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食の革命児  作者: 亜掛千夜
第十九章 無人島開拓編

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第365話 アスレチック群島

 続いてやってきたのは、塔のように海上から伸びる五つの島々からなる群島。仮の名として『五つ子島』と付けた島へとやってきた。

 前の島での仕事を片付けたニーナも加わり一番天辺が広い面積の島に上陸すると、この地での魔道具設置に携わっていたランスロットが迎えてくれる。



「待っていたのだ! マスター」

「ヤル気一杯だな。ランスロットは」

「ここはランスロットくん肝いりの島だからね」



 この島は幼竜たちの遊び場兼、大人たちも体を動かしたいときに来るアスレチック場にしつつ、外見はファンタジーなツリーハウスのような装いを計画している。

 そのデザイン図面を描いたのが、ジオラマ製作に嵌まり出しているランスロット。この独特な群島の姿が、彼の創作意欲に火をつけたようだ。

 そんな彼の希望もあって、ほぼ外見のデザインはランスロットが一任している。



「水やらなんやらの、言われていた魔道具の設置は全部終わっているのだ」

「ありがとう、ランスロット。じゃあ早速やっていこうか、月読」

「──(はい)」



 既にインフラに必要な魔道具は設置済みな状態で、竜郎と月読でデザイン図面を確認しながら五つの群島のうち一つ目の島に着手していく。

 平面にならした頂上には他の島でも用いた耐火性の芝生を敷き詰め、一番目立つ大きな木製風の屋敷を作り上げていく。

 外装ができれば細長い島の外周に巻き付くように、行き来できるステップを設置しながら、上方に似た雰囲気の小屋を不規則な間隔でいくつも少し崖に埋め込ませるように作っていった。



「なんか妖精さんのお家って感じだね」

「確かに妖精ちゃんたちの木の家に、雰囲気はちょっと似てるかも」

「ファンタジーというか、ファンシー感は強くはあるよな。絵本の中とか、オモチャの人形ハウスとかにありそうというか」

「うむ! 非日常感をこの島では表現したかったのだ」



 どちらかと言えば西洋風の建築物ではあるが、それともどこか違う、ファンタジー映画にでも出てきそうな、架空の建築物を現実に投影したような可愛らしい様式で統一されている。

 新築のピカピカな家々──という見た目でもなく、コケや蔦が張っているようなあえて付け加えた古びた様子も、なかなかにいい味を出している。

 かといって、どれもこれもコピー&ペーストを繰り返したような量産ハウスではない。

 一つ一つがしっかりと屋根や窓の形、外壁の模様、色彩の使い方。それぞれが丁寧にデザインされており、かつ全体で一つの作品になるよう統一感もしっかりと出してきている。



「なんにしても可愛いし、おしゃれで私は好きかな」

「ニーナも!」

「かーでも!」

「ぅう?」



 愛衣やニーナ、楓が褒めている中、菖蒲は一人可愛らしく悩むような素振りを見せた。

 当然デザイン担当のランスロットは、そのことが気になってしまう。



「なんだ。アヤメよ。我のデザインは嫌だったか?」

「うう」



 首を横に振り、別に気にいらないわけではないと意思を示す。だがそれを言語化することは、まだできない。

 しかしこのままではランスロットもモヤモヤしそうだったため、竜郎は菖蒲と繋がっている眷属のパスから、より具体的な感情を読み取り翻訳を試みた。



「あー……なんというか、ランスロットのもいいけど、私ならこうするかな──っていう感情のようだ。

「気に入っていないわけじゃないけど、感性が少しランスロットくんと違うって感じなのかな?」

「概ねそれであってると思う」

「なるほど、それは我もよく分かるのだ。

 最近はインターネットで他の者の作品を見たりもするのだが、我ならそこではなくこっちに視線が行くようにしたかった。我ならこういった情景を表現するなら、ここはこうしていた──なんて思うことはよくあるのだ。

 うむうむ、アヤメとは将来こういった話で盛り上がれそうで嬉しい限りなのだ。

 アヤメの感性が成長するように、我ももっともっと成長しなければな」

「あう!」



 菖蒲も彼が何となく何を言っているのか理解し、互いに竜郎では分からない分野で分かり合い小さな友情が芽生えようとしていた。

 こうやっていろんな仲間たちと、もっと仲良くなっていてもらいたいなという想いを込め、竜郎は楓と菖蒲の頭を撫でた。


 二人だけズルいというニーナと、おまけに愛衣の頭も撫でた後は、残りの四つの小島の屋敷と小屋も建てていった。

 一つ一つの島の上に屋敷を立て、外周に小屋を建てるといった、最初と似たようなやり方で。

 ただしこちらも、どれも一つとして同じものはなく、手を抜かれたデザインの建造物は存在していなかった。



「次は橋だね!」

「ああ、なくてもジャンプで皆飛び移れるだろうが、それじゃあ味気ないからな」

「なかなか分かっているのだ、マスターも」



 必要な家は全て作り終えたので、今度はどの島からでも他の四つの群島にアクセスできるよう吊り橋を竜水晶で掛け、巡らせていく。

 こちらも雰囲気重視で、見た目は年季の入った長年に渡って掛かっている木製の板を張った吊り橋といったものになっている。

 見た目は楓たちが遊びで飛び跳ねようものなら、板が抜けて下に落ちてしまいそうだが、そういうデザインなだけでワイヤーも板も全て竜水晶製なため、わざと竜郎たちの誰かが壊そうとでもしない限り永久に風化することなく掛かり続けるほど頑丈だ。



