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127話 Coffee and Cigarettes

「どうかしら?」

「うん、美味いな。こないだナギトに貰ったヤツより美味い気がする」

「もぉ~、ジョーったらぁ」


なんだろう、ものすごく濃いコーヒーが飲みたい気分だ。

まだクッキーも食べてないのに口の中が甘ったるい。


「俺もいただきます」

「私も」


大きめのやつを選んだけど、中までしっかり焼けてて美味しい。

たしかに俺が作ったやつより美味しいな。


「うん、美味しいです」

「ビリーさんのも美味しいけど、ナギトが作った中がモソっとしたのもクセになって美味しいわよね」


トリーネさん、それフォローですか?

それともトドメを刺しに来てますか?


「これだったら売り物になるでしょうね」

「本当にそう思う?」

「はい、思いますよ」

「だったら悪いんだけど、商業ギルド宛てに手紙書いて貰っていい?」

「はい、良いですよ。なんて書けば良いですか?」

「調理場を任せられるかナギト君に判断して貰えって言われてたから。そう書いて貰えると助かるわね」

「それじゃあ、紙とペン借りれます?」



既に自分よりも美味しく作れるようになっていて、手順や材料も把握出来ている旨を書く。

恐らく指導するのも向いているのでビリーさんなら問題無くこなすだろう。


「書けた?」

「はい」

「それじゃあ、この封筒に入れて」

「はい」

「それじゃあ、早速商業ギルドに行って来るわ」

「えっ、そんなに急かされてるんですか?」

「うん、店舗もほとんど出来てるみたいだし。調理師の数も揃ってるから、後は教えたら開店みたいよ」

「えぇー・・・」


まさかのハイペースで進んでた・・・。

動きが早いから数週間後には開店しそうだと思ってたけど、もしかして数日後には開店するのかな。

いや、もしかしなくてもこの流れだとするんだろうな・・・。

ヘタしたら明日?流石にそれは無いか。


「あ、そうだ。もしかしたらすぐには戻れないかもしれないから。皆、お昼は適当に済ませてね」

「向こうでそのまま指導してたら何時になるか分からないですからね」

「最悪、夜も作れないかもしれないからそのつもりで居てね」

「おう、こっちは気にせず頑張って来いよ」

「うん」


ビリーさんを送り出し。昼ご飯にありつけなかったので俺とトリーネはそろそろお暇しようかと思っていたら。



コンコン───。


「誰か来たみたいですね。はーい」


扉を開くと、そこにはラルフ君が居た。


「あ、ナギトさん」

「ラルフ君どうしたの?」

「えっと・・・あの・・・その・・・」

「んー。ここじゃなんだし、中に入る?」

「あ、いえっ。ご依頼頂いてたテーブルと椅子なんですが遅れてまして・・・」

「あ、あぁ・・・」


完全に忘れてた。

3人の引退で解散になるから、正直もう要らないんだけどどうしたもんかな・・・。


「急な仕事が入って、親方とか兄貴達が出払ってて中々俺にまで構ってられる時間が無いんですよ・・・」

「あぁ、なるほど。こっちも色々あって急がないから親方達の手が空いてからでいいよ」

「すいません、折角仕事を頂けたのに・・・」

「いや、本当に急いでないから。ラルフ君に作って貰えた方が安く済んでこっちも助かるしね」


忘れてた罪悪感もあってキャンセルなんて言い出せる雰囲気じゃないな。


「お待たせする事になって申し訳ないですが、しっかりと良い物を作るので」

「うん、楽しみにしてるね」




「ナギトの客だったのか?」

「はい。俺って言うか、ロックスのですけど」

「ん?」

「発注してたテーブルと椅子の件ですね」

「ん?あ、あぁ・・・」


ジョーさんも忘れてたっぽいな。

まぁ、ジョーさんが俺達の中で1番激動だったから仕方ない。


「制作が遅れてるみたいなんですけど、断れない雰囲気で・・・」

「まぁ、仕方ねぇな」

「急な仕事が入って親方も兄弟子達もそっちに行ってるみたいなんですよね」

「あぁ、それで指導して貰えなくて遅れてるのか」

「はい。それで、たぶんですけど。急な仕事って俺の店な気がするんですよね」

「あぁ・・・たしかに。っぽいな」

「そう思うと余計に断りにくくて」

「だな」



ちなみに、クッキーを食べてる時も、今もブラッドさんは船を漕ぎ続けている。

それならいっそ部屋に戻って寝ればいいのに。


「そう言えば、スティーブンさんはまだ寝てるんですか?」

「いや、ブラッドを起こすついでにスティーブンも起こした」

「え?でも、居ないですよね?」

「あぁ、今はどこに居るか知らねぇけど挨拶回りに行かせてる」

「挨拶回り・・・あぁ、アスガードを離れるからですね」

「メインは冒険者ギルドに挨拶に行かせて、向こうでも便宜を図って貰えるようにな」

「なるほど。冒険者ギルドってちゃんと他の街とも繋がりがあるんですね」

「情報の共有から色々やってるな。出来るなら紹介状でも書いて貰えれば1番なんだがな」

「根回しって大事ですね」

「あぁ、ナギトは得意そうだもんな」

「えっ?考えなしなんで根回しなんて出来ないですよ?」

「その割には冒険者ギルドでも早々に気に入られて、あの商業ギルドにも気に入られてるじゃねぇか」

「商業ギルドはメディンさんがやってくれた感じですよ」

「それでもだよ」

「はぁ・・・」



意識してやってる訳じゃないけど、ちゃんと出来てるんだろうか。

根回し・・・事前準備だよな。しようと思ってるけど出来てない気がする。



いつもお読み頂きありがとうございます。


サブタイトルは好きな映画からです(´ε` )

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