不思議な出会いの始まりです。
クロスオーバー始めました!
異世界ほんわか飯テロ系小説×2の、違和感どこ行った状態を楽しんでもらえたら嬉しいです。
作者達が一番楽しんでおります!←
その日、釘宮悠利はいつも通り、洗濯物を干していた。異世界の、初心者冒険者を中心にトレジャーハンターを育成するクラン《真紅の山猫》のアジトの庭先で、鼻歌を歌いながら洗濯の真っ最中だ。今日も空は青く澄み渡り、白い雲が流れ、眩い太陽がさんさんと降り注ぐ、実に素晴らしい洗濯日和だった。
悠利は、現代日本の男子高校生だった。だがしかし、帰宅の途中で光に包まれたと思ったら異世界に転移してしまい、望んでいないのに鑑定系の世界最強チート技能まで与えられていたというオマケ付き。困っているところで出会った《真紅の山猫》のリーダーであるアリーに保護されて、こうしてアジトでおさんどんを楽しみながらのほほんと生活している。
……そう、彼の日常はのほほんとしていた。トレジャーハンターを目指す若者達が様々なことを学ぶのと裏腹に、炊事洗濯、掃除と、嬉々として家事に勤しんでいた。帰還の目処が立たない状況でのほほんとしていられる程度には、彼は図太い天然さんだったのである。
「ちょっと、待ちなさい、ひより!」
「大丈夫だよ、お姉ちゃん」
「何が大丈夫なの……!」
だから、突然何やらケンカをする女性の声が聞こえたとしても、慌てず騒がず、視線をそちらに向けた。そこには、悠利と年齢の変わらなさそうな栗色の髪の少女と、彼女と面差しの良く似た女性がいた。十中八九姉妹だろうと思いつつ、悠利は彼と目が合ってぽかんとしている女性二人に、にっこりと笑った。
「こんにちは。お客さんですか?」
何故そこでそんな台詞が出る、とツッコミを入れてくれる相手は、残念ながらいなかった。これが、アジトの敷地外から足を踏み入れてきた人相手ならば、ごく普通の挨拶だっただろう。だがしかし、彼女達は、突然現れたのだ。
悠利が洗濯をしているアジトの庭に、出入り口とは関係の無い場所から、突然現れたのである。
どう考えても不法侵入者だ。あと、どこから入ってきたとか、お前誰だとか、そういう台詞が出てもおかしくないのだ。けれど悠利は悠利だった。ぽかんとしている彼女達に、やはりにこにこ笑顔なのだ。
「……えーっと、君、ここの子?」
「はい。このクランでお世話になっています」
「「……クラン?」」
不思議そうに首を傾げた二人に、悠利はあれー?と首を捻った。彼女達の装いは、ちょっと民族風な感じだった。だがしかし、この異世界で悠利は色々な衣装を着た人たちを見ているので、別に違和感を覚えなかったのだ。というか、それ以前に、彼女達に妙に親近感を抱いた理由を、察した。
顔立ちだ。髪や目肌の色だ。目の前の女性二人は、悠利の記憶にある日本人らしい色彩をしていたのである。
「……んーっと、とりあえず、お茶でもいかがですか?」
立ち話もなんですから、と悠利は言葉をかける。困惑している女性二人は、とりあえずこくりと頷いた。そんな二人に、もう少しで洗濯終わるんで待っててくださいねと微笑んで、悠利は仕事に戻った。
唐突に《真紅の山猫》の庭に現れた二人の女性。姉の小鳥遊茜と、妹のひより。ごく普通の日本人の姉妹であるところの彼女達が、こことはまた別の異世界に日本から召喚された、聖女様とその姉君だと悠利が知るのは、彼女達とお茶をしながらのことであった。
かくて、運命の悪戯か、神々の気まぐれか、異なる世界に召喚された日本人達の交流が始まるのであった。
更新は不定期気まぐれですが、まったりほのぼのを楽しんでいただければと思います。
真面目な姉・茜と、天真爛漫な妹・ひより。
マイペースで天然な悠利と一緒に、ほのぼの交流が始まります。
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