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食の革命児  作者: 亜掛千夜
第九章 竜の王国・前編
162/451

第161話 次の竜王国について

まだ体調が治らず短いです(泣

読み返しも甘くいつも以上に誤字も多いと思います。申し訳ないです(泣

復調次第、確認させていただきます(汗

 帰還後に待っていたのは、大幅に数を減らしてしまったレティコルの養殖業。


 今回、竜王たちにサンプルとして出す料理は基本的・・・に全て同じ。

 同じ竜王たちの間で、あちらのあれのほうが食べてみたかった~など思われてもいいことはないだろう。

 とはいえそのような稚拙な感情で心証を悪くするようなものは誰一人いないので、形式的に揃えただけなのだが。


 だがそうなるとその分、マヨネーズ製作のためにレティコルシードオイルの生産をしなくてはいけない。

 それに比例して、レティコルの核ともなっている種を大量に採取することに。

 結果、せっかく増えてきていたレティコルはその数が一気に減ってしまった──というわけである。


 そんなこんなで竜郎はレティコルの養殖をメインに数日間過ごしていると、イシュタルがまた竜王の話をもってやってきた。


 今日はニーナと楓、菖蒲が近くにいるが、話に興味はないとばかりに遊んでいる。



「今回行ってほしいのは、蒼海のラマーレ種の女竜王──マルトゥムのところだ」

「ラマーレ種ってことは、ラヴェーナちゃんとアマリアちゃんってことだね」

「そうなるな。ちなみにこれが、今回のお相手の絵姿だ」

「どれどれ」



 イシュタルがポンと渡してきた巻物を竜郎が受け取ると、するすると開いて中の絵を愛衣と一緒に確認していく。



「あはっ、かわいい」

「まだ今年で200歳の男児だからな」

「俺より180以上年上の男児ねぇ」



 そこに描かれていたのは、ラヴェーナたちよりも少しだけ大きいだけの竜が、一生懸命、胸を張ってキリっとしている姿。

 雌雄の判別がつかない竜郎であっても、とても微笑ましいものだった。



「っていうか、今回のお相手はちびっ子ちゃんなんだね」

「まだまだ結婚がどうのと考えるような年ではないな」

「それなのに、2番目なのか」

「若いうちに相手がいるというのは竜王たちにとっては望むところではあるというのもあるんだが、今回タツロウたちを案内するのがパラフトになったというのが大きいか」

「「パラフト?」」



 聞いたことのない人物の名前に、竜郎と愛衣が揃って首を傾げた。



「ああ、パラフトにも会ったことはなかったか。

 パラフトがどんなやつかは会えば分かるとして、実は現竜王をしているマルトゥムの旦那が、もともとパラフト直下の部下として戦場を共にしていた竜なのだ」



 そしてパラフトと共に戦っているうちに神の1柱に気に入られ、神格を得た。エーゲリアの側近眷属の近くにいたことで注目されやすいとはいえ、本人の努力も相当なもので性格も申し分ない。

 そこでパラフトは当時適齢期に達していたマルトゥムとの婚約を勧め、その部下は現在竜王の婿として生活しているという背景を持つ。



「つまりパラフトさんと婿さんは元から知り合いで、2人の仲介をしたキューピッドでもあるってことだね」

「ああ。パラフトも久しぶりに顔を見たいと言っていたし、ちょうどいいと母上も判断したようだ。

 それに2人を結び付けたパラフトが、今度は息子の嫁候補を連れてくるというのも縁起がよさそうだろう?」

「それは言えてるな。ちなみに、ラマーレ王国はどこら辺に位置してるんだ」

「ラマーレ王国は──」



 竜大陸南西部の海岸沿いにあり、大陸内で一番気温が低い国でもあるのが、今回行くことに決まったラマーレ王国。

 ソルエラ王国とフォルス王国をはさんだ、前回行ったヴィント王国の真逆の位置にある。


 女王の性格は温和で慈悲深いのだが、帝国に仇なすものは何ものであろうと、どこまでも追いかけ始末する執念深さを持っていて、怒らせると相当に面倒な部類に入るとか。

 だが先に言ったようにこちらも民衆からの信頼も厚く、良き王として慕われている。



「なるほどねぇ。でも喧嘩しに行くわけじゃないし、仲良くなれそうな人みたいだね」

「ああ、人当たりのいいほうだからな。それに息子のほうも、礼儀正しくいい子だったぞ」

「それはいいな。竜王の子供が放蕩息子なんてことはさすがにないだろうが、いい子のほうがこっちも対応しやすい」

「しつけにはかなり厳しいらしいからな。あそこは」



 どうやらマルトゥムは良き女王でもあり、教育ママでもあるようだ。


 それからあれこれと期日のことやおおよその段取りを話し、イシュタルと別れた竜郎たちは、その足でラヴェーナとアマリアに会いに行く。


 いつもなら海辺のあたりで狩りをしたり寝転んでいたりしているはずなので、カルディナ城の前にある砂浜まで戻ってくると、案の定砂浜で日向ぼっこをしながら「クォ~クォ~ン♪」と2人で歌うように鳴いてくつろいでいた。



「ご機嫌だな。ラヴェーナ、アマリア」

「「クォ~ォ~ォ~♪」」

「「う~う~あ~♪」」

「ぎゃうぎゃうぎゃ~♪」



 一緒に歌おうとばかりに誘ってくるので、楓と菖蒲、ニーナがそれに乗って一緒になって似たような旋律を奏ではじめる。

 唐突にはじまった合唱に竜郎と愛衣もニコニコと頬を緩ませながら最後まで見守ったところで、さっそくラヴェーナ、アマリアにイシュタルに頼まれた通りに絵姿を見せてみる。



「「クォ~ン?」」

「なんて?」

「だあれ? って感じだな。そりゃそうだ。今度、この子に会いに行くんだが、ついてきてくれるか?」

「「クォ~ン」」



 「いいよ~」とばかりに、朗らかに竜郎のほうを向いて鳴いてくれる。

 この子たちも初めての遠出だと理解して、面白そうだと思ってくれたようだ。



「なら決まりだね。それじゃあ、私たちも準備していこっか」

「だな」



 こうして竜郎たちの次の行き先が決まったのであった。

次話は日曜更新です。

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― 新着の感想 ―
[一言]  レティコルシードオイルを作るなら、種を大量採取する前に先ずレティコルを大増産するプロセスを入れた方が生産効率は良さそうです  そして今回の竜王国歴訪は婚約者候補の顔合わせと共に、エーゲリ…
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