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食の革命児  作者: 亜掛千夜
第十四章 町作り始動編
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第266話 遊園地の準備

 一晩仲間たちと遊園地について会議をしてから、翌日魔物園の魔物たちの様子を一通り見て問題がないことを確認してから建設予定までやって来た。

 場所は魔物園とダンジョン町を挟み込むように、その逆サイド側に建設する。



「まずは整地だな。今日も一緒に頑張ろう、カルディナ、天照、月読」

「ピュィー」「「────」」



 土地の状態を精密に解析してから、野放図なままに草木が生えたままになっている土地を更地に変えて、地面を真っすぐ綺麗に均して固めていく。



「地球でこれやったら環境団体から苦情が来そうなレベルだねぇ」

「一応資源は回収してるから大目に見てほしい」

「うむ。よかろう──っていっても、こっちは簡単に魔法で木も生やせるし、たつろーなら森も一瞬で作れちゃうけど」

「それにこの辺の生き物は魔物ぐらいしかいなかった上に、その魔物も町の守り神ならぬ守り竜のドラス子が狩っちゃったから植物以外もう何もいなかったしな」



 整地が終わったら次に遊園地の区画をわかりやすく分けるために、入り口から見て縦に三分割するようなラインを二本引く。

 こちらは目安線なので、大枠が作り終わった消す予定だ。



「さて、それじゃあ本格的に作っていくか」

「おー!」「「あーう!」」



 縦に三つに割ったことから分かるように、こちらもまた魔物園と同じく大きく三つのイメージで構築していくことに決まった。

 入り口から入って右手側には絶叫系などのアクティビティな要素が高いアトラクションが楽しめる区画に。

 左手側はほぼ一面水で埋めて、水上や水中のアトラクションが楽しめる区画に。

 そしてメイン、中央には観覧車やメリーゴーランド、コーヒーカップなど王道で子供から大人までゆったりと楽しめるアトラクションに加え、区画中央には誰でも入場できる豪華なお城を建造する全体的にファンシーな区画にしていく。



「やっぱりメインエントランスには、シンボルとなるモニュメントだよね」

「デザインはさっぱり決まってないが、とりあえず噴水とモニュメントを置ける台座くらいは設置しておこう」



 入り口に入ってすぐの左右中央の三方面への大きな分かれ道となっている場所に、園のシンボルとなるモニュメントゾーンを設置していく。

 モニュメント自体はまだ決まった案がないので、それが置かれる場所には何もなく少し寂しく感じる。



「魔物園とリンクさせてパンダちゃんにヴィーヴルちゃんとかバハムートくんとかを、着ぐるみ化して遊園地のマスコットキャラにしちゃう?」

『ピュゥィーーイ、ピィピュィーイ(そうすれば、それをモニュメントとして設置してしまえばいいものね)』

「マスコットキャラを、そのままシンボルにするのは分かりやすいしな」

『──────(マスコットの案自体は皆賛成してましたしね)』

『───────(まだどんなキャラクターにするかも決まってはいませんがね)』

「もういっそのこと完成されたキャラクター、例えばそう某ネズミや某アヒルなんかをそのまま……。

 ふっふっふ、さすがにかの機関も異世界にまでは手が届くまい」

「あー! たつろーが悪い顔してるー」

「「めっ! めっ!」」



 楓や菖蒲も邪悪な気配を感じたのか、竜郎の太ももをペチペチ叩いてくる。



「ああ、ごめんごめん。さすがにそれは冗談だから。というか、お前たちまた力が強くなったか?」

「「あう!」」

「順調に成長してる証だね」

「そのうち冗談で叩かれただけで痛みを感じそうなんだが……、まあそれはいいか。

 キャラクターについても、芸術家の卵たちにぶん投げてみてもいいしな」

「でもそこは卵じゃなくて、プロに頼むのも手じゃない?

