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食の革命児  作者: 亜掛千夜
第二二章 

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第458話 村の探索

 少し歩いただけでも、〝言葉〟よりも〝鳴き声〟の方が耳に入ってくる。

 もちろんちゃんと言葉は存在するのだが、会話は接続詞など省いた単語の羅列がほとんど。

 鳴き声とボディーランゲージで、感情を直接伝えた方が早いと思っている節がありそうだ。

 かなり失礼ではあるが、これでは建設的な会話ができるとは思えない。

 なので申し訳ないと思いつつ、余計にもめたくはないため、勝手に家探しさせてもらうことにする。



「家の中は本当に寝泊まりするだけのテントみたいなものだな」

「「あう……」」

「「ガァ……」」

「あはは、ちょっとくちゃいかもね」



 中はものがほとんどなく、閑散としている。寝床として使っているであろう草が敷き詰められており、他は丸太のスツールのようなものが置いてあるくらいだ。

 あとは糞尿が垂れ流しなど、そういう痕跡はないのだが、内部はとにかく獣臭が酷かった。



「マーキングみたいなもの、なのかもしれへんね」

「あまり風呂に入る習慣もなさそうだな」



 そのまま目についた家屋を片っ端から覗いていくが、どれもコピーしたかのように、家も内装もほぼ同じだった。



「ざっと見た感じ、この村には上下関係ってないのか?」

「え? そゆのって、ないと集団生活するの難しいイメージだけど。

 オオカミさんとかライオンさんとか、野生の動物でも群れのリーダーって自然にできるもんなんだしさ」

「ん~ここらの人ら見とると、余計にそないな人が要そうやなぁとは思うけど……」

「それらしい場所は見当たらないのがな……」



 千子の言葉に頷きながら、アーサーが周囲を見渡す。

 竜郎たちも釣られるように、遠くへ視線を向けた。



「権力者がいるなら余計に権威を示すため、大きな住居や建造物などがあっても、おかしくはないですからね」



 一つだけ豪華な装飾がされていたりだとか、大きいだとか、特別目立つ建造物はどこにもない。

 大雑把な作りなため全く同じものはないが、特別な建物というほどの差はない。



「ある意味みんな、びょーどー的な?」

「それでちゃんと村として機能できるのか……いや、野生のままにただ毎日生きるだけなら、別に特別な地位なんて用意する必要もないのか……?」

「個々が生きる上で当たり前のルールに従うことで、全体として統制が取れている……いうことなんかもしれへんね」

「そういえば俺たちの世界でも縄文時代には、支配者や格差は無かったんじゃないかって言われてた気がするな」

「あーなんか聞いたことあるかも? お墓がみんな一緒だったとかだっけ。

 それでいくと、ここは皆同じ家だし、本当にそんな感じなのかもね」

「ですがその場合、ある程度の協調性が必要な気もしますが……」



 ミネルヴァはまたどこかで喧嘩がはじまった怒声……というか、鳴き声になんともいえない表情をする。



「ではマスター。離れた場所に、そういう特別な居住区や建築物があったりはしませんか?」

「このへんにはないな。蔵とか食料や物を保存する場所くらいあっても良い気がするんだが、そういうのすら探査魔法に引っかからない。ミネルヴァはどうだ?」

「私も同じですね。ただゴミ捨て場やトイレに使っている穴はあるようなので、衛生面ではそれなりに気を使っていそうではあります」

「疫病なんかの対策かいな?」

「そういう知識がなくても、言い伝え……のような形で残っている可能性はあるのかもしれない。彼らにも言葉はあるのだから」

「おばあちゃんの知恵袋的なやつかな?」

「知恵袋というか、そういうなんでか理由は分からないが、守らないと怒られる言い伝えみたいなものは、ありそうだな。

 そのあたりを深堀りしていけば、歴史から消えたはずの亜獣人たちの、本当の歴史が見えてくるかもしれない」

「けど食べ物を保存する場所もないって凄いね」

「毎日狩りに出て、その日捕れた食材で一日を過ごす──みたいな生活なんやろね」

「特殊な空間だし、ここは本当に環境の変化がほとんどないのかもしれないな」

「食料も、保存せずとも狩りに出れば毎日何かしらの食料にありつけるのなら、そういうこともありそうですね──なんだ?」



 少し離れた場所から、森から帰ってきたであろう村人たちの、剣呑な叫びが聞こえてくる。

 キーキーギャーギャーと騒がしく、これまで見てきた喧嘩とも一線を画す、殺気立った声だった。

 さり気なく竜郎を守るように、アーサーが前に出る。守る必要があるような存在がいないとしても、それがアーサーの性分なのだ。



「随分と騒がしいですね」

「危険な魔物の反応もないし、亜獣人だけしかいないみたいだが……仲間割れか? 少し気になる。行ってみようか」

「このまま、ここにいてもなんも分からないしね。それじゃあ、いってみよー」

「「あう!」」



 愛衣が元気に幼竜たちに向かって片手を振り上げ、号令をかけると、楓と菖蒲はノリノリで同じ動作で答えてくれる。



「「ガア」」



 フレイムとアンドレは、一応は母であり、世話になっているからと、社交辞令的な態度ではあったが、一応は愛衣の言葉に返事はしていた。

 竜郎たちは認識阻害で隠れ潜んだまま、謎の喧騒とは真逆の呑気な雰囲気のまま、発生場所へと早足で向かっていった。

明けましておめでとうございます!

次も木曜日更新予定です!

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