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114話 思慮深い行動

「それから、材料や製法。ナギト君の存在を含めクッキーに関する情報全てを秘匿するべきだと思う」

「ふむ」

「なので、そういった人材もこちらで用意させて頂きますよ」

「商業ギルドで誓約書を作って貰えるなら安心じゃの」

「はい。もし漏らした場合は一族郎党この国では生きていけなくなるまで追い込みをかけます」


めっちゃ怖い事をめっちゃ良い笑顔で言うてはるぅー。


「まぁ、当然じゃの」


はい、こっちにも怖い人が居たー。


「後は、必要な材料も商業ギルドを経由して購入して頂ければ外部に漏れる可能性は下がりますね」

「細かい所で儲けを出す気かの?」

「いえいえ、その辺りは原価で卸しても構いません」

「なるほどの。クッキーそのものを商業ギルドにいくらか回せという事じゃな」

「そうですね」

「店舗販売とは別に商業ギルドでも販売。と言うよりは貴族への贈答品かの?」

「そうですね」

「良く頭が回りおる」

「メディンさん程じゃありませんよ」

「はっはっは」「ははははは」


ちょーこえぇ・・・。

2人共全然目が笑ってない。


「ん?ナギトまだ居ったんか。もう帰って良いぞ」

「その前に。クッキーを出来れば何枚か融通して貰えないかな?お代はちゃんと払うから」

「あ、良いですよ。何枚要ります?」

「そうだね。3・・・いや、5枚いいかな?」

「はい。えっと、皿か何か貰えます?」

「マリオン、よろしく」

「はい、少々お待ち下さい」

「それじゃあ、お代を払っておこうかな」


ダグラスさんが懐から取り出したのは金貨だった。


「へ?これ金貨ですよ?」

「1枚じゃ足りないかい?」

「いやいやいや、こんな貰えないですよ」

「貰うておけ。見栄もあるじゃろうが、それが商業ギルドのクッキーに対する評価じゃ」

「は、はい・・・」


「お待たせ致しました。ナギト様こちらにお願いします」

「はい」

「7枚あるけどサービスかい?」

「いえ、2枚はマリオンさんと約束してたのでプレゼントという事で」

「ナギト様っ!ありがとうございますっ!!」

「は、はい」


「それじゃあ、マリオン。ナギト君をお送りして」

「いや、この後ちょっと用事もあるんで大丈夫です」

「そうかい?」

「はい、それじゃあ失礼します」

「ナギト様ありがとうございましたっ!」

「ナギト君いつでも遊びに来てね」

「早よう帰れ」



足手まといなのは自覚してるけど早よう帰れはちょっと傷つく。

まぁ、あの場に長居したいとは思わないけど。

それにしても店を出店するのは確定として。

俺の立場ってどうなるんだろう?オーナー?社長?店長?従業員?アドバイザー?

重要なポストに置かれるとは思う。追い出されたけど。

とりあえずミルフェイユに帰るか。



「ただいまー」

「あ、ナギトおかえり。おばあちゃんは?」

「メディンさんはしばらく商業ギルドだと思う」

「ナギトはいいの?」

「早く帰れって追い出された・・・」

「あぁ・・・」

「うん。まぁ、どうする?ロックスのホームに行く?」

「そうね。お昼も向こうで食べさせて貰いましょ」



という訳で、お昼時まで全然まだだがミルフェイユを閉店させロックスのホームへと向かった。


「それで、今回はどんな話になってるの?」

「何か、お店を出すらしい」

「なんの?」

「クッキーの」

「へぇ~」

「でも、それ以外何も分からないまま追い出されたから、これからどうなるのか全く理解出来てないんだよね」

「いつも通りね」

「お、おう・・・」


トリーネが非道いけど、いつも通り過ぎて反論出来ない。

よし、トリーネの分のクッキーは没収だ。ただの八つ当たりだ。

そんなどうでもいい事を考えている内にロックスのホームへと到着する。



ブラッドさんとスティーブンさんは寝ているらしくジョーさんとビリーさんが迎え入れてくれた。

昼食をここでご馳走になりたいと伝えるとビリーさんはトリーネをキッチンへと引っ張っていった。


「今朝、シフさんがミルフェイユまで来てくれたんですけど。買取査定が終わったみたいです」

「そうか。起きたらブラッドに受け取りに行って貰うか」

「やっぱり受け取りのルールとかありました?」

「ルール?」

「ついでだから受け取りに行こうかと思ったんですけど、勝手に受け取ったら問題があるかな?と」

「あぁ、査定に時間が掛かる事なんて無かったから初めてだが。一応、こういった場合はリーダーが受け取るようにしよう。とは言ってた気がするな」

「なるほど、やっぱりルールがあったんですね。勝手に動かないで正解でした」


正直に言うとシフさんから聞いて受け取りに行こうと思ってたけどマリオンさんが来たから後回しになって、その後すっかり忘れていた。

トリーネと2人でここに向かう途中にようやく受け取りに行くの忘れてたと思い出したけど、勝手に受け取るとマズいかも?と思っただけだったりする。

思慮深く行動をすると思われたいお年頃だから。


「信用してるから問題ないし、そんなルール何年も前にポロっと言っただけだろうから誰も覚えちゃいないだろうがな」



いつもお読み頂きありがとうございます。


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