 だってこの園を代表するキャラになるわけだし」

「なら別にこの世界にこだわらないで、地球のイラストレーターさんとかに依頼するという手も有りか。

 こっちの人たちだとゆるキャラとかマスコットとかの概念があんまりないみたいだから、難しいかもしれないし」



 ここで竜郎たちだけで話していてもしょうがないかと、モニュメントやマスコットのことは一旦忘れて本題を進めていくことにした。


 最初に手を付けていくのは、中央の区画。最初に城の位置を決めておくことで、他とのバランスをみやすくするためだ。

 お城のイメージ像は『湖面に立つ城』。こちらはリアがスケッチ案を出してくれたので、それをそのまま月読と一緒に形にしていく。


 遊園地のちょうど中央になる場所にあたりを付けて、城とその敷地内にあたる部分を枠どっていく。

 それからカルディナに解析を任せながら、天照と一緒にそこの周囲を魔法でドーナツ状に地面をくり抜いていき穴をあける。

 そうしたらそこに大量の水を一気に魔法で流し込み、あっという間に湖に浮かんでいるかのような平らな島ができた。この島の上に城ができるのだ。


 城の周囲の水場では小舟を貸し出したりなんかも──という話があるので、下を小舟が通れるようなアーチ状の橋をかけて、島と対岸を繋いでいく。

 橋も竜水晶でできていて、質感はあえて青いそのまま水晶と白い大理石のような質を混ぜた幻想的な雰囲気を再現しいる。



「絵で見たときも思ったけど、こうして実物を見るとやっぱりお洒落な橋だねぇ」

「この橋もリアがデザインしてくれたものだしな」



 正面に橋を架けたら、念のため周囲をくりぬいた島部分の強度や橋が何かのように地面から滑り落ちたりしないかなどチェックしてい行く。



「ピュィーイ」

「ああ、大丈夫そうだ」



 島自体も竜水晶で補強しているので周りの水で削られて小さくなっていく──なんてこともなさそうだ。

 橋もそれ自体の形が壊れることはないだろうが、設置場所に問題があると自重で地面の方が崩れたりなんてことにもなりかねないので、そこもちゃんとカルディナと調べておいた。


 土台部分が崩れることはないと確信を持てたところで、本丸の城を築いていく。

 リアのスケッチ映像を天照と月読の双方で読み込んでいき、魔力頭脳の演算装置で立体像を導き出して魔法で現実世界に出力していく。



「わぁ~!」「「う~~!!」」



 3Dプリンターで印刷されるかのように、何もない平らな島の上に新雪のような白と水晶の青を基調にした美しい城が天に向かって出来上がっていく。

 その光景はまさに魔法。魔法なのだから当然なのだが、そうとしか言えない圧巻の光景だった。



「さすがに面積的な問題もあってハウル王の城と比べたら小さいが、それでもかなり立派だな」

『──────(強化遠近法というものも使ってみました)』

『────────(実際よりも目の錯覚で大きく見えると思います)』



 月読と天照の補足に、いつの間にそんな技法まで使っていたのかと、この時ばかりはデザインを乱してはいけないとただの魔法発動装置に徹していたため知らなかった竜郎も驚いた。


 城本体ができたら今度はその周りも整えていく。

 正面広場、中庭、練兵場、小さな闘技場などなど、城の周りの装飾や施設も一気に作りあげていった。

 それらも後に遊園地の遊戯場の一つとして利用するつもりでいる。



「これで入園者なら誰もが大手を振って入れるお城ができたな」

「私たちはハウルさんのお城に入りたい放題だけど、一般の人は一領主のお城にだって入れないからね」



 これでとりあえず遊園地の中心地の外観は出来上がったので、城や細かな施設の内装は後回しに。中央の区画は城だけではないのだから。


 というわけで城を囲う湖の周りにメリーゴーランド、コーヒーカップ、可愛らしいトロッコ、小規模な迷路などなど親子で楽しめそうな王道的なアトラクションの場所決めとリアから受け取っている設計図にのっとって遊具の骨組みを設置、または部品を置いていく。