「ちゃんと上から見ても様になるように見せられるよう、設置の仕方を考えるのに苦労したのだ」

「ああ、だから細か~い指定が、たつろーの持ってる図面にぎっしり書かれてたんだ」



 ただ単純に吊り橋で五つの島々を繋げたわけではなく、それを上空から遠目に見ても綺麗に見えるよう角度や高さ、それぞれの設置位置に至るまで、小さな模型を作って確かめながらランスロットが導き出した構図となっている。



「ほんとだー! ニーナ感心しちゃったかも」



 実際にニーナが空を飛んで上空から確かめてみれば、ゴチャゴチャとした見栄えの悪さは一切なく本当に綺麗な図形のようになっており、細部まで考え抜かれたデザインなんだと関心させれた。



「あと地上の方で今のうちにやっておくのは……アスレチックか」

「なんか楽しそうなやつだよね」



 アクティブな遊びができるようにと買い取った群島なので、ただデザインどおりに屋敷や吊り橋を設置してはいお終い──とはいかない。

 それならば本当に、ただのミニチュアで再現すればいいだけなのだから。

 なので竜郎は月読とともに、海上にそびえたつ島々の崖側──外周部に竜水晶で補強しつつ遊具を生やしていく。


 滑りながら下っていく滑り台。竜水晶を極限まで滑らかにしたので、非常によく滑り加速も凄い。

 ただしところどころ切れ目があるため、ただ座って滑っていると崖下の海に真っ逆さまに落ちてしまう。

 それを回避するためには途中途中でジャンプして、その先に続く滑り台に飛び移らなければ最後まで滑り抜くことはできない。


 崖の高い位置にある、空中ブランコ。ここではブランコで勢いをつけて、その先のブランコに飛び移る──なんていうサーカスのような曲芸をこなさなければいけない。


 他にも常人では到底不可能なほど広く間隔が置かれた雲梯うんてい

 綱渡りのように渡る鎖の道。

 蜘蛛の巣のように、複雑に張り巡らされたジャングルジム。

 回転して崖の中に入ったり出たりしながら見え隠れする、棒のような足場。

 一瞬で飛び移らなければ、留め具が外れて崩れる足場──などなど、地球人類では到底不可能な難易度。挑戦しようものなら落ちて死んでしまうような、実に竜郎たち向けの鬼畜な構成をそれぞれの群島に仕込んでいった。


 建物もアスレチックの一環となっており、屋根の上を走ったり壁の突起がつかめるようになっていたりと、この島中を縦横無尽に駆け抜けられるように設計されている。



「あとはタレットとかも置く予定なんだよな?」

「うむ。これでも我らには簡単すぎるからな」



 インフラ優先でまだ用意できていないが、魔力の弾丸を打ち出すオートタレットをあちこちに設置することが決まっている。

 常人でも当たり所が悪くなければ死にはしないという、竜郎たちからすれば子供だましのような威力のタレットだが、あちこちから撃ちだされる弾丸を避けながら、前述したアスレチックをこなしていくとなると難易度がさらに跳ね上がる。


 一つのタレットから撃ちだされる間隔や、索敵感度を緩くしたり厳しくしたりできる調整機能。この位置には撃たないというセーフティゾーンの設定など、細かく自分で難易度を調整できるようにもする予定だ。

 アーサーやランスロットなどは、最大の難易度でやろうと今から楽しみにしている。



「建物の中も動ける遊びの装置を置く予定なんだよね、確か」



 さらに屋敷の内部も飾りではなく、体を動かして遊べるような魔道具の施設にする予定となっている。

 ランダムな個所から撃ちだされた球を打ちかえし精確に的に当てるなんていうものだったり、波打つの流砂の上で魔力頭脳搭載の小型人形から逃げる鬼ごっこだったりと、趣向を凝らしたものを多数。

 難易度をマックスまですれば、アーサーたちでも集中を強いられるものとなっているため、子供から大人まで楽しめること請け合いだ。


 最後に群島の中心部に、巨大な竜水晶製の水槽を用意。

 上部の建物から島の内部をくりぬいた通路を通り入れるようになっており、天然の水族館のように海の中の光景を楽しめるようにと。

 ここはいわば休憩所のような役割を担う予定で、飲み物や軽食を取れたり、シャワーで汗や海水を流したりと、のんびり体を休めリラックスできるように内装を仕上げていく予定となっている。

 人が入るための海の中に作られた逆水槽内に備え付けの椅子や棚、シャワールームなど最低限今できる範囲の物だけは全て竜水晶で作り上げたところで竜郎たちはこの島での作業を切り上げることに。



「では我は実際に見て回ってみて、気になるところがないか確認していくのだ。

 ミニチュアでは、分からなかった場所もあるやもしれぬしな。では一時さらばだ、マスターよ」

「ああ、ここは頼んだ。じゃあまたな、ランスロット」

「ばいばい、ランスロットくん。熱中しすぎて夕飯に遅れちゃダメだよ」

「ばいば~~い。お夕飯に遅れても大丈夫だよ、ニーナが代わりに食べてあげるからね!」

「「あいあい!」」

「「こらこら」」「それは困るのだ……」



 ランスロットは実物大サイズで作ったことで生じた不具合や、デザインの違和感がないかの確認のため、これから隅々までのチェック作業が残っている。

 竜郎たちは竜郎たちで他の島の開拓もまだ残っているため彼に手を振り別れを告げ、四つ目の群島──五つ子島を後にした。

次も木曜日更新予定です!

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