ちょっとした決意
ベンチに座り一時間が過ぎていた。
「俺たちここからいつ脱出出来るんだろうな」
クローシュがそんな事を言っている。
「さぁ〜、分からないよ、こんなにベンチが楽な所なんて知らなかったし」
何か、ココ達探すのどうでも良くなってきたかも…
「って、そんな事無いから!」
クローシュは私が叫ぶと驚いてビクッとなる。
「な、何だセリナどうした?」
「えっ、あ、ごめん、ってそれよりも早くココ達と合流しなきゃ」
そう言ってクローシュの手を強引に引っ張って連れて行く。
「痛いから、セリナ分かったから離してくれ、自分で歩くから」
仕方なく手を離す、あんなに懇願されると流石に断れないなぁ。
「次はどこに行く?3人が行きそうな所って何処だろ?」
っ、このまま見つからないかも知れない、そんな予想が脳裏に浮かぶがそれを顔に出さない様に頑張る。
「ん〜、次か…服屋とかは、ほら大体の人って服好きだろ?」
「服屋ね、ん〜、良いんじゃない、確かココが服好きだったし」
私達は、意見が一致したので、その服屋を探す事になった。
「服屋ってあれじゃない?す、すごく混んでるけど…」
あの中には入りたくない、だって人の量がすごい事になってる、さっきの広場付近の事が店の中で起きていた。
「あ…はは、行かなくて良くね?やばそうなんだが…」
そう言う、クローシュの目は死んでいた、それほど行きたく無いんでしょうね、私も行きたくないもん。
「でも、行かなきゃ…ここに居るかも知れないでしょ」
手を胸の前まで持ってきて握って決意する。
「そう…だな、良し!分かった…行くぞセリナ」
励ましたお陰でクローシュは少し元気を取り戻す。
「うん、行こうクローシュ、怖いけど」
そう言って服屋に向けて踏みだす。