 遊具の基本材料は、やはりずっと使い倒している竜水晶。

 竜郎たちクラスの実力者の攻撃、あるいは特殊な世界の理でも使わない限り摩耗も劣化も損壊もあり得ない、まさに不滅の物質。

 骨組みや外装に使えば少なくともその部分だけは、どれだけの人数の負荷が何度かかったとしても、折れも曲がりもせず半永久的に使い続けることができるだろう。


 そうしてあとはリアが動力部分や機構部分を作り、それを竜郎たちが組み立てれば完了するという所まではやっておいた。



「じゃあ、中央の区画最後の大観覧車の部品や骨組も作っていくぞ」

「「────」」



 城の後方、入り口の真反対に位置する場所に遊園地の定番中の定番『観覧車』の設置準備をしていく。

 これはかなりの大きさに組み上げて、頂上付近では城を見下ろしたり園内の景色を一望できるようになるようにする予定だ。

 場所も城ほどではないが広く取って、骨組みだけでも相当な迫力になった。



「できたら一緒に乗ろうね、たつろー」

「ああ、もちろん」

「「うー!」」

「ふふっ。もちろん、ちびちゃんたちも一緒だね」

「ああ、一緒にな」

「「ぱっぱ! まっま!!」」



 言っている意味がだいたい理解できていたのか、わーいと楓と菖蒲は竜郎と愛衣に飛びついた。




 中央の区画はあれ以上はまだ進められないということで、次に右手側──アクティビティな区画に手を出していく。

 こちらは中央のファンシーな空気感とは打って変わり、全体的な景観は小さな火山があったり洞窟があったりと、冒険心をそそるような武骨なイメージで作り上げていく。


 魔法で地形をいじりながら山や洞窟は竜水晶を変質させて質感や色をリアルに再現しながら、絶対に崩落しないセットを用意していく。

 火山は右手奥中央辺りに設置し、普段は遠目にはマグマに見える無害な液体を上から流し、たまに演出で大げさな音を鳴らしながら偽マグマを噴出して噴火したりできるものにしていく予定だ。


 ただ偽マグマでは魔物園の本物のマグマを見てからだとチープに映りそうではあるが、そこは安全重視なので仕方がない。

 簡単な幻術魔法の魔道具を使うという手もあるが、それでは人によって意識せずにレジストしてしまうこともあるとやめておいた。

 少なくともその程度の魔道具ではハウルやリオンはかからないだろうし、そのレベルにかかる幻術を作り出せる魔道具となると逆にマグマより危険物認定されかねない。


 全体的なセット作りが完成したら、今度はアトラクション用の土台、コースやお客やスタッフが通る通路を作っていく。

 火山の近くを通るようなコースや、曲がりくねった洞窟の中を通るようなコースの二種類を用意したゴーカート場。

 火山の中の洞窟や頂上付近、その周辺を汽車のような乗り物に引かれたトロッコでガタガタと揺られながら高速で走り周るジェットコースターのコース。

 上記の物よりもさらに速度や回転を追求した、長距離のジェットコースターのコース。

 偽火山の偽マグマが入った火口へとダイブする、バンジージャンプ台。

 細長い小山に見せかけたタワーを使った回転空中ブランコの土台やセット。

 ──などなど、色々っとスリルや興奮を味わえるアトラクションの設置準備を一通り終えて、動線となる通路もお客用スタッフ用と分けて整備してこちらの手入れを終えた。



「あとはここもリアちゃんが色々と装置やらなんやら細かいのを作ってくれたら、それを組み立てて設置するって感じかな?」

「そうなるな。ってことでここいらでできることは終わったから、次は水上アトラクションの方に行こう」



 というわけで最後、入口から入って左手側──水上アトラクションの区画にも手を付けていく。

 こちらでは周囲や水の温度調節もして疑似的な海水浴ができたり、水の中まで通るようなウォータースライダーであったり、自動で決められた道筋を通る遊覧船に乗れたり、滝を作ってそこを下るようなアトラクションを作ったりなど、ここでは王道な遊園地やスリルとはまた違った体験ができる場所になる予定だ。

 この近辺の海と言えば魔境とも呼ばれる海しかないので、近隣の住民にとっては物珍しいだろう。


 疑似的な白いビーチを作り、一見分からないように水槽を埋め込んで疑似的な海を作る。

 浄水施設を設置する場所も地下に用意して、海の家やシャワールーム、更衣室なんかも用意していく。


 さらに遊覧船用の水中レーンの設置やウォータースライダー用の滑り台やトンネル、大小さまざまな形をした滝の設置。

 他にも細々としたところに手を入れていき、この日一日をフルに使って、この場にいるメンバーで今できる全ての準備をこなしていったのであった。

次はまた木曜更新予定です。

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― 新着の感想 ―
[一言] >さすがにかの機関も異世界にまでは手が届くまい 組織D、いったい何者なんだw >こちらでは周囲や水の温度調節もして疑似的な海水浴ができたり プールや湖水浴じゃないという事は海水を導入してる…
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