、ナギトです。よろしくお願いします」
「トリーネです。よろしく」
講師って言うから真っ白の髭もじゃなおじいさんかメディン婆さんみたいなのを想像していたが予想外に紹介されたのは中学生ぐらいの女の子だった。頭からスッポリとローブを被り、手には木で出来た杖を持っている。冒険者ギルドでも数名見かけたがこういった格好がマジシャンの定番のようだ。
「指導の方はトリーネさんに任せてますので私はこれで失礼させていただきます」
「はい、シフさんありがとうございました」
「それじゃあ、あの的の所で練習しましょ」
「はい、お願いします」
「シフさんに大体は聞いたけど基礎からでいいのよね?」
「はい、何も分からない状態なんで基礎の基礎からでお願いします」
「って言ってもスキルは転職してからじゃないと覚えられないから、マジシャンがどんな職業なのか私がいくつかスキルを使うから見ててね」
「はい、お願いします」
「しっかり見ててね」
「ファイヤアロー」「ファイヤボール」「ファイヤランス」
ドス───。ドーン───。ドゴーン───。
「おぉぉぉぉ。格好良い」
「でしょ~?」
「こうゆうのに憧れてたんですよ」
「ならマジシャンになるしかないわねっ」
「あー、そうか。他の職に就くと今みたいなのは覚えられないんですもんね」
「まぁ、そうね。マジシャンのスキルはマジシャンにしか覚えられないし、マーシナリーのスキルはマーシナリーにしか覚えられない。でも、今みたいなのをやりたいならマジシャンになるしかないわね」
「うーん。憧れはあるんですけど、他の職業の特性も詳しく知りたいし全部見てから決めようと思ってるんで・・・」
「まぁ、そうね。向き不向きもあるし、考えてから決めるのは間違ってないと思うわ」
「ですよね。でも、まぁ格好良いですよね。こう・・・手をかざして「ファイヤボール」え・・・?」
「へ・・・?」
ドゴォォーン───。
的を大きく外れたファイヤボールは壁に当たり大きな穴を作っていた。
本来、マジシャンにしか覚える事の出来ないファイヤボールをなぜ使えたのか考える間もなく、トーチの時とは比べ物にならない倦怠感と脱力感を感じ俺はそのまま意識を手放した。
「なんで使えるのよ・・・・」
なぜか使えちゃいました٩( ᐛ )و




