回想映画
苦しくなるとわかって、足を運んだ映画館
君を思い出すために、観たフィルム
涙をながしたよ、回数は黙っておくけど
エンドロールの歌は、心地よかった
本物と偽物を重ね合わすにはおこがましいほど
純粋で、不純で、混ざり混ざった複雑なかたち
理論とか、正しい正しくないとか、まだいいよ
未来とか、過去とか、いいんだ、囚われるなよ
いまはただ、彼女の気持ちを知りたいんだ
主人公の女の子は、どんな気持ちだったろう
どんなに幸せで、不安で、やるせなかっただろう
君の気持ちを知るには、僕は100年早いよ
あの男性教師は、どんな覚悟だったのだろう
どれほど甘ったれで、残酷で、かわいそうだろう
僕の気持ちを伝えるには、君はまだ幼いよ
心が踏み荒らされた、ラストシーンの3分間
君がもし横で見ていたら、なんて言ったかな
僕は、なぜだか君を想ったよ
身を任せることを覚えたあの日みたいに
映画館に灯りがついて、数人の観客が帰っていく
ずるいなと思ったんだ、ずるいなと
忘れるためにと言い聞かせておきながら
どこかで、蘇らさんと映画館にきた自分を
画面の中の男女のやり取りに、重ねたがる自分を